札幌のオリンピックはTVで見た

東京オリンピックは六年生で近代五種を見た

長野のオリンピックは新幹線で見に行った

コロナ禍の東京オリンピックはお台場や葛西で見たな

じいちゃんは時代を楽しく過ごした

「レンはどうだ楽しく時代を過ごしているか?」

俺は「まあね」と下を向いて答えた

東京で輝くのをあきらめたから

じいちゃんと帰りたい

逃げたいtokyo

「次のフランスまで生きとれるかな」

じいちゃんが珍しく弱音を言う

「頑張るばい。俺は負けないtokyoで頑張るよじいちゃん」

なんの保証もないのに俺は自分に言い聞かせた

メトロ東西線沿線に住む俺はその昔

終点の中野によく通った

中野サンモールで

ウエディングドレスをねだられた

バイト代で買えるウエディングドレスを買った

一緒になることもなくドレスと彼女が消えていた

悲しいというより安堵した自分が情けなく

tokyoは無理

俺には彼女も無理

なげやりになる

なのにもがきながらtokyoに住む俺

小銭があったらメトロの一日乗車券でtokyoをさまよう

理由なんかない好きなんだtokyoの全てが

俺はtokyoが大好きだ

彼女は中野が大好きだった

妄想がふくらんで

いっぺん来たかったtokyo

なまりのある心と体が迷宮に吸い込まれる

行幸通りの先に日本の気高い魂があるとじいちゃんが言っていた

だから明日いってみよう

二泊三日のtokyoはネットで見たより

楽しくて、面白くて、刺激的で美しい

心が体が故郷には戻れない

明日もあさってもずっと居たいよtokyo

It`s the best  最高だぜ! 

 

大都会に見つけた美しい造形の蜂の巣

憧れの住まいを眺める

眺めながら蟻の巣のアパートに帰る俺

日々変わる都会の眺望に感動と憧れが胸を締め付ける

いつか住みたい大都会の蜂の巣

どんな人が住めるのだろうか

Wワークの身に自問する

手の届かない憧れを求めるのは自由だ

俺は自由だ

自由だが金がない

まばゆい蜂の巣の輝きの中へ迷い込む夢を

見ながら眠る俺

昔々御徒町駅からアメ横を通り

GSが中心の頃

喫茶店でアルバイトをした

店の前には二木の菓子問屋があり

問屋の店員は「二木」と書かれた紺色の前掛け姿で

二階の窓から身を乗り出し

喫茶店のアルバイト連中と挨拶を交わす

その一人がフライ級ボクサーだ

バイトの先輩に連れられて後楽園ホールに

彼を応援に行った

おれよおれよという間に彼はフライ級王者

数年後、彼は首都高で事故にあった

五十年以上が過ぎた

tokyo night view を見て大昔がよみがえった

 母の姉が永山団地に住んでいた

俺は小学生のころ母に連れられてよく行った

遊びに行くのではなく

俺を伯母さんの家に預けるためだった

「いい子にしていてね」と母は言って何日も帰らなかった

伯母さんは優しくて、ホットケーキやプリンが旨かったな

中学生になりぱったりと永山団地に行かなくなった

伯母さんの作るブツブツ穴の開いたプリンが食べたいな

母に言ったら忘れたころにデパ地下で買ってきた高価なプリンを

俺に差し出した旨いけど違う

自分のお金で伯母さんに会いに行ける日が来た

迷わずに伯母さんの家に着いた

チャイムを押すと「転居されましたよ」

手土産のドーナツを公園で食べた

永山団地に明かりがつく頃

俺は急に帰り道を見失った

 

 

とうとう雨が降ってきた

透明傘の向こうに

愛しい姿を探す

きっと小さく手を振りながら小走りにかけてくるはず

黄色かなブルーの服かな

待ちわびながら妄想する

雨のリズムで何曲口ずさんだかな

きっとくる

憧れのtokyoで心が迷子になりそうだ

待とうもう少し

君を待ってみよう

 

 

スカイツリーの地は昔セメント工場の集積場所でした

京成橋から業平橋までの間にあるセメント工場敷地内の道路は

ショートカットに毎日走り抜け忙しく働きましたね

そこに電波塔が建つなんて思いもしなかった

あなたは何も知らず見ることなく

隅田川の花火大会を見ながら天に召されました

世界に誇れる「東京スカイツリー」が町内に建つなんてね

小学生だったあなたの愛息は大人になりました

業平付近にあなたの何かを探し求めて毎日でかけます

ファインダーを覗く寡黙な息子に

あなたは何か声をかけているのでしょうか

tokyoが大好きで写し続ける容姿はあなたそのもの

美しいtokyoが永遠にありますように

あなたも願ってください

 

じいちゃんが俺の手をギュッと握りしめて歩いた

有楽町の旧tokyo都庁庁舎跡地に建つ東京国際フォーラム

「美しかろ」何度も言うじいちゃん

そのた度に俺は上を向いて歩く「美しい」がわからなくて見上げる

十分に大人の俺の手をつないで「シンメトリーだ美しかね」

東京には美しか建物がぎょうさんあるけ「あきんばい」

ベンチに座りじいちゃんが見上げる「なれたか東京に」

浮ついた心の俺を見抜いたように優しく言う

じいちゃんが大好きなtokyoで俺はふらちな想いを馳せている

小さなじいちゃんの手がまた俺の手をギュッと握る

「また東京の美しか建物見るために頑張るばい」

手をギュッとつないだまま東京駅まで黙って歩いた

tokyo night  viewがそこにあった

tokyoで初めて働いた

メトロに生まれて初めて乗って

百貨店のバッグヤードで総菜を盛る

閉店間際に仕事を終えキャンパスに向かう

地上に出て今日の天気は春をせをってやってきたことを知る

tokyoは桜もおしゃれだ

ウキウキ感が溢れて駅に急ぐ

学び舎は中央線だ

何もかもが新鮮で楽しい

神様がいたらお願いです

田舎者の俺を見放さないで