君といつまでも1~カレンダーイラストからの妄想~ | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

成立後で同棲してます。出だしから暗いです。すみません。


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SIDE キョーコ


「 ど・・・・・うしよう・・・。女将さんたちを説得するために京都に戻ってきたのに、説得どころか話すら聞いてもらえないなんて・・・このままじゃあ、本当に・・・・」


キョーコは、蓮との思い出が詰まっているコーンの森で佇んでいた。


蓮の下から去って1ヶ月。蓮がいない寂しさを紛らわそうと、二人の思い出のこの地にお遣いに出されたついでに寄ったけれど、寂しさが余計に募っていった。


話は1ヶ月前に遡る。


              ~回想 キョーコ編①~

「お疲れ様でした。」その日の撮影を終えたキョーコは、スタッフや共演者たちに挨拶をして回って、自分の楽屋へと戻った。


「あっ、もう蓮さん家に着いてる頃かしら?」時計を見ながら、キョーコは呟いた。その日は珍しく、蓮のほうが早く仕事が終わる予定だったのだ。


好きな人が部屋で待っていてくれると思うだけで、キョーコの足取りも自然と速くなった。しかも最近では、簡単な料理なら蓮も作れるようになっていたので、早く仕事が上がった時は、夕食の準備をして待っていてくれるのだ。


けれど、それもTV局を出るまでだった。TV局から出た所で、コツコツと前から誰かが歩いてくる音がした。挨拶をしようと顔を上げたキョーコは、息が止まる思いがした。


この世で一番会いたくなくて、けれど避けては通れない人物だった。


「・・・お・・・かあ・・・さ・・ん」蓮や奏江達と過ごして、少しは強くなったつもりでいたのに、母の顔を見ただけで上手く息ができなくなってしまった。


「忙しいから、要件だけ言ううわ。キョーコ、今すぐに京都に帰って、松太郎君と結婚しなさい。」藪から棒に冴菜はキョーコに告げた。


「待って、お母さん。わた・・・」キョーコは蓮と結婚を前提に付き合っていることを話そうとしたけれど、


冴菜は冷ややかにキョーコを見ると、「貴女が、敦賀蓮と付き合ってるのは知ってるわ。貴女には選択権なんて全くないのよ。貴女を不破さんに預ける代わりに、年頃になったら、松太郎君と結婚して、松乃園の若女将にしてもいいと、女将さんたちと約束をしたのよ。それを反故する訳にはいかないの夜、私は。」

あまりにも一方的なことをキョーコに告げた。


それでも、キョーコが反駁しようと口を開きかけたが、


「反抗してもいいけどね。その代わり、敦賀蓮が今後一切日本で芸能活動が出来なくなっても知らないわよ。」言うだけ言うと、冴菜は踵を返して、闇の中に消えていった。


キョーコはしばらく呆然と、その場に立ち尽くしていた。母は、蓮とまた違った意味合いで有言実行な人物であることを、キョーコはよく知っていた。蓮の側は居心地が良くて、離れがたいけれど、自分が側にいることで本当に芸能界から蓮が追放されてしまったら・・・・怖い考えが頭を過ぎった。


「・・・・コ・・・・・・ーコ・・・・・・・キョーコ?」何処をどうやってたどり着いたのか、気付いたら、蓮と暮らしてるマンションにたどり着いていて、蓮が心配気にキョーコの顔を下から覗き込んでいた。


「・・・え?」ノロノロとキョーコが顔を上げると、


「どうした?何か心配事なら話を聞くよ?」心からキョーコを心配してると分かる声音で、聞いてきた。


いつもの優しげな蓮の顔を見て、冴菜に言われたことを蓮に話そうと思った。けれど、その一方でキョーコは口に出してしまうと、それが事実になってしまいそうで怖かった。その代わり出てきた言葉が口をついて出てきた。


「な・・・にも?ちょっと仕事で失敗して自己嫌悪に陥ってるだけ・・・それよりも、お願いがあるの。」


蓮が優しく目で先を促すと、


「明日からも頑張れるように、・・・・だ・・・いてほしいの。」言葉は最後の方は小さくなってしまったけれど、完璧に聞こえた蓮は目を瞠った。


いつも求めるのは蓮からばかりで、キョーコからは殆ど無かったのだから。けれど、潤んだ瞳でじっと見つめられると、悲しいかな、本能で蓮はキョーコを抱き上げると寝室に足を運んだ。


蓮は、後々この時のキョーコの異変に気づきながらも欲望に負けてスルーしてしまったことを後悔してしまう事をまだ知る由もなかった。

《続く》

現実逃避で書いちゃった(*ノω・*)テヘ