くまこのクラシック日記 -2ページ目

くまこのクラシック日記

基本的に創作ブログです。クラシック音楽や古典や動物をテーマに、ショートストーリーという形で日記を書いてます。


  
コネコ・ユース・オーケストラのとんちゃんが、何か考えごとをしながら、トントンとつぶやいています。そこに、みんながニャンニャンとやって来ました。

「うーん、うーん、何だったけかなあ」

「とんちゃん、どうしたの?」

「あのね、今度、ジュリーニャ先生の授業で、ブルックナーの交響曲第6番をやるでしょ?出だしが、弦と打楽器でリズムを刻むんだけど、そこから金管がどう入るんだったっけ?」

「ああ、ブルックナーね。4番が一番有名で、5・8・9番が傑作だよね。あと、3・7番もいいよね。でも、確かに6番って、ピンとこないなあ」

「こんな感じで、わりと静かに来るんだ」

とんちゃんは、トントトトトントン♪と歌います。


「ボレロ?いや、そんなわけないか。どっかで、聴いたことあるんだけど…」

「あ、わかったわ。これ、水戸黄門じゃない?ほら、人生楽ありゃ、苦もあるさー♪」

「うわあ、そうだよ、水戸黄門だ。涙の後には虹も出るー♪」

「あのね、あのね、知ってる?水戸黄門のメロディで、どんぐりころころって歌えるんだよ」

「え、そうなの?」

「うふふ、ねえ、とんちゃん、ちょっと、トントトトトントン♪トントトトトントン♪って水戸黄門のリズムとって」

「どーんぐりころころ、どーんぐりこー」

「トントトトトントン♪トントトトトントン♪」

「おー池にはまって、さーあ大変ー」

「トントトトトントン♪トントトトトントン♪」

「きゃはは、何これ、ぴったりはまりまくりじゃない?」

みんなは、大喜びです。


「ねえ、ちょっと待ってよ。ぼくは水戸黄門じゃなくて、ブルックナーのことを考えてたんだよ。みんな真面目に思い出してよ」

「あ、あはは、ごめん、ごめん。何だっけ?何かSF映画みたいな雰囲気あったような・」

「ジャジャジャン♪ジャジャジャン♪ジャジャジャジャジャジャジャン♪」

「それ、ゴジラじゃん。ねえ、だれかゴジラごっこしよう?」

「いいよ、毛を逆立たせて、フンギャー!」

「口から火をふいて、ギャオーギャオー!」

「ゴジラがふくの火だったっけ?まあ、いいわ。ガオー!」

ゴジラごっこに夢中になるみんなに、とんちゃんは怒ってしまいました。

「もう、ふざけてばかりいて。もう、知らないよ。ぼく、帰るから!」

「あ、待ってよ、とんちゃん、とんちゃーん」



さてさて、次の日のジュリーニャ先生のレッスンはどうなるんでしょう?

ボレロと水戸黄門とゴジラの香りをのせて、ブルックナー交響曲第6番が鳴り響きます。

トントトトトントン♪トントトトトントン♪