泉州市永春県出身の陳娟(通称:老婴)さんは、闽南工夫茶(功夫茶)の魅力を新しい形で伝えるべく、伝統と革新を融合した茶館「茶桌仔」を立ち上げました。闽南の文化と故郷の魅力を、現代的なアプローチで発信しています。

茶桌仔に込められた思い

名前の由来

「茶桌仔」とは、闽南地方特有の文化的シンボルであり、100年以上の歴史を持つ社交と語りの場です。ここで飲む茶は、家族や地域、人々をつなぐ温かな交流の象徴とされています。

設立場所の選定

茶館は泉州の中山路沿いにある百年の歴史を持つ「大上海理发厅」という騎楼にあります。この地域の歴史的要素と新しい試みが交差し、古さと新しさが共存する特別な空間となっています。

闽南工夫茶と泉州の茶文化

泉州は、かつての宋元時代における海洋貿易の拠点として、茶が世界に広がる発信地でした。そのため、独自の茶文化と伝統が育まれています。闽南工夫茶は、技術と精神の両面で「愛拼才会赢」(頑張れば夢が叶う)という強い精神性が宿る文化です。

茶桌仔の特徴的な茶飲み物

  1. 手打ち茶ラテ体験版 安溪鉄観音の茶粉を用いた新しい形式の茶ラテ。点茶の儀式を取り入れ、文化と遊び心を融合させています。

  2. 永春老酢ウィスキーサワー 永春の10年ものの老酢に地元産の茶とウィスキーを組み合わせた酸味豊かな一杯。

  3. 阿芙茶朵 ウーロン茶を濃縮したソースを抹茶アイスにかけ、茶菓子とともに味わう新体験。

  4. 茶の三重奏 一つのお茶を異なるスタイルで楽しむメニュー(原液、茶カクテル、茶酒)。

故郷への回帰と「探春計画」

故郷永春への帰郷

パンデミックがきっかけで民宿事業を終了し、永春での活動に切り替えました。家族の地に戻った老婴さんは、地元文化への思いを深め、再発見と発信を進めています。

探春計画

  1. 「小婴奇游」:永春の風景や文化を映像で記録。

  2. 「探春商店」:地元の風物をテーマに再創作。

  3. 「小陈茶摊」:地域に貢献する無料茶提供プロジェクト。

おわりに

老婴さんが設立した茶桌仔は、闽南工夫茶の伝統を次世代に伝える象徴的な場所です。地域の文化遺産を新しい形で継承しつつ、多様な人々を結ぶ場としての役割を果たしています。この茶文化の魅力を、より多くの人に知ってもらえることを期待しています。