初めての出勤は、何も考えられなかった...

考えられなかったと言うよりは、考えたくなかったあせる


現実に自分が今、風俗と言う場所に居て

これから客にするであろうサービスを考えると

待機室で、お客さん待ちの間、目から涙ばかり流れた。


初出勤は、お店から借りた衣装を着ての接客の予定だった。

しかし、あたしの容姿があまりにも太ってると言う事でお店の衣装が合わない。

なので、出勤前夜、家にあるワンピースを持ってくるように言われた。


接客前に、この仕事をした事の無いあたしは

お客さんの出迎え方をボーイさんから一通り習う。


『常にどんな時でも笑顔で接客して』

そうしたら、自然とお客さんは君に戻って来るから...

そう言われ、意味も分からず、ただロボットのように頷く事だけをした。


お客さんとのある程度の会話内容を学び

そして、チケットの受け取り方や記入の仕方...

お客さん1本単価の金額などを教わった。


お客さんの時間帯によりまちまちではあるが

1本単価4000円~8000円だった汗汗汗

金額を聞き、あたしは目からウロコが出るかと思った。


『そんな高い金額もらえない』

確か単価を聞いた後、そう言う内容の言葉を言った記憶がある。


この日は、様子を見ると言う形での接客となった...


『何か分からない事があったら、いつでも言って』

『この部屋で待ってて』


そう言い残し、ボーイさんはフロントのある部屋へ帰っていった。


何も分からないあたしは、ただただ、ぼー・・・・・としながら

有線で流れる曲を繰り返し聴き、天井を1時間以上も見ていた。


天井を見つめながら、田舎であたしと彼が飛び出した事で

家族総出で、大変な騒動になってる事は、昨日の時点で気がついていた。

お客さん待ちの時間、考えていた。考えないようにしようとしても...

頭が勝手にシフトし、家族の事を考える。


そして、あの時飛び出して良かったのかと自問自答する。

勿論、答えは見つからない。そして、答えを見つける能力の無いあたしは

訳も分からず、ただ恐怖心に怯え、先の見えない暗闇に...

そして、その事に対し、自問自答しながら涙する。


『あたしは、飛び出して良かったの?』

『もしかしたら、あのまま主婦をしてた方が幸せだった?』

『家族と疎遠になるぐらいなら...』

『彼を信じてよかったの?ほんとに彼で良かったの?』

『まだ、旦那を愛してるんじゃないの?』


何もかもが、今ではもう自問自答するしか無いのだった...

あたしの人生は動いてしまった。もう、後戻りは出来ない!!




寮に入り数日後、ヘルスでの出勤が始まったあせる


出勤前日、寝れずに彼と2人現実逃避をするかの如く、寝床で寝る間も惜しんで

2人求め合った。睡眠時間がほぼ無い状態で出勤時間1時間前まで現実逃避に走る2人。


出勤日が近づくにつれて、あたしの脳内はほぼパンク状態。

そして、先の見えない泥沼に浸かり始めている事に2人して気がつかずに居た。


刻々と時間は過ぎ、出勤時間が近づいていく...

怖い、お店に行くのが怖い。行きたくない、仕事したくないダウン

帰れるものなら、田舎に帰りたい。


しかし、田舎に帰ると言う事は彼と離れると言う事に繫がる

あの頃のあたしは、彼の容姿に惹かれ、彼の頭の良さにに惹かれ

彼の虜になっていた。なので、あたしは彼の思うがままに動いた。


『彼と別れる事が嫌、ただ、それだけの為に・・・・・・』


初出勤当日、あたしは恐怖心に心が歪み、現実と夢との境が分からなくなっていた。

自分の居場所が現実である事が実感出来ずに、ただ何かに恐怖を抱き

現実から逃げたい思いだった。あたしが選んだ道。

だが、その時は自分が選んだ道さえも、見失いかけていた。


時間が刻々と迫ってくる......


1分...1秒...時間はどんどん過ぎていく。

時間が止まってくれれば、どれだけ良いか...どれだけ楽か...

初出勤当日、一瞬死にたいとさえ思った。でも、横に居る彼を見て思いとどまる。

彼との時間は、あたしにとって大事な時間だから。

あたしが頑張るしか...頑張れ、あたし。そう思いながらも恐怖と戦い続けた汗汗汗


出勤1時間前、シャワーを浴び、メイクをし、服に着替え、準備をする度に

トイレへ向かう。出勤時間が迫れば迫るほど......

