現在、核兵器は冷戦期以来見られなかった形で、再び国際政治の前面に浮上しています。ロシアによる核使用の示唆、中国および北朝鮮の核戦力増強、中東・欧州・東アジアにおける拡散の可能性など、国際社会は高度な核リスクに晒された「新たな核の時代」に突入しています。本セミナーでは、カーネギー国際平和財団(Carnegie Endowment for International Peace)核政策プログラムのスタントン上級研究員であるアンキット・パンダ氏を迎え、近著 『The New Nuclear Age: At
the Precipice of Armageddon』(Polity, 2025)の議論をもとに、現代の核リスク構造とその安定化に向けた方策について講演いただきます。冷戦期との共通点に加え、AIを含む新技術の台頭、複数の核保有国の存在、そしてそれぞれの戦略文化の差異が、今世紀の核秩序にどのような複雑性をもたらしているのか。政策立案者や軍事当局はこの現実をいかに捉え、最悪のシナリオをどう回避しうるのか。核戦略・抑止理論・ミサイル防衛・同盟政策を横断する議論が展開されました。
アンキット・パンダ氏(Ankit Panda)
カーネギー国際平和財団 スタントン上級研究員(核政策プログラム)。核戦略、エスカレーション管理、ミサイル防衛、宇宙安全保障、同盟戦略を専門とし、The New Nuclear Age: At the Precipice of Armageddon(2025年)、Indo-Pacific Missile Arsenals(2023年)、Kim Jong Un and the Bomb(2020年)等の著書を持つ。国連(ニューヨークおよびジュネーブ)でのコンサルタント経験に加え、米国戦略軍・宇宙軍・インド太平洋軍への助言、米中経済安全保障調査委員会および米上院戦略部隊小委員会での証言など、政策現場との接点も多数。北朝鮮の核戦力に関する世界的権威であり、Foreign Affairs, Bulletin of the Atomic Scientists, The New Yorker など多くのメディア・学術誌での寄稿歴を有する。
井形彬氏
東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)特任講師(経済安全保障インテリジェンス分野)。Center for a New American Security(CNAS)、Pacific Forum、ASPI(豪州戦略政策研究所)、ANU国家安全保障カレッジ(NSC)、European Values Center(EVC)、対中国際議会連盟(IPAC)などに所属。