髪の毛がジャマでしかたなくて、
でもなんとなく切りに行けなかったのは
前回髪を切ったのが、あの人に最後に会った直前だったから?
あの日々を思い出してしまうような、
それか思い出を切り離してしまうような、
そんな錯覚におそわれてしまったからかもしれない。
忘れなきゃって無理しているわけではたぶんなくて、
立ち止まっているつもりもたぶんない。
でも、「たぶん」だから。
強がりを重ねているだけかもしれないから。
そろそろいかなくちゃ。
行き先は決まっていないけれど、いかなくちゃ。
そんなことを考えながら切りに行った髪は
短くなりすぎて、節子を彷彿とさせるのです。
恋のようなものが終わると、一つ前の恋のようなものも思い出して
ずっと忘れ物をしているような気分になります。
もしまた恋のようなものが始まって、また終わったら
今のこの終わりをまた思い出すのでしょう。
ずっとずっと忘れ物を抱え続けて、それでもいかなくちゃと
今後も歩き続けていけますように。
いつか重みで身動きが取れなくなるその日まで。
