『リィザはこの旅で、誰よりも強い子になれたですの。
だけど叶うなら、それでもお母さまにもう一度会いたい…』






○黒姫の世界

舞台設定は中世ヨーロッパのような、様式美にあ溢れた世界設定だった。時間の軸は現代よりも遥か昔の話。
とはいえ、現実のような中世観ではなく、ファンタジックな(それこそ魔法でも存在しそうな)世界設定だった。作品には祖国の街が出てくるシーンはほとんどなかったが、光に溢れた温かく大きな街だった。

黒姫の夢遊病のテーマはメルヘン、ゴシックメルヘン、ダークメルヘン。

リィザとゼルの祖国には名前があった。
リィザの住んでいたお城と、祖国の地図もあった。
ゼルが所属していた、騎士団にも名前があった。

それぞれは細かい背景を組み立てて行く上で生まれたものだった。ただ細かすぎて出所がなく、日の目を見ることはなかった。





○衣装 前期

“悲しみを黒いドレスに纏った王女”
ドレスと呼ぶにはほど遠いぼろぼろの装い。
悪魔の子と忌避され、城を追放され森に放り出された時〜純黒のジャッジメントまで。
ちなみに、ゼルはこの時点からブーツを履いている(が、上着は裸に羽織るだけの一丁らだった)






○衣装 後期

リィザが夢遊の病、そして王女というプライドを捨てる勇気をもって、過去への決別と夢遊病への審判を下してから。
身元がばれにくいように、そして旅がし易いようにパンツスタイルになった。
ゼルも本格的な旅仕様になっている。
(ゼルの腰に巻いている大判のストールは、獣の毛皮をイメージした一品)






○ゼル

リィザの祖国、城の騎士団の一員。
騎士団の隊長などの肩書きはなく、所謂一般兵だった。が、持ち前の明るさと優しさから、リィザが幼少の頃は子守や一緒に遊んであげたりなど、時々彼女の身の周りを世話をしていた。
そういった兼ねてからの関係性もあって、リィザが城を追放されてから、唯一彼女の身を案じ、騎士団を捨てて深い森へと飛び込んでいった。
見た目に反していちごが好きというチャーミングな一面も。ジパングでは、とちおとめとあまおうでいつも悩んでいた。
また、スタイルのいい細マッチョな割には手先が器用で、いちご柄の傘やレインコートを作ってはリィザにプレゼントしている。


「リィザ」までは先導して彼女の身を守っていたが、「純黒のジャッジメント」以降はリィザもゼルと肩を並べて旅をしていく、という裏設定があった。
ゼルは、「王女はこんなにも大きくなられました」と祖国に伝えたいとずっと思っていた。しかし、それは叶えられることはなかった。





○純黒のジャッジメント イントロ

「リィザ」以降、彼女が夢遊病に対して審判を下したその場所は、旅をしている途中で見つけた、棄てられた廃教会の中で、という裏設定があった。
純黒のジャッジメントのイントロはそれ故に、少し教会音楽じみたコーラスを用いている。





○いちごパニック

旅をしている途中で寄った村にて、お腹が空きすぎたリィザが、いちご畑のいちごを盗み食いして村人に追いかけられるお話。祖国の追っ手が追いかけて来た、という説もある。

黒姫の遺産で唯一、メルヘンさのかけらもなくただただ勢いだけだったこの楽曲が、まさか黒姫の代名詞にまで成長するとは、当時のリィザとゼルは予想もしていなかった。笑





○黒猫姫

ストーリー本編からは外れて、リィザの猫好きの思いをただただ歌にした楽曲。
ここだけの話、当初リィザは猫を推したかった。
が、まさかの大穴いちごパニックの勢いには到底追いつけず…
夜な夜な下くちびるを噛みしめるリィザなのであった。





○夢遊病

リィザの夢遊病は一種の病気にあらず、
「夢の中で異なる世界線とリンクし、セラの存在を知る」という裏設定があった。
リィザは夢をみているのではなく、眠っている間だけ別の世界へと精神が移動している、という設定だった。
幼少期には、到底こんな現象を理解できるはずもなく、ただただ怯えるだけしかできなかった。






○後期衣装にて、リィザが片目を隠した理由

『たくさんのものが見えるようでは、いらないものまで見えてしまうですの。時に感覚を敢えて封印することも必要ね。』





○旅立ちの輪舞曲

リィザは、世界線を超えるということが何を意味するのか、そして自分の存在はどうなってしまうのか、なんとなく気づいていた。
ゼルはリィザを心配したが、それでも彼女を止めることはしなかった。同時に、チナという存在がゼルの夢に現れる、という裏設定があった。
ゼルとチナは、別の世界(あるいは遠い過去??)でかつての同志だった、という説がある。

リィザの決意は固く、セラのことは怖いけれど…だけどそれよりももっと先の、何かが示す確固たる意志を信じていた。
ただ、祖国と母への想いは変わらず、世界線を超えるその前に、最後の輪舞曲を踊ったのだった。

それはリィザにとって一瞬とも、永遠ともとれる時間だった。ただただ、涙が溢れてくるばかりだった。

後期の集合アー写で、リィザが背を向けているのは、そういった気持ちの表れから。









○さいごに

『わずか半年、されど半年。リィザはじぱんぐを旅して、そして皆んなと出会い、夢遊病なのに毎日目の覚めるようなことの連続で、リィザは本当に本当に楽しくて、幸せでしたの。
皆んなと、もう会えなくなってしまうのは本当に寂しいけれど、いつでも皆んなのことを思っているですの。

黒と白、根本のコンセプトは“共鳴”。
そこから名付けられたリィザとセラだったけれど、皆んなに覚えていただけて本当に光栄だったですの。

そして、「咲」。
彼方の誰かが愛してやまなかった、そしてとても大事にしていた、「咲く」という言葉。(バンギャル用語の咲く ではなくてよ 笑)
リィザはよくわからないけど…その想いを、その名をを背負って生きて行くことをきっと決めたのね。
リィザはセラであり、咲であって、そして。
慣れるまで少しの間かかるかもしれないけれど、どうか愛してあげて欲しいわ。
ずっと前から、遥か昔から、何も変わらず。
「咲」という名を背負った以上は、きっと今まで以上に進化した歌い手になることを願って…。』