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某日、初夏のグアムにて。
初めて足を踏み入れたアメリカ合衆国。

飛行機でわずか数時間の外国にて、
その土地でしか体験できないことに、挑戦しました。
それは、実弾射撃

私が生まれた国では、銃刀に対して厳しい制約があります。
ハンティングを楽しむにも、難しい免許と申請が必要になり、
一般人にとって銃は、事実上バーチャルな世界での
道具でしかありません。
映画、漫画、ドラマ等で、頻繁に登場し、飛び交う弾丸。
しかしながら、この殺傷能力抜群の武器に対する知識は
あまりにもお粗末であったりします。

一方、フランス、イタリア、スイス、韓国等は徴兵制が
今もなお存在し、同年代の青年はみな射撃の経験があります。
少なくとも、銃口を向ける、向けられることがどういうことなのか
実感を伴った知識を持っていることになります。

私は、このままバーチャルな世界にごまかされていてイイのだろうか。

というわけで、今回、初めて実物を手にとることにした次第。
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迎えの車に乗って、タモン地区の市街地から30分。
メインストリートからいきなり山奥へと分け入った先に、
射撃場があります。

チャモロ・シューティング・レンジ。
地元の銃所持者もここへ来て練習するようで
隣のレンジからも、時折射撃音が聞こえてきます。

指導員フランシスは、車を降りると、ケースを下ろし、
手入れの行き届いた銃を手際よく配置します。
私の為に用意された銃は5丁。

・22口径のリボルバー(スミス&ウェッソン)
・22口径のピストル(名称不明)
・22口径のライフル(ロッシーM62ポンプアクション)
・イスラエル製 "ジェリコ" 941
・ルーマニア製 AK-47 "カラシニコフ"
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フランシスから、銃の取り扱い方を教わり、
まずは火薬量が少ない22口径で肩ナラシをします。

ちなみに、主なルールは以下の通り。
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射撃場では指導員の許可なく銃に触ってはいけない。
指導員の指示に従うこと。

射撃場内に人や動物がいるときは、全員射台から後退し、
銃に触れないこと。

銃には必ず装填されていると思え。
いかなる場合も入ってないとは決して思うな。

薬室が閉じている銃は暴発の危険。
弾倉を外し、薬室が開いたままの開放状態であるか?

いきなり人差し指を入れて銃を持てば
通勤電車に裸で乗り込むほどの非常識、恥と知るべし。

弾が入っていなくても、銃口を人に向けると
民法の上では相手に射殺権があるから注意せよ。

銃を持ち歩くときには、薬室開放、
引き金に指を入れず、銃口は上に向けること。

安全が全て。
事故れば、当人は確実に刑務所行き。
当たる当たらないは全くの問題外。
『ここは生と死が隣り合わせいる場所。絶対にミスを侵すな』
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以上。

撃つ意思を持つこと、撃たない、という意志表示を怠らないこと、
これらを徹底的に身体へ覚え込ませることを繰り返します。

引き金に指をかけるのは撃つ瞬間だけ。
目標を見定め、撃つ意思を持ってから、引き金に指をかける。
撃ったら、即座に指を引き金から外し、撃つ意思がないことを表示。

日本人がよくミスを指摘される個所です。
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今回使用した弾丸。
ねずみ色の箱が22口径×50発×3。(ウィンチェスター製)
白い箱が9mm×50発。(ウィンチェスター製)
黒い箱が7.62*39mm×20発×3。("WOLF"ロシア製)

合計260発。
ひとつひとつ、自分の手で装填します。
箱を開けると漂う、鼻の奥を突くような、火薬の匂い...。

これらの小さな爆発物を、暴発させることなく
正確に動作させる為に、銃には日々の欠かさぬ
メンテナンスが要求されます。

銃を手にしてまず感じるのは、
手にまとわりつくオイルの触感、でしょうか。

弾丸を装填し、狙いを定め、指を引き金にかけ、点火。
火薬の破裂する爆音と、発射の反動と、火薬の匂いが
一塊になって、射手を取り囲みます。

そして、足元に転がる薬きょうの、乾いた金属の音。
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アニメーション『カウボーイ・ビバップ』で
主人公スパイク・スピーゲルが使用している
銃がこれです。

口径は、9mm。俗に言う38口径に近い大きさ。
手に持ってみると、適度な重さと、オイル注油による
湿った感触がありました。
手入れが良く行き届いた銃には安心感と信頼感が持てます。
常に爆発を伴う道具なので、これは大きな要素です。

22口径に比べて火薬の量は約3倍。
最初は射撃の反動に慣れるので精一杯ですが
いくらか撃っていると、だんだんコツが掴めてきます。
定めた目標に対しての誤差を修正し、反動を予測して
射撃すると、命中率が上がってきました。

かなり扱いやすい銃だと思います。

さらに大きな44口径とか、45口径とか、ありますが
スポーツとして射撃を楽しむなら、このくらいの大きさが
丁度いいのかもしれません。

ちなみにこの銃を改良したモデルが『デザート・イーグル』です。
マトリックスでエージェント・スミスが使用している銃、
といえばすぐ想像がつくでしょうか。