わたしの恋愛トリセツ ~ショータローの場合~ | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

 

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思いがけずナイスな説明書が出て来たので。小話を一つ。
 
「尚、尚、もう起きて。朝よ。」
 
祥子がゆさゆさとショータローを揺すって起こすも、寝ぎたないショータローは一向に起きようとしない。
 
「やだ。祥子さん、キスの一つもしてよ。」
 
朝っぱらとんでもない要求する担当歌手に、祥子は困った顔をした。
 
「もう、本当に甘えたさんね。」そう言って、祥子はショータローの要求通り口づけた。
 
そんな事を口では言いながらも、自分に甘えてくる年下のショータローの事がそれほど嫌いではない。
仕事中の世話をするのも自分の仕事の一環だし、それを超えての事は自分が好きでしてるのだからなにも文句はない。
尚はそう遠くない将来世界に通じる音楽家になるのだと、その手伝いを出来る自分は幸せ者だと祥子は思っている。
 
今日最初の仕事先であるTVの通路をショータローと一緒に歩いていると、前を見覚えのありすぎる栗色の髪の毛の少女が歩いていた。
 
「あら、キョーコちゃん。おはよう。あなたも、この局で仕事なの?」
 
「あ、おはようございます。祥子さん。いえ、ちょっと差し入れに。」
 
そう言って頬をバラ色に染めてはにかむキョーコは、どこからどう見ても恋する少女にしか見えない。
それが面白くないのか、ショータローが嚙みついた。
 
「差し入れ?どこの誰にだよ!!」
 
「どうして、一々あんたに言わなきゃいけないわけ?ほっといてよ!!」
 
「ほっとけるかよ!!どうせ、あのホニャララな男の所に行く気なんだろ!!」
 
祥子には、今一、何故ショータローがこんなにもキョーコに突っかかるのか分からない。
もしかして、とも思ったこともあるが、以前、ショータロー自身が、キョーコは趣味じゃないと言い放った事があるので、それはあり得ないと思う。
 
ピリピリした空気が流れる中、第三者、しかもショータローが大嫌いと公言して憚らないトップ俳優の声がした。
 
「最上さん。どうしたの?」
 
「あ、敦賀さん。すみません。遅くなりまして。」
 
「いや、気にしなくて大丈夫だよ。ああ、不破君、おはよう。」
 
にっこり笑う蓮に、ショータローのみならず祥子までもが獰猛な動物に睨まれたような気がして、ブルリと身震いした。
 
「荷物、持つよ。」
 
「そんな恐れ多いこと!!」
 
「恐れ多くないよ。男が荷物を持つのは当たり前だろう?それに、最上さん、忙しい中お弁当作って来てくれたんだし。社さんもお腹を空かせて待ってるから早く行こう?」
 
「はい。あ、祥子さん、お先に失礼しますね。」
 
キョーコと蓮が連れ立って行ってから、ショータローがずっとキョーコの持っていた荷物を物欲しそうに見ていた事に祥子が気付いたのは翌日の事である。