2024年nature medicineより

帯状疱疹の予防に使われるワクチンが、将来の認知症のリスクを減らす可能性があることがわかってきました。これまでは、古いタイプの「生ワクチン」で効果が示されていましたが、このワクチンは現在アメリカなどでは使われておらず、代わりに「組換え型ワクチン」が広く使われています。

今回の研究では、古い生ワクチンから新しい組換え型ワクチンへの移行という“自然な変化”を活用し、2つのワクチンを比較しました。その結果、組換え型ワクチンを接種した人は、接種後6年間で認知症と診断されるリスクが有意に低いことがわかりました。具体的には、認知症のない期間が平均で164日(約5か月半)長くなるという結果です。

さらにこの組換え型ワクチンは、インフルエンザワクチンや破傷風・ジフテリア・百日せきの混合ワクチンよりも、認知症のリスクを下げる効果が高いことも示されました。男女ともに効果が見られ、特に女性でその傾向が強かったとのことです。

この研究は、帯状疱疹ワクチンが脳の健康にも良い影響をもたらす可能性を示すもので、今後そのメカニズムの解明や大規模な臨床試験への発展が期待されています。

 

引用元:

Taquet, M., Dercon, Q., Todd, J.A. et al. The recombinant shingles vaccine is associated with lower risk of dementia. Nat Med 30, 2777–2781 (2024). https://doi.org/10.1038/s41591-024-03201-5