先日のセレナでの出来事
兄さんは、何も聞いてこないし、特に疑ってる感じもない
だけど、怖いのはそっちよりもアッチ!
桐生ちゃんの暴走
猪突猛進というか、素直というか…
下手に小細工出来ない桐生ちゃんが、本当に兄さんに喧嘩をしに行ったらどうしよう
てか、アタシは兄さん一筋なんだけど…
最早、アタシを抜きで始まってるよね

ここのところ、兄さんは東城会でゴタゴタがあったらしくそっちで忙しい
だから、桐生ちゃんともよく会ってるはずだ
極道の事は、アタシにはほとんど話してくれないからわからないんだけど…

その時

♪♪♪〜

ん?電話だ
誰だろこの番号…

『もしもし?』
「あ、久美ちゃん?」
『え?秋山さん?なんでこの番号――』
「それどころじゃないんだよ」
『え?』
「桐生さんと真島さんが…」
『っ!』
「オレも今聞いたから詳しいことはわからないんだけどさ、なんか桐生さんが真島さんに決闘を申し込んだって」
『は?でも、桐生さん…には…その…お断りを』
「あー…なんかもう止められなくなっちゃったのかなぁ…素直な人だからね」

そんな事をいわれてもぉー!

『ででも、喧嘩なんかして、もしも真島さんが…負けたら…』
「流石に負けたからって本当に久美ちゃんを…って事はないと思うよ」

秋山さんはそんなふうに言ってたけど…
変なところで男気とか出しちゃったりしないよね…
兄さんが負けるわけないと思いたいけどさ

いてもたってもいられなくなったアタシは

『あの…真島さんの居場所わかりますか?』

組員さんに聞いてみる

「あ、あの…」
『知ってるんですか?教えて下さい!』
「いや…その親父に絶対言うなって言われてて」

そんな…
アタシの事なのに
何も出来ること無いの?
そう思うと、ポロポロと涙が溢れる

「あ、あ!姐さん…」
『すいません!何でもないです』

そのまま部屋に戻る
待ってるしか出来ないなんて…
アタシ、真島さんのために何も出来ないの?
もし、大怪我しちゃったら…
桐生ちゃんとの仲が悪くなっちゃったら…

何も出来ない自分に苛立ち
部屋の中をウロウロと歩き回りながら
何度も真島さんに電話をかけるけど、全く出てくれない
どうしよう…

その時、部屋の外がざわめく

バァーーーーん!!

勢い良く扉が開く

「はぁ…はぁ……久美…」
『真島さん…』
『真島さん!怪我してるんですか!?』
「大丈夫や…はぁ…ワシが…負けるわけないやろ」
『…』
「久美のことが掛かっとるのに…相手が誰だろうと負けん…」
『真島さん…』
『あ、あの、桐生さんは…』
「ありゃ、あの顔は諦めとらんな」

そ、そんなぁ〜!
そこは諦めて下さい!

「それよか久美…」
『は、はい』
「お前、この前セレナで桐生ちゃんにキスされたってホンマなんか?」
『…っっ!』
『え…えっと…逃げようとしたんですけど』
「ああ、わかっとる、桐生ちゃんが無理やりだったって自分で言いよった」
『で、でも…ごめんなさい…』
「久美が謝ることあらへん。桐生ちゃんの力に敵うわけ無いやろ?」
『ぅ…うぅ』
「泣くなやぁ〜やっぱりトイレにもついて行かなアカンな!」

兄さんがニコッと笑う
『お願いします…』
「よしよし、エエ子や」

そう言って頭を撫でてくれる

「よし!この話は終いや」
『…はい』

そう言うとギューッと抱きしめてくれる
アタシはまた、兄さんの大きさを知った

トイレまで…付いてくるのかぁ…