昨日は渋谷のシネマライズで、「牛の鈴音」という映画を見ました。韓国の映画です。

http://www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/trailer.html

 韓国の山村に住む79歳のおじいさんとおばあさんと牛の物語です。ドキュメンタリー風で、こんなタイプの映画は初めてでした。何気ない生活の1コマずつを綴った作品なのですが、立派な物語になってます。

 この家では、農薬、機械を使わずに牛ばかりを使って農業をしてました。おばあさんからは、「農薬使って楽に仕事しよう。」と言われても、「牛に食わせる草が毒になる。」とじいさんは頑固な態度をとります。

 通常15年ほどと言われる牛の寿命。この牛は40年も生きました。

 一度は売りに出すも、希望の値がつかず、家に引き返し、ついに牛は家で臨終を迎えることになりました。

 普段言いたいことを言ってるおばあさんは、牛に、「お前は自分が先に逝っても私たちが困らないように準備してくれたんだね。」と言い、冬を越すために牛車で運ばれ山積みの薪が映りました。「お前は国一番の働き牛だったよ。」と言ったセリフも胸に残ります。

 最後はトラックで運ばれ土に埋められ葬られました。牛が存命中は牛が動くたび首にぶら下げてた鈴がカラ~ンと鳴ってました。牛が死んだ後おじいさんはその鈴を自分で鳴らして在りし日の牛を想いました。作品を見てたこっちも鈴の音に心動かされるものがありました。

 作品全体から感じられるスローライフぶりに、人はパンのみに生きるにあらずみたいなものを感じました。


 この作品、韓国の国民の何人に1人が見たという計算をすると、日本の踊る大走査線に匹敵する割合なのだそうです。


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