台風11号に乗っかって日本脱出を企んでおりましたが、編集チョーに全権を託された魔人様の放った投げ縄に取っ捕まってしまいました(@Д@;
「快適な夏を貴方に~冷やし京子着てみました~(仮)」
<リク罠>【リク罠150】からの派生罠です。
今回の冷やし京子CMは、世界初「冷やせるシャツ」です。冷蔵庫で一晩冷やせば、通勤時や省エネによる微妙な室温のオフィスでも快適に過ごせます。
冷蔵庫内の映像は3枚程重ねて冷やして常備してる感じで!CMでは、露出が激し目な氷の女王風のキョコさんが、男性の背後に立ち(人間設定ではないので、ふわふわ宙に浮いていてもオッケー)、その肩の上から手をまわし、男性を抱きしめています。シャツの快適さを表現するCMなので、通勤時や仕事中にも半透明なキョコさんが背中に抱きついたり、前から抱きついたりしてくれます。ちなみに女性の身体は服で直接長時間冷やす行為が危険な為、発売されません。キョーコさんは、人間ではなく、妖精のような感じで。着替えるときに、顔に氷の女王の冷たい息をかけちゃうとかもありです。
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「OK。京子が着替えてから、今度は抱き枕の写真撮影とCMの撮影をするぞ。」
黒崎はそう言ってから、蓮と社に目を向けた。
「そう言う訳だから、もう少し待ってくれ。」
二人はそろって頷いた。元々、社はこの撮影後には何も予定を入れてなかったので、撮影が長引こうがどうしようが一切問題はなかった。
スタッフたちがセットを変えるために、忙しそうに立ち働いてるのを確認すると、蓮は思い切ってさっきからモヤモヤしていた事柄を黒崎にぶつけて見た。
「黒崎監督。一つお聞きしたいんですが。」
蓮がそう切り出すと、黒崎は片眉を上げて「何だ?」と眼だけで聞き返してきた。
「先ほどのも・・・・京子の衣装のことなんですけど。どうして水着なんですか!!」
質問するというよりは、完全に咎めるような蓮の口調にもどこ吹く風とばかりに黒崎は、飄々と答えた。
「敦賀蓮ともあろう者がそんなことも分からないのか?」
いや、分かる。分かりすぎるほど分かる。
今回のあれは、今夏発売されるメンズのシャツの販売数を上げるための戦略の一つだということを。
同じ水着姿でも他の女優や女性タレントなら、自分は何も言わない。それが仕事だからだ。
けれど、公私混同だと指摘されようともあれだけは頂けないのだ。自分の恋しい少女の入浴シーンやら水着姿をなにが悲しゅうて、他の野郎どもに見せないといけないのか。
そんな蓮の思いを見て取ったのか、隣では社がヤレヤレと首を振って溜息を吐いていたが、蓮はそれをスルーした。
黒崎はチンピラの如く鋭い視線を蓮に投げかけた。常人なら脱兎の如くその場から逃げ出しそうな視線だが、蓮も氷柱のような視線を黒崎に向けた。
「あのなあ。言っとくが、あれはちゃんとLMEの許可を取ったんだぞ。まず、最初の入浴シーンだが、俺としては全裸なのが理想なんだが・・・・」
その言葉に蓮の視線はますます剣呑な物になっていった。
「京子は未成年だからな。水着着用でと事務所から釘を刺されたんだ。
洋服の青○は、ポスターには京子が入浴しているものは絶対はずせないと言うからな。今回タイアップしている繊維業界でトップクラスの△▽と相談して、限りなく京子の肌に近い色合いの水着を作って、それを京子が着用してバブルバスに入浴すると言うことで折り合いを決めたんだ。お前さんも見てたから分かっただろうが、ほとんど露出してなかっただろう?」
その問いに蓮はしぶしぶ頷いた。
「二着目の水着だが・・・。お前さんもモデルをしてるから分かってると思ったんだが、違うのか?」
「?」黒崎が何を言わんとしているのか分からずに、蓮は頭に?をハデに飛ばした。
「今時、未成年でもビキニくらいは着るんだよ。」
「そ・・・・れは・・・・」
最近、色んな雑誌にキョーコのインタビューやら特集やらが出るようになって来たので、蓮はキョーコに関する記事が小さくても載っている物は全て買い揃えていた。
雑誌の中には、キョーコと同い年ぐらいの少女たちがビキニを着て、惜しげもなくその肢体を晒しているグラビアがあるのに気付いてはいたが、キョーコ以外興味のない蓮は見事にそのページをすっ飛ばしていたのだ。
「京子のあの体のラインを隠すなんて勿体無いと思わないか?」
頷きたい様な頷きたくない様な質問をされ、蓮が黙り込んでいると、構わずに黒崎は続けた。
「再度言うが、今回の商品の購買層のターゲットは20~40代をメインにしてるんだよ。しかも季節が夏だ。京子は今や赤丸人気上昇中のタレントだ。そんな京子の水着姿のグッズがあったら飛び付きたいと思う男がいてもおかしくないだろう?」
ん?と訊かれて、蓮は思わず、その筆頭は俺です!!と力説しそうになった。
そんな蓮を見て、黒崎と社はニヤニヤ笑っている。居たたまれなくなった蓮が視線を外すと、先ほどとは比べ物にならないくらい大きなどよめきが上がった。
どよめきの起こった方向に視線を向けると、そこには息が止まるかと思うくらい綺麗なキョーコが立っていた。
薄い水色の膝丈のノースリーブのワンピースに、頭には水色に輝く石(アクアマリンかブルートパーズと思われる)と水晶を繋ぎ合わせたこれまた涼しげな色合いのヘッドアクセサリを着けていた。
メイクも薄いブルーを使っていて、現実に水の妖精がいたら、きっと彼女の様なんだろうなと蓮がぼんやり思っていると、黒崎の呟きが聞こえてきた。
「化ける化けるとは思ってはいたがここまでとはな。腕が鳴るぜ。」
《つづく》