彼女の夢 15 | お気楽ごくらく日記

お気楽ごくらく日記

白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




ジュリエナの絶対命令で、久遠とキョーコの新居に3人きりにされた最上親子の間に気まずい空気が流れていた。



久遠は、三人の様子が気がかりながらもジュリエナの命令には背けなくて、気にしながらも両親の待つ自宅に戻っていった。



恭紫朗は、久しぶりに会う冴菜はともかく、成人したキョーコを娘だと言われても頭がついて行かなかった。



冴菜は冴菜で、別れた夫との距離間を取りあぐねていた。また、キョーコが独り立ちしてからは、程よい距離感でもって良好な関係を保っているつもりでいた。
しかし、こうやって顔を見ると、ついつい冷たい態度を取ってしまう自分に自己嫌悪し、落ち込んでもいた。



キョーコは初めて会う男性を父親だと紹介されても、物心つく前から父親がいないのが当たり前だったので、未だ受け入れられず戸惑っていた。
最近では和やかに会話が出来るようになったと思っていたのに、いざこうして冴菜を目の前にすると、心身ともに硬直してしまっていた。



恭紫朗は溜息を吐いた。

「なぜ、黙ってた?」

その問いに冴菜は気まずそうに顔を逸らした。

二人は刑事と弁護士で、仕事の関係上いくらでも顔を合わせる機会があった。恭紫朗の顔は、娘の存在をなぜ父親の自分に言ってくれなかったのかと、冴菜を非難していた。

そんな恭紫朗の責めるような眼差しに、もう逃れられないと悟ったのか冴菜はぽつりぽつりと話し始めた。

「・・・・言えなかったのよ。もう別れた後だったから・・・・」

恭紫朗とキョーコは耳を澄ませた。

「妊娠が分かったのは、あなたと別れてから3ヶ月近く経っていたわ。その頃の私は、仕事に遣り甲斐を感じていて、最初はこの娘を、キョ-コを産むつもりはなかった。産めば、仕事の邪魔にしかならない。そんな最低なことを考えてたわ。」

自分を産むつもりはなかったと、実母の口から聞かされたキョーコの衝撃は大きかった。
ショックを受けている娘を見つめて、冴菜はごめんねと囁いた。

「けれど、それは自分の胸の内に仕舞ってたのに、やっぱり周囲にはバレバレだったみたい。ある時、上司に呼ばれたの。『仕事には、あなたが復帰しようという意志があれば何時でも出来る。命と言う物を軽々しく見てはいけない。今、こうしている間にもお腹の子は必死で生きようともがいてるの。育休と産休なら問題ないから、産みなさい。何か問題が発生しても極力、力になるから。』って言われたの。」

冴菜はそこで一旦息を吐いた。

「そして、その年のクリスマスに出産したの。赤ん坊のあなたを見て、それまでに感じたことのない愛おしさが込上げて来たわ。これが、俗に言う母性って物なのねって思ったのを覚えてるわ。」

「恭紫朗、あなたに連絡しなかったのは、もう夫婦関係が破綻していたから。こ子の事を話す事で、よりを戻そうと思われるのが嫌だったから。」

その言葉を聞いて、恭紫朗は溜息を吐いた。

《つづく》

12月に入ったとたん、いきなり雪が降るぐらいの寒さに見舞われていますが、風邪などには気を付けてくださいね。

次は、出来たら魔人様の3周年記念の罠の続きを更新できたらいいなと思ってます。