Kは大学で軽音楽部に所属していることがわかった。
数日前にその軽音楽部の新人歓迎会で新宿の居酒屋へ行くことになり、
新宿へ行ってみたいと思っていた私にはとても好都合だった。
新宿は多くの人がいた。
せっせと歩く人が大半で、ほかは何か配っている人、きょろきょろしている人、電話している人がぽつぽついる。
私は興味深く何か配っている人に近づいた。
「カラオケのクーポン券でーす」と、言われ一枚の紙を渡された。
そこには室料20%オフ!などが書かれている。
紙を見て、これは企業の宣伝なんだと理解したあと、私は周りに目をやった。
同じ用に配っている人がいる。
同じ事をしていて儲かるものなのか。
私は首をかしげた。
クラブメンバーに遅れてはぐれない程度に歩きながら周りを観察した。
やはり派手なものは目に付く。
ゲームセンター、店内が明るいショップ、派手な格好をしている人。
ふむ、派手な格好している人は大体きょろきょろしている。
女性の顔を覗き込んでは声をかけていることから、交尾相手でも探しているのだろう。
しばらく観察していると、その人たちには2タイプいることがわかった。
1タイプ目は、とにかく話しかけている人。
対して可愛くない中学生っぽい女性にも声をかけている。
これはおそらく自慰道具を探しているのだろう。
1タイプ目の人たちは顔も格好も整っていて、そこまでいうほど派手ではない。
2タイプ目は、狙って話しかけている人。
これはルックスを重視する仕事の従業員を探しているのだろう。
女性の顔を見ていて話しかけることは1タイプ目よりかなり少ない。
2タイプ目の人たちの顔はよく見えない、格好はとにかく派手。
少し歩いていると、そういった人たちは見なくなり、少し落ち着いた商店街になってきていた。
すると1人の中年の男が私に近寄ってきた。
その中年男は小柄で帽子をかぶり、顔色は悪く、不安と怯えが混じっている目をしていた。
「裏DVDいる?」
仕事につくことができず、努力することから逃げた人に汚い仕事をさせているのだろう。
何を買わせようとしているのか大体予想がついた。
私は哀れんだ目をして首を横にふった。