第5位、黒田秀樹さん。
ワタシ的、の第8位に登場した中島信也さんとは高校時代のバンド仲間だそうです。
といっても、再会したのはお互いCMディレクターとして地位を確立されてから、だそうで。こちらも中島さん同様、監督さん、というわけです。
彼はペプシマン、GATSBY、日本生命Frau、リゲインなど印象的なCMを多く世に輩出しております。
特徴は“音楽”。
彼自身、ミュージシャンですから、
「まず音楽が頭に浮かんできてそれに言葉をのせていくのだ」
とおっしゃっていました。
ペプシマンの
♪ICHIRO ナンバー51♪ ぺぺぺペプシ、ぺぺぺペプシ♪
なる歌は彼が元々作ったんだそうです。で、現地でレコーディングして有名なアメリカのミュージシャンに歌ってもらって収録したそうで。のちにその人がペプシのところを「セセセセクシー」に直して焼きなおして販売、メガヒットになったそうです。
ところが黒田さんにはお金は入らないんだそうです。
黒田さんは「お金じゃなくて、大事なのは“創造者”であること」
とおっしゃっていましたが、著作権をきちんと保護して創造者の権利を守ること、って結構大事なことのような気がするなぁ。
ニッセイのこの曲もこの方の作詞作曲。
♪輝く瞳は女の証、笑顔と夢で乗り切るわ♪
♪花の命は結構長い~、女ですもの、女の保険♪
♪ワタシはニッセイFrau♪
もちろんリゲインのこちらも。
♪黄色と黒は勇気のしるし。24時間闘えますか?♪
♪ビジネスマーン、ビジネスマーン、ジャパニーズビジネスマーン♪
映像的にはSFっぽいのが得意だそうで、あまり生活感あるようなのは得意とするところではないそうです。
新卒で入ったのは“電通テック”。電通の制作小会社。
電通本体のコピーライターの佐藤雅彦さんと組んで仕事をすることが多かったそうです。
佐藤さんはご存知、ポリンキーとかバザールでゴザールとか♪モルツモルツモルツモルツ♪とかのCMの産みの親ですが、非常に真面目な方なんだそうです。そんな真面目な佐藤さんが、夜中、電通の会議室に一人でこもって外界から孤立しつつ、バタバタ音を出し、踊りながらコピーを一晩中考える姿は怖かったと言っていました(笑)。佐藤さんはクライアントの前でも踊りながら、イメージを伝えるんだそうで、伝説の人だったそうです。
で、黒田さんはこの電通テックでヒットを飛ばしまくり、30歳で独立。現在、黒田秀樹事務所を開かれております。
相変わらずの売れっ子ぶり、ご多忙ぶりですが、「後進を育てるんだ!」という意欲に満ち溢れている方で、講座が終わったあと、みずから生徒を誘って飲みに繰り出し朝まで飲んでくれるような方です。
見た感じは長髪のロッカー風でちょっと怖いのですが、非常に親切きわまりない。
私心がないというか。こういう人と仕事をしたいなぁと思わせるモノがあります。
口だけではなく、細かい絵コンテと細かいシナリオを全部自分で描き、撮影、編集も全部自分でチェック。ちょっと普通の人にはマネできないです。天才といって良いでしょう。
JALの「FLY!JAL!キャンペーン」でも使われた、サザンのプロモーションビデオ(MTV)は中国で撮ったそうですが、出演者50人以上、カメラマンが15名、現場にはスタッフなど300人以上がひしめいていたとのこと。それのトップとして指揮をとったのが黒田さん。スタッフからの信頼も絶大なんだろうなぁと思います。
普通、こういう天才型アーティストの人って気難しい人が多いものだけど、この人の場合、なんなんでしょ?非常に徳の高いお方ですね。