君といつまでも3~カレンダーイラストからの妄想~ | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

キョーコがローリィの屋敷を辞した後、ローリィはセバスチャンに、「最上君の身辺調査を頼む。それから、今から社と蓮を事務所の社長室に連れて来てくれ。何もかも、それからだ。」と命じた。


「畏まりました。」と言って、部屋を出て行こうとするセバスチャンに向かって、


ローリィは、「蓮の奴が暴れて手におえない様だったら、どんな手段を使ってもいいからな。」と言い添えた。



                ~回想③~

 

それから数時間後。


ローリィの邸を辞したキョーコは、松乃園の近くのバス停留所で佇んでいた。

強く決心してきたはずなのに、いざ、ここまで来ると、足がすくんで動けなくなってしまったのだ。


(勢い込んで、ここまで来たのはいいけど。ショータローに唆されたとはいえ、女将さんや板長を裏切るような真似をしてしまって、いったいどんな顔をして会えばいいのかしら。)

と、悶々と考えていると、後ろから声がした。


「キョーコちゃん?そこに居てるんは、キョーコちゃんやないの?」それは、懐かしい、でも、顔を合わせづらい女性の声だった。


「・・・・・女将さん、ご無沙汰してます。そ・・」全部を言わせたは貰えなかった。なぜなら、その人物に強く抱きしめられたのだ。


「何も気にせんで、ええんよ。キョーコちゃんが元気なら。ほら、ウチにその顔をよお~く見せておくれやす。」と、キョーコの頬を両手で挟むと、キョーコの顔を覗き込んだ。


「元気そうで、何よりやわあ。ウチのヒトもキョーコちゃんのこと、気にしとったんよ。こんなとこで立ち話もあれやから、家へいらっしゃい。ちょうど松太郎も帰ってきてるんよ。」


その言葉に、キョーコの顔が一瞬強張ったのを女将は見逃さなかったが、何食わぬ顔でキョーコを案内した。


敷居が高すぎて、躊躇しているキョーコにはお構いなしに、女将は「ここは、キョーコちゃんの家でもあるんやから。」と、強引にキョーコの手を引き、旅館の玄関からではなく、裏口から家に入った。

「アンタ、アンタ、キョーコちゃんが帰ってきたで。」と、女将が部屋の奥に呼びかけると、


「おう、キョーコちゃん。エライ別嬪さんになって。よう帰って来たなあ。」と、厳しい顔つきの男性がうれしそうな表情を浮かべながら、部屋の奥から顔を出した。


「黙って、いなくなったりして、申し訳ございませんでした。」キョーコは、かつて黙っていなくなった事を、謝罪した。

それをしなければ、前に進めないと思ったからなのだが。


「そんなもん、気にせんでええ。キョーコちゃんが元気やったら、それで何も言うことはないんや。」と、ポンポンとキョーコの頭を優しく叩いた。


「お茶でも淹れるから、キョーコちゃんのこと色々聞かせておくれやす。」と言って、女将はそそくさと台所に行ってしまった。


客間に通されたキョーコは、ショータローの父親と向かい合わせに座りながら、(どうやって、切り出そう。)と悩んでいた。


キョーコにとって、育ての親であるのだ。その親に逆らうことなど、真面目なキョーコには心苦しかった。だが、それ以上に、望まない相手(しかもショータロー)との結婚だなんて、天と地がひっくり返っても御免だった。


お茶とお茶請けのお菓子を載せた盆を持った女将が、静々と客間に入ってきた。


しばしの間3人はお茶を飲んでいたのだが、女将が何食わぬ顔で「キョーコちゃん、暫く家に泊まっていき。松太郎も喜ぶわ、きっと。」と切り出した。


「その、女将さん、板長そのこ」


「そうそう。部屋は松太郎と一緒でかまわへんな。来月には夫婦(めおと)になるんやさかいに。うち、ずっと、ずっと、キョーコちゃんが本当の娘になってくれるんを夢見てたんよ。」と、嬉しそうに両手を合わせる女将に、キョーコは何も言えなくなってしまったのだった。


《つづく》

京都弁、と言うより和歌山弁になってしまってる・・・・かもヽ(;´Д`)ノ