アメリカの映画レビューで好評だったノーラ・エフロン監督作『ジュリー&ジュリア』。けっこう楽しみにしていましたの。いよいよ11月から日本公開ということで、試写が廻り始めたので早速行ってきました!
アメリカの家庭にフランス料理を広めた実在の料理研究家と、彼女に憧れる女性の物語。ちょっと変わった構成の映画です。
≪STORY≫
1940~50年代。外交官の夫(スタンリー・トゥッチ)についてフランスにやってきたジュリア(メリル・ストリープ)は、フランス料理に魅せられ、料理学校に通いだす。彼女は持ち前のポジティブな性格で、決してくじけずメキメキ腕をあげ、仲間とともに料理本を執筆。あまりの長編になかなか出版社が見つからなかったが、8年かけてやっと出版。その本はアメリカで旋風を巻き起こし、料理番組を持つほどの料理研究家になっていく。
現代のニューヨーク。公共機関に勤めるジュリー(エイミー・アダムス)は、作家になる夢をあきらめ、冴えない毎日。彼女の楽しみは料理だけだった。そのジュリーが崇拝する料理人ジュリアのレシピ524を1年で作り、ブログにアップしていこうと思いつく。夫(クリス・メッシーナ)の協力も得て、彼女は実行に移すが、ブログを読んでくれるのは彼女の家族だけで凹んでしまう…。
≪アメリカの栗原はるみみたいなジュリアとジュリーが時代を超えてつながる?≫
ノーラ・エフロンといえば、『恋人たちの予感』『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』とメグ・ライアンをスターにしたラブコメを数多く作ってきた人。日本でも彼女とメグが組んだ作品は次々ヒットしましたな。最近どうしているのでしょうか?と思っていたら、メリルとエイミー・アダムスという『ダウト』コンビの映画である本作でまたまた米で好評レビューを獲得したのです。
で、本作は?というと、楽しかったですよ。料理研究家が誕生するまでのプロセスやジュリーが次々とジュリアのレシピを再現し、ブログにアップしていく様子、彼女のブログが人気を得ていく感じも今っぽくてスイスイ観られました。
が、なんかスパイスが足りない…。ジュリアの夫は妻を大切に大切にしていて、彼女を常に応援している。ジュリアの底抜けの明るさおおらかな魅力は伝わるのですが、本を出版できず、彼女が味わう挫折感がなんか弱くて。&ジュリーもブログに夢中になるあまり、夫とうまくいかなくなったり、ブログが有名になってもなかなか出版までいきつかなかったり、いろいろあるが、どれも小さなことで、「たいしたことないじゃん」って。
たぶんふたりとも帰る場所があり、守ってくれる人がいて、そのぬくぬくした中での苦悩だから、あまり切実感がないんですな。それと昔のジュリアと現在のジュリーの世界が交互に描かれるんだが、料理本以外に接点がなく、ジュリーの一方通行なので、いまひとつ感動が薄い。
スター女優ふたりが出ているし、ニューヨークやパリの雰囲気、お料理の数々などヴィジュアルはステキ、テンポのいい演出でノッて観ていられるんだけど、観終わったあとちょっと物足りなさも。料理でいえば、おいしかったけど、最高ではないな~、3つ星かな~みたいな。ま、でも安心してゆったり楽しめる映画ではありました。女の子同士で見るのにいいかもしれませ~ん。
●『ジュリー&ジュリア』(11月28日よりTOHOシネマズシャンテより全国公開/配給:ソニー・ピクチャーズ)
★ノーラ・エフロン監督作を改めて観てみよう!こんなんありましたな。
『めぐり逢えたら』
トム・ハンクスとメグ・ライアン。ラジオを通して出会うというありえない話を描いたファンタジー。シアトルの雨、ふたりの子供たちなど、小道具や脇役もきいていたし、主演ふたりもチャーミングでした。音楽もよくてサントラ持っています!
めぐり逢えたら コレクターズ・エディション
『ユー・ガット・メール』
同じくトム・ハンクス&メグ・ライアン。こちらは犬猿の仲だったふたりが、実はネットで知り合い、仲良くなったメール友達で、メールで語り合った本音から心通わせていく物語。これもありえな~いという設定だが、ニューヨークの雰囲気が大人のおとぎ話をロマンティックに魅せていく。スタバがガンガン出てきました~。
ユー・ガット・メール 特別版 / トム・ハンクス/メグ・ライアン
『恋人たちの予感』
セックス抜きで男女の友情は成立するかをコミカルに描いたメグ・ライアンとノーラ・エフロンの出世作!共演のビリー・クリスタルとメグの絶妙のしゃべくりが楽しい。
“ベストヒット・セレクション”20世紀フォックスホームエンターテイメン 恋人たちの予感 特別編
ほかにもノーラ・エフロン映画あるけど、この3本が好きだな~。あとは『奥様は魔女』とか。つまんなかったから~。