翌日の3位決定戦のU18香港代表戦に向けて調整した。
和希は午前中の練習後、代理人の相楽さんが迎えに来てくれて、宿泊先のホテルを離れた。
相楽さんの方から、チームに連れ出す了解を取ってくれたらしい。
和希は、チームの活動中に自分だけ特別に離れるのは抵抗があったが、監督から「所属チームを決めるのはすごく大事なことだから、気にせず行ってこい。」と言われ、離れさせてもらうことにした。
まず、二人で食事をしながら、報告を受けた。
手をあげてくれているクラブは、ほとんど変わっていなかった。
欧州のクラブについては、数ヵ国のクラブが名乗りをあげていたが、スペインのクラブに絞ることにした。
イタリアやオランダのクラブも魅力的ではあったが、言葉の問題があるので、よりプレーに集中できるスペインのクラブが良いと判断した。
名乗りをあげているスペインのクラブの中で、2部のクラブは相楽さんのアドバイスで、環境があまり良くないということで、除外した。
1部のクラブは今シーズン中位のクラブだった。つまりはバダローナよりも力のあるクラブということになる。出場機会がどれ程得られるか、未知数である。
日本国内でプレーするなら、東京V以外の選択肢はないと思っていた。
子供の頃から育ててもらった恩がある。ブラジルへも快く送り出してくれた。それを裏切るわけにはいかない。
もし日本の東京V以外のクラブが名乗りをあげたとしても、断るつもりでいた。
食事後、二人でビクトリアピークに登った。
昨年の今頃も、香港合宿の時に来て、その時は夜で、夜景が綺麗だったが、昼の景色も良いなぁと思った。
山頂からの景色を眺めながら、次のクラブの選択は、自分の今後のサッカー人生の中で、とても重要な選択になる気がしていた。一か八かの冒険はしたくなかった。
U17代表での韓国戦とメキシコ戦を振り返ると、90分戦う試合勘が鈍ってしまっている気がしていた。バダローナではずっと途中出場だったからだ。このままでは良くないと思っていた。
正直なところ、長い時間プレーできる可能性の高いのは、東京Vだと思った。
コーチングスタッフに信頼感があるのも、東京Vだった。
スペインのクラブのスタッフは未知数で、自分をどれだけ見てくれるかどうか不安があった。
気持ちは、東京Vに傾いている。
和希はそう自分を分析していた。
山頂からピークトラムで下山しながら、和希相楽さんに、「ヴェルディですかねぇ」と呟いた。