クチコミARCHIVES!!

クチコミARCHIVES!!

ドキュメンタリー映画専門メルマガ「neoneo」誌上に連載中の『クチコミ200字評!』アーカイブス。

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001『潤滑油』
1960年/東京シネマ/監督:竹内信次
見た場所:フィルムセンター「短篇映像メディアに見る現代日本」
丸善石油がスポンサーの「摩擦と潤滑」がテーマの科学映画…という外見からは想像
もつかない、めくるめく映像美の世界!銀色に輝く機械を、光沢を帯びた油がとろーり
と包み込んでいくシズル感は、ほれぼれと見とれてしまうほど。ミクロ撮影で有名な
東京シネマ撮影部と、常にキッチリとコンテを作って現場に臨んだという竹内監督の
計算された画面設計が生んだ、力強くてオシャレな25分間。こういう映画もあるんだ!
スゴイ!


002『Long Live His Majesty』
2002年/韓国/監督:KIM Kyung man
見た場所:Indie Forum 2003(ソウル)
韓国の「建国の父」李承晩大統領のニュース映画を集め、1960年の失脚までの
「独裁者」と国民との関係を再検証するアーカイヴ・ドキュメンタリー。延々と繰り
返される大統領賛美のイベントと、詰めかけた国民の熱狂ぶりが、現在の北朝鮮
を連想させて、ソウルの若いお客さんたちは爆笑してました。国や時代を問わず、
翼賛体制下のニュース映画は何故こうも滑稽なのか?案外自分もその場にいれば
ノリノリで参加していそうだから?


003『815』
2002年/東風/監督:中国正一
見た場所:イメージフォーラム「ヤングパースペクティブ2003」
九州発・2時間半の大アングラムービー。デリヘル嬢・自衛隊・ヤクの売人・ゲイ・
在日などなど30人以上の雑多なキャラクターたちが繰り広げる狂躁の終戦記念日。
雑然とした現代日本の姿を、命中弾も不発弾も合わせてひたすら発射され続けるエピ
ソードの羅列で捉えようとするエネルギーに圧倒されました。「北の国から」飛んで
来たミサイルを、古代の防人が復活して迎え撃つというデタラメ極まる展開は拍手喝
采モノ。


004『東京静脈 TOKYO VEIN』
2003年/森ビル+グラナーテ/監督:野田真外/監修:押井守/音楽:川井憲次
DVD発売中 http://www.granaten.co.jp/
六本木ヒルズ「世界都市展」で上映された4面マルチ映像のDVD化。東京の「静脈」
神田川を進みながら、都心を足元からの視線で散歩する11分の旅。マルチアングル
機能で正面・左右・地図と切り替えながらヴァーチャル川遊びと洒落込みますと、つい
ついお酒が欲しくなってきます。お家のテレビで一人風流を楽しむのもいいし、お友達
と集まってアングルを奪い合いながら見るのもいいです。視聴者参加型DVD!


005『土徳 焼跡地に生かされて』
2003年/監督:青原さとし
見た場所:シネマ・下北沢
広島市内のお寺の次男・青原監督の家族史が、原爆で死んでいった人たちの生活と、
生き残った人たちの再起への足どりを発掘していく「壮大なホーム・ムービー」。
校長を務める学校の跡に血まみれのまま通い続けた祖父・慶哉さんの真摯な姿や、
家族を失った父・淳信さんを支えた門徒代表・三浦のおじさんの言葉が、当時を知る
人々から語られると、見る側にも映像として立ち上がってきて、しみじみと泣けました。
面白い!