ストレス性のものから、お腹を下し、トイレから出られずにいた。

腹痛に顔が歪み、痛みに耐えながら、腹痛で顔が歪むと同時に、心まで歪んでくようだった。


初出勤と言う事もあり、持病を持つあたしに気を遣った彼は

お店の近くまで送りをすると言う。あたしが準備が終わり腹痛に耐え

トイレで格闘してる頃、彼も同じく外出の準備を始めた。

あたしの唯一の救いは、彼が初出勤の日、お店の前まで送りをしてくれる事だったあせる


今にも泣き出したい衝動にかられてる自分を、彼が励まし常に笑わせてくれていた。


出勤15分前・・・・・・・・


お店と寮が近いと言う事もありあたしはギリギリまでトイレから出られなかった。


彼に急かされ、慌てて玄関の鍵を閉め彼と共に出勤する。

勿論、お店の前に行けば、彼とは別れる事になる。それが嫌で半べそになった事もあった。


そして、お店の扉を開けたのである!!




田舎から出て来て、すぐにヘルスに行くと言う事を敢えてしなかった。

あたしも、彼も田舎から出てくるのに気持ちの整理が必要だった。


特にあたしは、これから始まる生活の先が見えない事への気持ちの整理と...

家族を捨てたと言う負い目と、離婚届を置いて出てきたと言う不安が頭をよぎり

すぐにヘルスのお店へ行く事が出来ずにいたあせる


彼は、それを察知していたのか、1日ラブホテルでゆっくりしようと言った。

その日の夜は、無我夢中で彼を求めた。

彼を求める事で、何かを忘れるかのように。

これからの仕事で汚れてく。そんな風に考えていた自分は...


彼を求める事で、自分は愛されてるから大丈夫と確認してるかのようだった。


お金をそんなに持ってない2人は

やっぱりラブホテルでの生活など出来る筈も無く

あたしの風俗への怖いと言う恐怖心よりも

家が無く、お金が無いと言う現実が重たい足をヘルスのお店に

電話をかけるように仕向け、ヘルスのお店へ行く事に繫がる!!


どんなにあたしが怖いと思っても、田舎を出る時の彼との約束は

家が無い、お金が無い、生活の基盤を作るにあたり

風俗で働くと言う事を前提の基、田舎を飛び出す決意をしたのであるダウン


でも、いきなり風俗の『ふ』の字も知らない田舎娘が

ヘルスへ飛び込んで何か出来る筈は無く、恐怖心が顔に滲み出てる

あたしにとって、ヘルスで働く事はあたしにとっても

あの当時のあたしに付くお客さんにとっても、可哀相だと今更ながら思うガーン



お店に電話をかけるとボーイさんらしい男性が...

あたしと彼を近くまで迎えに来ていた。

そして、ボーイさんは、あたしのトランクを持って

歩いて徒歩10分のとこのお店まで連れて行ってくれた。


お店の外で彼は待ってるように言われ

あたしは、待合室と言われる場所でアンケートや

履歴書を書かされ身分証明書をコピーされる。


お店の中でアンケートを書きながら、石鹸の匂いや

女性の香水などの匂いで気持ち悪くなってきた。


1人のオーナーらしき、おばさんがやってきて

あたしに声をかけて来た。


『大変だったね、これからは何でも私に言ってね』

『出来る限りの協力はするから、この仕事は初めて?』

『大変だけど、仕事の事、何でも聞いて』

『ちょっと待ってて』


そう言ったおばさんは、裏の部屋に行き、2人分の茶碗やコップ

そして、スプーンやお箸などを幾つか渡してきた。


『良ければこれ、使って』


あの時のあたしは、無関心、無感情!

今ならこういう優しさをされると『ありがとう』と言えるけれど...

あの当時のあたしに『ありがとう』の言葉などあせる


このおばさんの優しさでさえ、怖いと感じていた。


アンケートが一通り終わり、先ほどと同じボーイさんが

あたしと外で待ってる彼を寮へ連れて行く...


ラブホテルから、寮へ行くまでの約2日間汗汗汗



あたしは、無関心、無感情のまま、ただ、機械のように...

ただ、ロボットのように動いていた。


でも、彼といる時だけは、常に笑顔だった...

でも、やっぱり心が暗いあたしの笑顔は彼の前でも暗かった。