ネットで三銃士の記事を見た。


世代の違いもあるのだが、それ以上に何もかも変わりゆく時代…
そんな時、三銃士最後の一人はやって来た。


そいつを初めて見たのは、亮汰が寮生になる直前の関東予選、16歳なのに一般の試合に出ていた。
それだけでも異例なのだが、出場したのは+270、最も重い階級なのにあまりにも簡単に優勝した。

「とんでもないヤツだな(笑)」

一戦級の選手は出ていなかったとはいえ、16歳が北斗旗予選を圧勝するその結果にはかなり驚かされた。

当然、その時は本部にやって来るなどとは思ってもいなかったのだが・・・。


4月5日、指導の日に初めて会う。
ミットの時にグローブを着けない素手、何故なのか聞くと

「グローブ持ってません」

そして、新潟支部なので「少しは昔のノリも通じるかな?」との期待はあったが、予想以上だった。

『花の慶次』が好きらしいが、そんなに読み込んでる訳もないと思い、「蛮頭死ぬとこ泣くよな」と言ってみると、完璧に通じた。

豪放磊落、破天荒、天然温故知新、「面白い前田慶次」そんな男、いや漢だった。



破天荒で…

強力な装甲…

いきなりの強力な一撃…

何をするか分からない…

これらを足して4で割ったような戦闘力だ。


しかし、思いの外パワーは無かった…
もちろん普通以上ではあるのだが、もっと怪物級だと思っていた。
北斗戦士としたらかなり弱いと言えるかも知れない。
引き合いで自分が簡単に勝ってしまう。

聞けば、ウエイトトレーニングを殆どやらないらしく、ムリもない。
支部長の方針かと思ったが、「やれって言われてました」とのことだった。

三銃士は基本的にウエイトには興味が無かったのだが、最近はやっているようだ。
あまり個人の考えには口出しはしないが、この部分にとてつもなく大きな伸び代があると思う。


そんな某日…

「ベンチ75㌔しか挙がらなかったけど、100挙がるようになりました。」

そんなことは常識的にこんな短期間で不可能だ。

やはり亮汰が「フォームが悪かっただけだろ?」と言うと

「自分は天才肌なんですよ(笑)」

呆然だった(笑)。
天然で生物として強い感じなのだ、これで死ぬほど追い込めばどうなるのか?


明日はランニングをやるらしい…
それは稽古後に聴いたある歌で知った。


「♪明日は~、ランニング~」
作詞・作曲 TAIGA


「何か歌ってるよ(笑)」

すると、三銃士の一人順也が教えてくれた。


「いつも歌ってるんですよ、風呂入ってる時とか…、朝、自分は一階の掃除で大河は二階なんですけど、一階まで聞こえてきますよ(笑)。」



そして、最大の謎を聞いてみる。

「そういえば、何でサウスポーじゃないの?」
(新潟はほぼサウスポーに変える為)

「みんなサウスポーなんで、オーソドックス守りたかったんですよね。」

つまり、大河の性格上なら普通にサウスポーが珍しい道場にいたら「じゃあ、サウスポーにしよ!」
そんな結果だったのかも知れない。



亮汰が来た時は、「亮汰が帯広に帰るまでやるか」と思っていた指導だったが、もう少しやるか…



修羅に入った大河と修羅に入っている久輝、野村、そして修羅の国ロシアとの戦い…必見だろう。


「大河はなにゆえ強いと思う?」


「もともと強いからよ!」


Fが去った後の加藤久輝、そして「寮生はもう入ってこない」と思った所へ清水亮汰、岩崎大河、この団体は確かに何かに護られている。
苗字の為、四人とも名前呼びになったのも偶然とは思えないのである。

そして、三人に並び立ってほしい、まだ修羅見習いの男。

7月に二十歳になるので、繁華街に連れていく約束をしている。


これらは果てしなき道。