シティーハンターは、現代韓国ドラマを一歩前進させた撮影演出を駆使している。 | 気になる映画とドラマノート

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厳選名作映画とドラマを中心に、映画、テレビ番組について、思いついたこと、美麗な場面、ちょっと気になる場面に注目していきたいと思います。

 シティー・ハンターを見始めました。

 この作品は、風の絵師、検事プリンセス、華麗なる遺産を演出したチン・ヒョクさんの演出なんですが、撮影監督は同じなのでしょうか。同じだとすれば、「風の絵師」と同じなのかもしれません。

 というのも、この作品、たぶん多くの人が言及していない点を言いますと、撮影方針が実にめったにない技量を示しています。一流の映画の条件であるきめこまかな光と影、明度をはかった撮影は、普通テレビドラマには、ないのですが、(実際映画はフィルム撮影しているから、できるともいえる)このドラマは光の加減、登場人物、背景の色彩に対する配慮が非常に節度をもって選択されていることがわかります。

 
気になる映画と韓国ドラマと日本の大河ドラマノート

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たとえば、二流の撮影演出では、NHKも韓国ドラマも、こういう外の撮影、しかも、空を背景にする場合は、なんとしても、晴天でぎらぎらとした照り返しの光線と鮮やかな青色を強調したがります。CGをつかってでもそうするでしょう。では、これは偶然曇りだったのでしょうか。


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パク・ミニョンのこの登場シーンでも、空は落ち着いて光が抑制して撮影されています。



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服装も、ヘアスタイルも、肩がけのバッグもとても、地味だということがわかります。
顔も、光の照り返しがありません。



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上の3枚の画像を見て気づくでしょうか。背景、めがね、ネクタイなどが、韓国ドラマにありがちな原色をあわせて「華やかさをてらう」意図をあえて否定する撮影理念がうかがえます。

 この視点でこのドラマを観ていくと、なんだかとても映像の快楽が満載しているようです。


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この場面で、白いスポーツカーも、座席のシートも真っ白、赤、青は選択されていません。


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パク・ミニョンの左画面の中の道路が光っているのがわかります。これは、あえて水うちをして人物の背景の夜の道路に雰囲気を出す映画の古典的手法を使っているのだと思われます。

こんなふうに、この「シティーハンター」の撮影監督は非常に意識的にたくさんの映画を観てきた人でも満足するような落ち着いた光と色を映像化するよう配慮していると思います。

こうした作品は、今後韓国の映画学科の教材になったりするのではないでしょうか。


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