15 | 皆様ご機嫌いかがでしょうか 

皆様ご機嫌いかがでしょうか 

【久保田光彦オフィシャルブログ】 

以前ブログに書こうと思っていたが、なんとなく時期を逸してしまって書きそびれたことがある。そのまま忘れていたら、ここ数日の間に3回テレビで出くわしたので、改めて取り上げてみたいと思います。それは、『15(十五)』という数詞のアクセントについてです。

具体的にいこう。『15(十五)』に助数詞の”番や人”がついて、「15番・15人」となった時のアクセントに関することなのだが、本来『15(十五)』のアクセントは【ジュー】と頭高アクセントになる。頭高とは、アクセントが言葉の最初にくることで、”ジュー”にアクセントがあることを言う。その後ろに助数詞がついても、全体で頭高アクセントになる。ただし、「5番」のアクセントは平板アクセントであり、これが「10+5番」と分解されて、全体で平板化することもあり、ここまでは十分許容範囲と考えられます。

しかしここからが問題で、「ここ数日間で3回」といったのは、【ジューゴ】を上記とは違うアクセントで発音した、しかもいずれもアナウンサー・キャスターと呼ばれる人達の回数だったのである。最初にも述べたが、以前からこの傾向があったんです。そのアクセントは、【ジューゴバという中高アクセントというヤツで、少し判り易くいうと、「18番」のアクセントで「15番」を発音した状態のアクセントである。試してみてください。どうも字に書くと、いけませんネェ。どこまで伝わったか…。でもとにかく、間違ったアクセントが使用されているのです。

私は東京・杉並で産湯をつかい育った、親の代からの東京っ子である。今でいう山の手育ちなので、アナウンサーという商売では比較的アクセントには苦労しなかった。それでも、アクセントの乱れはあるし、正直間違って覚えていたものもあります。東京に日本全国から人が集まれば、おのずと地方の発音を耳にする機会も増え、結果アクセントに狂いが生じてくる。これは仕方がないことである。

だからこそしゃべりを商売にする、特にアナウンサー・キャスターと言われる人達は、気をつけなければならない。30年前は、アナウンサー採用試験で発音・発声・アクセントが占める割合は、かなり大きかった。ところが現在は、アナウンサーの基礎的要件が変化し、ビジュアルやリアクションなど、タレント性が重視されるようになった。間違ったアクセントやコロケーションを正してくれる先輩は、下手をするとアナクロで口やかましいお節介な存在になり下がってしまう。それをプロデューサーやディレクターが、若い女子アナ可愛さでバックアップする構図になっているんです。

実はこのほかに、もう一つどうしても気になる発音があるんです。それは『背景(ハイケイ)』のアクセントです。これをかなりの人が【イケイと頭高アクセントで発音する。イヤ~、気になるナァ…。『拝啓』と勘違いするでしょう。まだまだあるが、今日のところはこの辺にしておきましょう。