長男が生まれた時、感動の初対面、「亡くなった父方のジイさんに似てる、と云う事は俺の子に間違いなさそうやな」などと心の中で密かに思いながら、こわごわ抱いた。
当時の僕の仕事は大工さん、しょっちゅう金づちで誤って指を叩いたり、刃物で切ったり、くぎ打ち機で手のひら貫通させたり、ハシゴから落ちた青タンやらで、生傷があるのが常の状態、現場の昼休みに仲間と「高島屋に左手売ってないかなぁ~、買って交換したいくらいに痛いわ」などと冗談を言い合うほど、アチコチ痛んでました。
そんな僕が長男を抱いた時のホントの感想は
「ええなぁ~コイツ、全部の部品がサラやなぁ~」
「サラのまんま、どっこも傷つかんと成長してほしいなぁ~」
「あっ、オトンとオカンは傷だらけの僕をどんな思いでみてるんやろ・・・」
自分の子供を抱くまで、そんな事を考えた事もなかった。
「貰ったカラダを勝手に傷つけてごめんなさい」
親になってようやく、子を思う親心が少しわかった。
そんな想像力すら持ち合わせていなかった自分自身を恥じた、
嬉しくもあり、情けないやら複雑な思いをした息子の誕生でした。
