地元の先輩が死んだ。
硫化水素自殺だった。
母親同士も仲がよく、私の結婚式にも、かきを産んだ時にも駆けつけてくれた。
自宅で美容師をやっていた先輩は、先日、近所のおばさんの髪をカットしながらこう言ったという。
「おばちゃんの髪を切るのもこれが最後かもね。自殺でもしようかと思ってるんだ。」
近所のおばちゃんは本気で言っていると思わず、
「あんたね、死ぬんやったら家で死んだらいかんよ。お母さんに迷惑かけるやろ?」
と返した。先輩はお母様と2人で住んでいたから。
「そうやね。どっかよそでやらんとね。でもね、もう準備は整ってるんだ。」
そう、冗談っぽくいったらしい。
しかし、ちょっと気になったおばさんは、先輩の母親にそのことを告げた。
「自殺しようと本気で考えてる人が、予告なんてするわけがない。」
と、相手にもしなかった。
それから10日後、彼は、川原に車を停め、この世を去った。
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