こんにちは。

前回は私の宗教観について,その思想面をネガティヴな視点のみでコメントしてしました。

しかし,すべての宗教団体がおかしな考えといっているわけでもなく

また,利己主義を掲げて顕教したわけではないと思います。

それでも宗教の特性上,権力の世襲制を導入していることが多いため,

初代の顕教者が本当に自己犠牲の精神で『人類の救済』などの大義名分を掲げても,

貧乏のち苦労の末に開拓した開山開祖の初代宗教家と異なり,

金銭的に裕福な温室育ちの二代目・三代目が求心力をなくして勝手に方針転換して迷走し,

金儲けを優先したカルト教団化する事例も多く見受けられます。

しかし,その教義が『人に感謝しよう』『人に親切にしよう』などのあたたかい心であり,

社会の改善に役立つものであれば存在意義はあると思います。

更に付け加えますと,お経や祝詞の類の効能があるのかということに関しては

全く科学的な根拠がない以上,このブログでは特別な意味や見解を与えないという立場をとることにします。

しかし,実際にそれを唱えて心を救われている人間もいると思うので社会的害悪であるといった見解を与えるのには早計であることをここに記しておきます。

私個人としては仏教に対して肯定的な興味があります。

今から千年前に大陸から真言密教を輸入し,独自の論理体系で進化させて開拓した空海という大僧侶を心から尊敬しています。

彼は日本を代表する宗教人であるとともに,我が国始まって以来のクリエイターでした。

ときは8世紀,今から遡ること1200年以上前,讃岐の有力者の家系に生まれた彼ですが,

若い頃はわかっていないことが多いそうで,どうやら修行者として数年間山に籠っていたそうです。

その後は平城京に上洛。勉学に勤しみました。

そして遣唐使として選ばれたのち大陸に渡りました。

長安では数千人いた先輩弟子を差し置いて一国の留学生にもかかわらず密教の正統なトップ後継者として認められました。

そののち多くの仏典・仏具を持って日本へ帰国します(今は国宝)。

そして帰ってからは,唐から持ち帰ったお経を彼の論理的体系をもって解釈し,

自身の密教思想と融合させ,真言宗という一大宗派をひとりで築き上げました。

その影響は宗教にとどまりません。

唐で見た新たな技術をもとに土木の指導し,旱魃の多い讃岐には多くの溜め池を作り,各地の川には橋を架け,

日本各地に仏教文化と当時の先進技術の普及に貢献しました。

また,筆を握れば楷書・行書・草書・隷書など様々な字体を操りました。

その書は当時の嵯峨天皇に認められ,真言宗とともに庇護を受けることになりました(それも国宝)。

同時期の僧・最澄とのやりとりの手紙が今に伝えられていますが,その中で空海の論理性,文学性,皮肉めいた表現力,それらは1200年前のものとは思えないくらいに革新的です。

そして,彼によって花開いた日本の宗派仏教文化もとても美しいものであると思います。

密教についての詳細や各宗派の思想内容に関して,私はその道に明るくないのでわかりませんが

歴史が好きなひとりの意見としてカルトの奴らには,

そのような経緯を学んだうえで自分たちの歴史の浅さと宗教の価値の偉大さを認識していただきたいものです。

仏教や神道,海外宗教,新興宗教に至るまできちんと『顕教の目的』『思想の論理性』『社会的意義と影響力』がおのおのにある以上,一宗派のみが正しいとか間違っているなどと意味を与えたり考えだすことがナンセンスであり,

自分の宗教の優位性をアピールするために他の宗教や他人の価値観を罵倒したり否定することは失礼だと思います。

したがって,思想がひとつもないのに歴史の教科書で習ったレベルの知識で,

教祖の先生から放たれる妄言を『唯一の仏教の正統』などという受け売りの言葉で脚色しながら布教している,

YESマンの街角にいる勧誘の青年おばさんおじいさんは反省すべきです。

われわれ日本人が千年以上かけて伝承してきた伝統的な文化である『仏教』というワードを汚さないでほしいものです。

私自身の宗教観が長くなってしまいましたが,次回からお待ちかねの宗教勧誘に出会ったこと,そしてそれは意外な場所で声をかけられたことを話します。。。