それからは彼の家に遊びに行ったり、自転車二人乗りしてバイト先まで一緒に行ったり、毎日電話したり、ご飯食べに行ったり、なんやかんや幸せな日が1ヶ月位続いた。
もう、この時の私は最高に、最強に浮かれてた。

深夜、いつものようにメールしてたら、「今から少し会えない?」って言われた。
当時高3の私、深夜に家を出るなんてしたことがなかった。
(そもそも、けん君だって私と一歳しか変わらない大学生、親の車で夜中出掛けるなんて今思うと凄いね。)
でも両親も寝静まっていたので物音を立てないように家を出てけん君の車を待った。

着いたら車からすぐに降りてきて何も言わず抱きしめられた。

キスをした。

私は良く分からなかったけど、近所の人に見られたらどうしようとか心配しながら、されるがまま応えた。
夜中に会いに来てくれた事、ぎゅーっとされる感覚、全てが嬉しくて溶けてしまいそうだった。

しばらく車の中で話たりした後、けん君は帰っていった。


この時の私は、「愛されてるなぁ私。」とか浮かれてた。
それがこんな結末になるなんてこの時は少しも考えて無かった。
連絡取り合うようになって1ヶ月位たった頃、夜いつものように電話してた。(もう電話が来るのが当たり前の毎日になっていた。)
「みくは好きな人いるの?」

「言ってごらん」

って、完全に私の気持ちはばれちまっていて、私は本当に焦った。
数分間沈黙になり、思い切って言った。


「好き」

「良く言ったね、これからよろしくね」
って答えてくれた。

こんな風になるなんて夢にも思わなかったけど、この恋は絶対に終らせたくないって思った夜。17歳の7月。

それからは毎日が楽しくて楽しくて、何もしてなくても楽しくて。
けん君の事を考えてれば幸せな気持ちになれた。


付き合うようになってから初めて、バイトが終わった後に車で家まで送ってくれた。
家の近くで車を停めて、沈黙になり目が合った。
顔が近付いてきた。
唇と唇がくっついた。

口の中に舌が入ってきた。
どうしたらいいか分からなくて固まった。

私の初めてのキス。

キスってこんな感じなんだと衝撃を受けた。

この日の晩御飯は豚肉のソテーだったのだけど、その肉の感触がけん君の唇みたいでなんとも言えない気持ちになったのを今でも鮮明に覚えてる。

ショッピンセンターは友達と一緒に面接を受けたが、私だけが採用された。
知ってる人がいない中、不安いっぱいのレジ打ちのバイト。
最初は毎日緊張しながらお店に行ってた。

少しずつ歳の近い子と仲良くなってきて気持ちに余裕が出てきた頃、見つけた。


完全にひとめぼれ。

名前も知らないけどとりあえずキラキラしてた。カレ。
でも、小心者の私は全然アピール出来ず。
というか見ているだけで幸せ!って感じ。ショボショボだな。。

だけど話をする機会があれば凄い嬉しくて頑張って話してたな。
バイト先で顔を合わせたら挨拶。
ちょっとずつだけど見てるだけ‥じゃなくなっていった。
学校帰り偶然電車で会った時にアドレス教えてって言われた。
それからは毎日メール。

で、時々電話。
「なんて呼んだら良い?」
「なんでも良いです。」
その結果、呼び捨てで名前を呼ばれるようになった。
ちなみに私は君を付けて‥(仮)けん君。

嬉しかった。憧れの人が私を気にかけてくれてる。
私はもう完全にけん君に恋してた。
だけど、付き合いたいとか今以上の関係になりたいとか、そういう欲は無かった。
この状況が17歳の私にとってはただひたすら幸せだった。