★美しい自然のなかで成長する「そばかす」のハッピーエンドな物語★

 

そばかすの少年。タイトルはステキな響きである。が、この少年自体は非常に暗い過去を持つ少年として登場する。まず片腕がなく、孤児院育ちである。名もなく、自らのことをそばかすと呼ぶ。物語の初めは少年がリンバロストの森の事業所で、支配人マクリーンさんに仕事を頼みこむ場面から始まる。少年はリンバロストの森で警護の仕事をしながら、成長していく。

 

物語としてはありきたりなのだが、この本を素敵な本にしているのは圧倒的に美しい自然描写である。読んでいて森の中に引き込まれるようである。リンバロストの森が生命を持ってそばかすと対峙し、そばかすに安らぎをあたえ、好奇心を刺激し、時には困難を与える。美しさと不気味さ、陽気さと陰湿さ、自然はたくさんの要素を包括している。自然との触れ合いが人を成長させることを改めて知る本である。

 

「そばかすの少年」は今でも子供に読ませたい本として米国で愛されている。そのポジティブな文章と、素敵なハッピーエンド、そばかすの純真な心と成長は読んでいて、心があらわれるようだ。自然の偉大さ、大切さを改めて感じた一冊であった。

 

2017年5月26日