◉障害者の人権も充分に尊重し、重症障害者自立支援法の趣旨も理解するが、その弱者の人権、弱者支援の法律が健常者の人権、多くの住民の居住権を損なっても良いという論理は何処にも存在しない。要は双方の人権尊重、その上での配慮、そして調和に在る。
◉ところが(福)芳寿会による熊本市西区蓮台寺3丁目の重症障害者施設計画の場合、下記の写真及び芳寿会側の計画図でも判る通り、南は白川、西側は九州新幹線軌道に閉鎖されている中で、新興住宅団地の中を南北に横断するプランで、住宅団地の地域生活圏を東西に分断。
◉話題の「障害者施設周辺の土地価格暴落」という予測どころか、西側の子どもらは東側住宅地の子どもとの交流を断たれるという現実が浮上する。即ち、地域住民の生活圏への侵害。



◉さて重症障害者施設の計画を該当住民への周知を時系列で述べると3月、芳寿会側のチラシによるポスティングによって知らされた。
「重症障害者施設の文字は全くなく、高齢者の介護施設計画だろうと、そんな認識を与える内容でした」
◉それが4月、測量業者から立ち会いを求められ、そこで想定もしなかった「大型施設の計画」を予感。
◉そこで計画に疑問を持った住民が芳寿会に電話を入れると、納得の出来る説明どころか、途中で留守電に切り替えるという不誠実な対応。
◉止むを得ず熊本市(福祉課、建設指導課)を訪ねて同計画の内容を尋ねると、そこで開発許可での虚偽申請(開発前での隣接土地所有者に対する説明義務を済ませたと許可申請)も発覚。福祉事業家の虚偽手続きも珍しいが、それを未確認で開発許可を下す自治行政も例外的な事例。
◉地域環境を度外視した開設計画、そして施設側の情報不開示、不誠実、それに違法行為が加わっても、これに反対する者は重症障害者自立支援法の「不理解、偏見、差別」で勝利出来るという論理は、法の曲解で常識的な共同社会では通用しない。
◉しかし、そうした開設目的の施設側に幸いしたのが、計画地周辺住民の施設側とは逆の紳士的な反対。
◉熊本市には再々、この開設反対を訴えたというが、施設が公営でもない限り、また地域社会問題と認められない限り、最後は「施設側と話して下さい」、「仲介は出来ない」という用意されたセリフを想定。
◉また警察にも相談というが、「民事不介入」の所轄の警察が該当事案に介入して来る事態が不可解。
◉毎日新聞の調べでは、障害者施設の計画が周辺の住民による反対で頓挫したのが、自治体が把握しているだけで5年間で68件。その全てが蓮台寺3丁目における4、5軒の苦情ではなく、町内ほぼ全体による地域社会問題化。
◉署名活動、建設予定地までの反対看板、測量現場での座り込み、反対住民を「差別」と決めつけた報道機関への抗議デモ。施設推進側に居た某市の市議は「説明会を知らせても『妥協しない反対』と参加はしない。頼み込んで出席して貰うと、施設側への暴言で説明会にはならなかった」と、説明会の必要性を嘆いた。
◉こうした地域社会問題化が種々の優先する事情から達成が出来ず、残念ながら4、5軒の抗議活動に終わる遥か以前、それは読まれ、2億5千万円の投資段階に既に開設を決めた施設側の勝利で在ったともいえる。全ては無力な4、5軒の抗議に終始している事が反対側の敗因。
◉熊本市が推奨した多文化共生社会が立ち消えたのは、推進側の「偏見」、「差別」の中で寄せられた反対電話、意見書は1千件を超えた。
◉だが、この同蓮台寺3丁目の障害者施設開設計画は「不理解」、「偏見」、「差別」抜きに計画が頓挫した先の68件よりも特異な問題を抱えて開設される事だけは確か…。