今の世の中はニセモノで溢れています。
政治の世界も混乱が続いています。
第一次野田内閣(二〇一一年九月成立)で防衛相になった一川保夫は、「(自分は)安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロー
ル(文民統制)だ」「防衛のみならず、あらゆる分野で国民的な感覚、一種の素人的な感覚でしっかりと対応したい」と妄言を吐きました。
同年一一月にはブータン国王を歓迎する宮中晩餐会を欠席し、民主党の高橋千秋議員の政治資金パーティーに参加。「こちらのほうが大事だ」と発言し
ている。普天間基地移設問題のきっかけとなった米兵少女暴行事件については「正確な中身を詳細には知らない」と答弁しています。
続く野田改造内閣(二〇一二年一月成立)で防衛相になった田中直紀もまた安全保障の素人でした。武器使用基準の緩和と武器輸出三原則の見直しを混同したり、日米政府間の極秘文書を暴露したりと、女房を彷彿させる暴走ぶりを見せた。
世界が経済危機に直面する中、財務相には安住淳が選ばれました。財政政策についての実績も見識もまったくない素人です。
この人事には、経済界はもちろん、民主党内からも不安視する声があがりました。
普通に考えれば、財務省に仕事を丸投げしたということでしょう。中途半端に経済がわかる人間をトップに据えると、余計なことを言い出して面倒なので、無能中の無能を選んだと。柔道をやっていた野田佳彦は「寝技は苦手」と謙遜していましたが、どうもそうでもないらしい。
この人事に敏感に反応したのは海外メディアでした。
「活発で単刀直入な四九歳」「安住氏自身のウェブサイトを見る限りでは、円高よりも一四人組のダンスボーカルユニットEXILEに詳しいようだ」
「安住氏のサイトにある二〇〇九年一一月のブログでは、明仁天皇の即位二〇周年記念の式典でついにEXILEのメンバーと会った日のことが書かれている。
そこでは自身の写真に加え、『やっと会えました』という吹き出し付きで、『会えた、会えた、会えた、・・・会えました』と記されている」(米紙『ウォー
ル・ストリート・ジャーナル』)
「公式サイトから判断すると、EXILEが得意分野らしい」(英紙『インディペンデント』)
すでに世界にはこうした深刻なメッセージが発信されているわけです。
安住のあだ名は「ちびっこギャング」です。『週刊ポスト』(二〇一一年九月三〇日号)によると、安住は周囲に「俺は暴走族出身だからな」と言って回っているとのこと。
一八世紀の巨匠ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(一七四九~一八三二年)は、「活動的なバカより恐ろしいものはない」と言い、素人が政治に口を出すことを批判しました。
ところが今や、素人が政治に口を出すどころか、素人が閣僚になっている。国家の中枢に「活発で単刀直入」なバカが居座るようになってしまった。
(現代ビジネスより)
本当に素人が政治の世界を席巻しようとしています。
お笑いタレントが知事に転身すること、グラドルや元スポーツ選手、俳優が知名度を利用して政治家に立候補することは当たり前の出来事になっています。すべての候補者に失格の烙印を押すつもりはありませんし、そもそも最初は皆素人なのだから同じだという見方がありますが、政策を地道に訴え続け、辻立ち演説などを繰り返してきて政治に一生をささげようと入ってきた人とタレント生命の陰りが見えた人や、事もあろうに議席数を確保するためにプロの政治家が擁立するタレントではスタートや根本が違うといえるでしょう。その中でも一線を画し、いままさに日本に風を起こそうとしている、弁護士タレント出身の橋下大阪市長は別の意味で素人感覚を利用して大衆の支持を得て、国政にも触手を伸ばそうとしています。
国民はいろんな情報やテレビのニュースで麻痺しています。
地道な政治家の実績や訴えを知らずに、露出度の多い、馴染みのあるある元タレントなどの言葉を鵜呑みにする傾向(というか話す中身はどうでもいい)、支持する傾向がある。
ヒットラー、スターリンなどようなの衆愚政治到来とは言わないが、ようは官僚がしっかりしていれば(牛耳っていれば)、政治が簡単に動くということなのだ。そして政治家は取り換えのきく道具としかみられていないのかも知れません。
ポピュリズムに汚染された政治が興味を引き付ける、支持を得るために国民にとってバラエティーやドラマと化しないことを祈るばかりである。