「ボリビアあるある」というか、「中南米あるある」ネタのひとつで、協力隊員に限らず中南米旅行経験者は納得できるところがあるんじゃないかと思います。
今更これをブログに書くのもどうかという気がしますが、本日すごーく嫌な思いをしたのでブログをしたためます。
「チニート」
“Chino” とは、中国人を指す言葉です。
ふらっと街を歩けば、僕らアジア人はボリビア人からこう呼ばれます。
配属先の病院の中を一人で歩こう者なら、まるでレッドカーペットを歩くハリウッドスターのように注目され、「チニート、チニート」と連呼されます。
ヒソヒソ声ささやく者、指差しておおっぴらに言う者、何が可笑しいのかゲラゲラ笑う者、色々です。
しまいには「君達は犬や猫、ゴキブリを食べるんだって?」とか、「ジャッキーチェンの真似できる?」とか聞いてくる輩も多く、何百回と同じ説明したことか分かりません。
ここ南米ではアジア人は稀な存在なのです。
これが旅行中の一時的なものならまだ我慢出来るかもしれないのですが、毎日続くと結構なストレスを感じます

それで、今日あった出来事。
病院での活動を終えて、歩いて家に帰る途中に中学生の集団に出くわしました。
案の定「ようチニート」と言われたので、
「違うよ。日本人だよ。じゃあ君達はペルー人?それと同じだよ。似てるけど、ちょっと違う。」
(↑これはアジア人の違いを説明するときに使う僕の常套句である)
と言ったら、後ろを歩いていた先生が言った一言
「頭に国旗つけて歩いてこい!」
よっぽど怒鳴り返してやろうかと思ったのですが、怒りの後に深い悲しみが訪れたため、すぐに何も言わずその場を去りました。
先生がこれじゃあ…救いようがありません

でも、僕ら日本人にとって何が気分を悪くさせるのでしょうか?
文化や歴史、言葉、生活習慣に対するリスペクトがないこと。
他国で暮らす外国人の苦労を知らないこと。
想像力の欠如。
でも、基本的に彼らは無知でそこまで悪気はない(と思いたい)はずですが…
中国人に間違えられること自体はしょうがないように思うけれど、曖昧な知識を見知らぬ相手に言葉としてぶつけるのは、失礼だと感じるからでしょう。
振り返れば一昔前(今でもそうなのでしょうか?)、日本人も同様に外国人を「ガイジン」と呼び、ものめずらしいものを見る視線を彼らに投げかけていたことは、周知の事実です。
僕は、運良く幼い頃から海外に触れるチャンスに恵まれたので、割と外国人を見慣れていたけれど、大事なのは、やはり子供の頃から国際的視点まではいかなくとも、公平に接することの大切さを教えなければならないのだと。
家に着くまでの30分、悶々と考えをめぐらせながら、黙々と歩きました。
そんな一方で、今日はいいこともありました。
偶然担当した患者さんが、6年前に名古屋大学に留学して環境教育を学んでいたということから、話が盛り上がりました。
彼の祖父が日本人の移住者で本人は日系3世ということになる。
治療が終わったあと彼が言ったのは、
「ボリビア人と仕事するの大変でしょう。頑張って。僕には分かる。」
経験というのは大きい。
海外に住んだことのある彼は、そういう視点を持ち合わせていました。
ボリビア人全員が僕らを指差して「チニート」呼ばわりする訳ではないです。
La Pazなど外国人居住者をよく見かける場所ではそれほど頻繁に聞かないですし。
これがアルゼンチンになると、「君はどこから来たの?」になり、超多民族国家ブラジルでは出身すら問題にならない。
公平さとリスペクト。
ボリビア人にももって欲しいなあ…


写真は、迫り来る夕闇。チチカカ湖で撮影