現在、インフルエンザが流行中である。
そんな中で、熱性痙攣の起こしやすさにインフルエンザAとBで違いはあるのだろうか?と疑問に思った。
今回は、その疑問に対して参考になる論文を紹介する。
今回取り上げる論文
Clinical similarities between influenza A and B in children: a single-center study, 2017/18 season, Korea
(BMC Pediatrics, 2019)
2017/18シーズンに韓国の三次医療機関を受診した小児を対象とした、単施設・後ろ向き研究である。
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対象:18歳以下の小児
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インフルエンザA:128例
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インフルエンザB:109例
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入院・外来の両方を含む
本論文はオープンアクセスで公開されている。
この研究は何を調べたのか
これまでインフルエンザBは
「A型より軽症」
「重症化しにくい」
と考えられてきた背景がある。
一方で、近年は
A型とB型で臨床的な重症度に差はないのではないか
という報告も増えてきている。
本研究では、インフルエンザAとBで
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症状
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検査所見
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重症度
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合併症(痙攣を含む)
に違いがあるかを比較している。
熱性痙攣はどのくらい起こっていたか
本論文で報告されている「痙攣」の頻度は以下の通りである。
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インフルエンザA:15.6%
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インフルエンザB:11.9%
両者に有意差は認められなかった(p = 0.412)。
また、重要な点として
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無熱性痙攣は認められていない
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痙攣は主に5歳未満の小児で多かった
と報告されている。
少なくともこの研究では、
「インフルエンザAのほうが熱性痙攣を起こしやすい」
「B型は痙攣が少ない」
といった明確な差は示されなかった。
その他の臨床的な違い
痙攣以外の点についても、A型とB型で大きな差はなかった。
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発熱のピークや発熱期間はほぼ同等
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入院率、重症度も同程度
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インフルエンザBはやや年齢が高い傾向
「B型は軽い」と一概には言えない結果である。
消化器症状はB型で多いのか?
ちなみに、インフルエンザBは、A型と比べて
嘔吐や腹痛などの消化器症状が多い
と言われることがある。
しかし、本研究ではその点についても検討されており、
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嘔吐・悪心
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インフルエンザA:18.0%
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インフルエンザB:20.2%
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下痢
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インフルエンザA:4.7%
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インフルエンザB:4.6%
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と、いずれも有意差は認められていなかった。
少なくともこの研究においては、
「インフルエンザBだから消化器症状が多い」とは言えない結果であった。
この論文から考える臨床的ポイント
この研究結果を踏まえると、熱性痙攣のリスク評価において
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インフルエンザの型(AかBか)よりも
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年齢、発熱の経過、既往歴
を重視する方が実践的と考えられる。
この研究の限界
本研究は単施設・後ろ向き研究であり、
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痙攣の詳細(単純型・複雑型など)の記載がない
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症例数には限りがある
といった制約がある点には注意が必要である。
まとめ
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インフルエンザAとBで熱性痙攣の頻度に有意な差は示されなかった
「B型だから安心」「A型だから危険」とは言えない
参考文献
Oh YN, Kim S, Choi YB, Woo SI, Hahn YS, Lee JK. Clinical similarities between influenza A and B in children: a single-center study, 2017/18 season, Korea. BMC Pediatr. 2019 Dec 3;19(1):472. doi: 10.1186/s12887-019-1862-3. PMID: 31796033; PMCID: PMC6889424.