第三話 俺の持つ剣、伝宝の剣、だから…なに??


 
「勇者サン!!前を見てください!!」

『あ』が前を指して言う。
前を見ろって…後ろ見て歩く奴がいるか??
まぁいい、そんでココは獣道だ。
どうやら城下町を出たが道を間違えたらしい。
何も見えないんだ…仕方なく歩いていると…

「勇者サン!!」

あぁ~もう!!煩いな…
『あ』が前を指して叫んだんだ。
いっぺん言えば分かるってーのに…
で、俺は前を見た。
目の前には…

「魔物??」

ぶにょぶにょした緑の物体…
なんだろー…スライム??
でもって、そのスライムっぽい物は言った。

「ぎゃしゃぁああああああああああああああああああ!!!!!!!」

なんていってるか分かったか??
ちなみに俺は分かった、『あ』は…もういいや…
俺はどうやら魔物と話しが出来るらしい。
いらん特技だな…
ちなみに奴は、

『有り金全部おいていけぇええええええええええええ!!!!!!』

って叫んだんだ。
魔物が金持っても意味ねーだろ…

「どうします??」

『あ』が不安そうな顔でこっちを見る。
しかたがない…

「お前をえさに俺は逃げる!!」

そう言うと俺は『あ』を持っていた縄でぐるぐる巻きにしてスライムらしき物に投げつけた。
投げた際聞えた『あ』の悲鳴は聞かなかったことにしよう。
どうなるか…

スライムは投げられた『あ』に近づいて行った。
『あ』が首を振る。
そんなことしても意味が無いぞ??
スライムは鼻らしき物を『あ』に近づけると匂いを嗅いだ。
そして…

「おぇええええええええええええええええええええ…」

どこからか緑の物体を吐き出した。
どうやら嘔吐したようだ…
『あ』、魔物に嫌われるなよ…
仕方なく俺は背中の剣を引き抜き(おっさんが言うには伝宝の剣らしい…)『あ』の前に立つ。

「ぎしゃぁああああああああああああああああああああ!!!!!」

スライムがまた叫んだ。
ついでに今のは、

『そんな腐ったもん近づけるなぁああああああああああ!!!!!!』

だ、『あ』よ。踏んだり蹴ったりだな…
『あ』の前に立った俺。

「お前なんでそんなんなんだよ??」

「あんたがやったんです!!」

切れる『あ』、俺は軽く笑うとスライムと向きあった。

第二話 俺は旅に出る、共の名は『あ』、だから…なに??



「だりぃ~…」

装言いながら俺は城を出た。
服装は勇者らしくなっている。
まぁやるしかないか…
だってそうだろ??嫌々言いながらも旅に出なくちゃなら無い。
俺が拒否ればこの物語は終わる、作者が困っちまう。
俺って優しい!!
でだ…

「勇者サン!!」

下から小さい声が聞えた。
城下町を歩きながら目線を落とす。
そこには共と称されたちっこい餓鬼がいた。
そう言えばコイツの名前なんだ??

「『あああああ』です…」

「は??」

なんだ、コイツ作者が面倒だからって適当につけたのか??
この先ずっとこんな名前ばっかりなのか??
たとえば『いいいいい』とか、『るるるるる』とか…
嫌だな…

「えっと…『ああああ』だっけ??」

「もう一個『あ』が要ります!!」

笑顔で応える餓鬼。
なんかめんどくね??

「もういいや、『あ』でいいや、これからお前『あ』な??」

餓鬼もとい、『あ』は少し嫌そうな顔になったが気にしない。
俺だって『一号』だぜ??なんだよ、ロボットかよ!!
とりあえず…

「お前いくら金持ってる??」

かつあげじゃないよ??
予算確認だよ??ちなみに俺はもって無い…所持金0円。
どうやら『あ』はおっさんから資金を貰っていたようだ。
とりあえず腹ごしらえをしよう!!

「でも、いいんですか??」

「何が??」

ホットドックを被りつく俺に『あ』が聞いた。
あのさかっこ(『』)を外していい??面倒なんだけど…
まぁ、分かりにくいからいいか…

「直ぐに姫を助けに行かなくて…」

「いいんだよ…」

俺がそう言うと、

ガチャンッ…
また、ライフルやら、拳銃やらを突きつけてきた。
何をしたいの??俺を殺したいの??姫を助けたいの??
じゃぁお前等が行けよ…

と、まぁそんなこと言える訳も無く俺と『あ』は城下町を旅立つのであった。

第一話 俺は一号、奴は王様、だから…なに??

 

 
「行方不明の姫を探してきて…」

目の前のおっさんはそう言った。
訂正する。
命令した。
説明しよう。
俺の目の前にドデンと座るおっさんは言うなればこの国の長。
もっと分かりやすく言うと『王様』だ、『ディス イズ キング(これは王様』
それでだなさっきの命令をした訳だ。

ん、俺??
あぁ、俺の名前ね。
俺の名前は『勇者一号』
なぜかこのおっさんに呼ばれた不幸な少年さ…

「何で俺??」

俺はおっさんに聞いた。
そりゃ聞くだろう??理由が分からん…
おっさんは言った。

「え、??暇そうだから…」

ドガッ…
今の効果音は俺がおっさんの腹を殴った音。
案の錠おっさんは腹を抑え蹲る。

「暇そうだからって…ざけんなよ!!」

俺は叫ぶが直ぐにおとなしくなった。
なんでって??簡単だよ、周りの奴等が俺にライフルやら、拳銃やらを突きつけるんだぜ??
黙るしかねーだろ??

「で、やってくれるよな??」

気持ちの悪い笑顔をおっさんは向けてきた。
あぁ、もうそれ以上こっちに顔を近づけるな!!額に汗が浮いてるんだよ!!

「でもさ、俺そんな強く無いよ??代々俺等の家農家だよ??『勇者』って名前だけだぜ??」

そうなのだ!!
俺の家は単なる農家。
勇者でも、戦士でも、騎士でも無い。
ついでに俺の服装はただの村人服…
で、そんな俺に姫を探しに行けと…イカレテルんじゃね??頭が…

「大丈夫だ!!」

そう言っておっさんはまた笑顔を見せた。
だから止めろよ…
おっさんが手を叩くと後から何かが出てきた。
ちっこい子供だ。
多分身長は俺の半分ちょいだろう…

「で…」

だからどうしたんだろうか??
俺が首をかしげるとおっさんはあろうことか言った。

「コイツを供として連れていけ!!」

阿呆か!!
それだったら俺にライフルやら、拳銃やらをつきつけた奴等の方がまだマシだ!!
しかし、俺の願いは受け入れられなかった。