いつものように、会社近くの24時間営業のスーパーで、夜食と明日のお弁当の材料を買い、
いつものように、車に乗り込み、帰宅する。
これが私の日常。
だけど、アパートの駐車場はすでに満車で、借りれたのはそこから300メートル離れた駐車場。
だから、帰宅はいつも憂鬱になる。
しかも最近は、今手掛けている仕事が修羅場を迎えていて、連日残業状態。
…新人君から、ブラック企業と揶揄されても、否定できない。
実際は、会社はあまり残業は推奨していないのだけど、業務内容からか、どうしても定時に終わらないことが多い。
人を入れるか、ロボットを入れるか…どちらにしても、あまり資本力もない小さな会社では、それも望めなさそう。
だけど、仕事には不満はない。これほど面白い仕事はないと他にないと思う…多分。
そして、今日も残業で真夜中帰り。
、
駐車場に、ウサギの顔のエンブレムの付いた、いわゆる女性向けに作られたという車を降り、
お気に入りのショルダーバッグと、先程かった食料が詰まった雑誌の付録だったエコバッグを抱え、
「ふぅ…」
300メートル離れた我が家へと歩み始める。ちょっと憂鬱だけど、帰らないと。
この300メートルの道、あまり街灯もないので、懐中電灯を使い、道を照らす。
それにこの懐中電灯には、瞬間だけど眼が眩むほど明るくなり、護身用にもいい。もともと、
警察官や警備員用に開発されたものだそうだ。だから、性能は折り紙付き。頼もしい。
だけど、向かいから近づいてくる人影が見えるとやっぱり怖い。
いつも警戒してしまう。
そして、今日もまた前から3人ほどの影が…
私は目をなるべく合わせようとせず、懐中電灯の護身用のスイッチに親指を置いて、何もありませんように。
そう祈る気持ちで、近づいてくる3人からなるべく早くすれ違い、離れたいと思っていた。
街頭で人影の正体が一瞬だけど確認できた。
3人とも男性で、一人は赤いジャンパーにジーンズ。
一人は、ラインの入ったジャージ(?)みたいな上下の服装で、スニーカーを履いている。ちょっとヒップホップ入ってる感じ。
もう一人は…袖のないダウンジャケットを着て、その下はチェックのシャツみたい。ジーンズは、かなり履きこんでいるようで、
色褪せているようだ。
3人とも何やら談笑しているようで、時々笑い声が聞こえる。
その3人が、もう数メートルほど近づいてきた。3メートル、2メートル…
すれ違う瞬間、凄く心臓が大きな音を立てて、速くなっていくのが聞こえる。
でも、何事もなかった…ちょっと安心して、速足でその場を去ろうとした瞬間!
突然、誰かに押されたのを感じ、体が左側の塀に、
「ドンッ!!」
と、強く衝突する。
私は何があったのか理解できず、そのまま、その場で崩れ落ちる。
そして次の瞬間、カバンやエコバッグが宙を舞い、地面に倒されると!!
「殺される!!」
そう思った私は右手に握っていた懐中電灯の、護身用スイッチを強く押す!
その瞬間、辺りに目が開けていられないほどの強い光が、懐中電灯から照射され、
「うわぁ~!!」
と、男たちが叫び声をあげて目を押さえながら、フラフラしながら逃げようとする。
私は、意味不明な言葉を叫びながら…
気が付いたら、男たち3人が血まみれになって、地面に転がっていた。ピクリともせず…
私は、思わず両手を見る。返り血を浴びた服と、血まみれになった両手を…
「や、やっちゃった…ヤッチャッタ…ハハ、アハハハ、アハハハハハ…」
恐怖と快楽と、複雑な感情に支配されながら私は…
はっ!
と気づくと、男たちが談笑しながら私の横を通り過ぎて行った。
私が防衛のためとはいえ、手をかけてしまったと思った男性たち…
通り過ぎた後、「次、どこのお店に寄る?」
「外飲みは高いから、俺の家に来ない?安いけどおいしいお酒手に入れたから」
そんな会話が耳に入ってきた。
ふと思わず手を見ると…いつものようにエコバッグを持ち、懐中電灯を握り、親指は護身用のスイッチに置かれていた。
「ふぅ…」
今日も何事もなかった…
私はいつものように家路を急いだ。
FIN
