「アクシデントが起こらない旅行などない」
旅行会社に入社して、まず一番先に先輩から言われた言葉です。
ですが、
業界から離れて20年近く経ちましたし、
助けていただいた方々に感謝の意を込めて、このタイミングなので、書いてみようと思います。
航空業界を舞台にした大好きなドラマ「ナイスフライト」が本日、最終回です。
https://www.tv-asahi.co.jp/niceflight/
パイロットと管制官の恋と航空業界のお仕事ドラマ。
航空会社の全面協力のもと、撮影が行われたそうです。
航空業界のお仕事がとてもリアルに再現されています。
あまりにリアルなんで、昔のことをいろいろ思い出しちゃって、
懐かしみながら観てます。
旅行会社の業務のひとつに、添乗員という仕事があります。
ツアーや社員旅行、修学旅行など、バスの前席に座ってるスーツを着た人いますよね。
旅行が安全に時間通りに遂行できるように、また、お客様の代わりに各所で支払いをしたりします。
余談だけど、
よくバスガイドさんと間違われるんです。
ガイドはしないし、
歌は歌いませんし、歌え!と言われたら歌うけど、音痴です。
飛行機を使う旅行で、添乗員がお世話になるのは、空港スタッフさん。
特に、グランドスタッフさんです。
空港で、お客さんが迷子になるのは、日常茶飯事。
特に千歳空港とか、広すぎて集合場所が分からなくなるんですね。
そんな時に頼りになるのがグランドスタッフさん。
劇中でも、登場していましたね。
(元カノ)
さて、
入社して2、3年の頃かな?
初めての海外の添乗業務を任されました。
お客様は、約70名。バス2台です。
添乗は、もちろん私ひとり。
雨季のタイ王国。
湿気が多い季節でしたから、お客様の体調管理には気をつけて遂行しました。
帰りの機内でのこと。
お客様が1人、体調が悪くなりました。
まだ出発したばかり。
日本の航空会社でしたが、共同運行でしたので、CAさんは、ほぼ全員海外スタッフ。
といっても、
日本語はもちろん堪能で、サービスも変わらないですが、すぐに日本人のパーサーさんが来てくれました。
白ジャケットの男性のパーサーです。
(劇中では、りかこさんですね)
すぐに席移動し、空いていた席を使い、横にさせてもらいました。
すぐに、
パーサーさんが、毛布を持ってきてくれたのですが、先程のパーサーと違う方で、とても若い男性です。
あれ?
2人?
ネームプレートを見ると、研修と書かれていました。
お客様は、高齢者で、腰も悪く、
横になったり、座ったりしても体調は悪くなる一方。
ビジネスクラスの席にも移動しましたが、それでもダメ。
あー、成田まであと6時間か、、、
最悪の事態を想像せざるを得ませんでした。
私は覚悟をし、お客様の手を離さないようにしていました。
さらに体調は悪くなり、息も荒くなってきた。
直感で、これはやばい。
CAさんを呼び、すぐに酸素吸入など応急処置が開始されました。
しばらくして、お客様の顔色が良くなりました。
ビジネスクラスのふかふかのシートが合わなかったのかもしれないとのことで、エコノミーにもどり、
呼吸も落ち着きました。
CAさん、
保安要員としての判断と初動の速さはとても素晴らしかったです!
お客様は、顔色は良くなったとはいえ、水分も取れないし、食べられない、腰は痛い、とても辛そう。
研修生のパーサーさんが、度々様子を見に来てくれて、飲み物や枕など運んでくれました。
お客様は、あと何分で着くんだ?とうわ言のように言う。
手をさすり続けながら、眠りについた頃、
研修生のパーサーさんが、
「添乗員さん、とても落ち着いていますね。僕は初めての国外線の研修なんです」と。
「いえいえ、とんでもない。私も初めての海外添乗で、もう、どうしたらいいのか。
そちらこそ、研修中とは思えないです。とても助かっています」
「お互い、同じですね」としばしの会話に、心からホッとしたのを覚えています。
研修中とはいえ、訓練を重ねての乗務ですから、パニくってた私の気を紛らわせてくれたのだと気がついたのは、しばらく後のことです。
キャプテンからも、成田に連絡したから安心してください。
とメッセージをもらい、さらに安心しました。
ですが、
お客様の体調は良くならず、水分も取れない状態。
トイレの介助したり、腰をさすったり。
長い長いフライトでした。
ようやく成田に着いて、すぐに空港スタッフと共に、空港内の診療所へ。
すぐに処置をしてもらい、体調は回復され、タクシーで付き添いの方と自宅に戻ってこられたそうです。
このような場合、添乗員が1人の時は、
付き添いをほかのお客様にお願いし、添乗員は本ツアーの遂行を優先します。
なので、
無事に帰宅したことを聞いたのは、後日でした。
本当に本当に本当に良かった。
私がツイていたのは、
まず一つ目は、共同運行でしたが、航空会社が日本航空だったこと。
海外キャリアであっても、同じくきっと素晴らしい初動だったと思いますが、
問題なく日本語が伝わるのは、本当に心強い。
そして、気にかけてくださる心遣い。
そして、二つ目は、
パーサーが2人乗務していたこと。
しかも、研修指導しているのは、キャリアを重ねたベテラン。
しかも、
そのベテランのパーサーは、なんと同郷だったのです!
もうそれだけで親近感で安心したのです。
研修生の若いパーサーさん。
当時は私も若かったから、きっと年齢は、私と同じか、少し上ぐらいだったのかも。
あれから、もう20年以上だから、
きっと今は、もうベテランで、指導する立場になっていることでしょう。
機内や旅行中の
このようなケースは、なければそれがいちばん良いのですが、
特別でもなんでもなくて、当たり前に起こり得ること。
その時のための乗務員や添乗員。
旅行中、もっとお客様の体調に気をつけていたら、もっと、できることはあったんじゃないか?って思ったけど、私は最善を尽くしたし、機内、空港でも皆さんが最善を尽くしてくれた。
そして、何よりお客様は、狭い機内で本当によく耐えて下さった。
全ての方々に本当に感謝します。
〈おまけ〉
当時のタイ便は、夜出発して、早朝に成田に着きます。
会社に戻るのは、お昼ごろ。
なんと、その日の午後は普通に会社で勤務したっていう、恐ろしい結末。
機内とバスで、一睡もしてないんだけどなーと思いながら、次のツアーの準備。
今は、勤務時間オーバーでNGだろうけど、昔って普通でしたよね。
〈追記〉
ナイスフライト最終回
終わっちゃいましたねー
ハッピーエンドでしたね!
自分の想いを全力で伝えた真夢ちゃん
粋は、少し大人っぽく表現を控えて、
不器用だけど純粋な2人は、Two as Oneですね。
恋愛にどっぷりじゃない、
お仕事はきっちりやる30代の生活がとてもリアルで、自立してる感じがとても頼もしいです。
お仕事も皆さんプロフェッショナルでした!
私的には、清掃員の修子さんの言葉にグッときました。
「人にどう思われたいじゃなくて、私は自分のやりたいことをやる!この仕事に誇りを持ってるの」
(ニュアンス)
第二の人生。
私たち世代へのメッセージなんじゃないかと勝手に受け止めます!
玉ちゃん、ホノルル便のナナハチに乗務したんですね。
制服もバッチリ決まってました!
本当に素晴らしいドラマでした!