尊敬する経営者の一人は
株式会社ジャストの本多社長です。この度、東日本復興計画を作成されましたので全文を掲載します。復興財源案について、現政府の案を踏まえて提案されています。
色々と感想や意見がほしいそうです。ご興味ある方はお読みください。
朝日新聞に論文応募
ニッポン前に委員会設立」提言論文募集に対して応募します。
平成23年5月9日
テーマ
「東日本復興計画私案」
本多 均 57歳
(株)ジャスト 048-644-4864
S52年 中央大学文学部卒
同年証券会社勤務
S54年 (株)ジャスト
H04年 代表取締役社長
共同 執筆者
紺田 和弘
56歳
(株)ジャスト 監査役
今回の提言論文の主旨
「スピード」 様々な方が様々な議論を繰り返して居ますが
今 要求されていることは 「スピード」です。
一刻も早く 決断し実行に移すことが肝心です。
5月に決断し、6月には実行し、7月には復興資金が
毎月 一兆円近くの復興資金が徴収できる仕組み。
復興に必要な資金の徴収が終われば ゼロリセット。
国民一人一人が 復興を願って
国民一人一人が痛みを分かち合い支援する仕組みです。
天災と人災
今回の東日本大地震による被害は、一次的には地盤の振動による倒壊被害、二次的には津波による沿岸地域の震災、三次的には福島原発のコントロール不全による放射能被害に分けられ復興財源、電力料金への売上税導入で確保!
るかと思います。
一次被害に対しては、地震大国である日本は、神戸大震災の教訓を生かし、M9の規模であったにも関わらず、大きな倒壊を招くことなく十分に持ち堪えた事は、世界中に日本の技術力が如何に凄いかという事を証明できたものと判断しております。
二次被害である、津波による被害は甚大なものとなってしまいましたが、これは想定外の規模の津波が発生した事によるものであり、天災としか言いようのないものです。自然現象の前に人間の力の限界を痛感させられました。人間はもっと謙虚に生きるべき生物であるべきなのでしょう。
しかし、三次的被害である原子力発電所のコントール不全は、人災に近いものがあったのではないでしょうか。外部電力の供給方法、自家発電装置の設置場所など、少し真面目に考えれば、全て想定できた範囲内の事だったのではないでしょうか。
3月11日(金)に大地震が発生し、当日、帰宅難民になられた方が多く発生しました。これは一次被害の結果ですから、当然、受け入れなければならない天災かと思います。しかし、3月14日(月)に東京電力(および政府)が実施を決めた計画停電(という名の、無計画停電)によって発生した、鉄道などの公共交通機関の運航停止は、完全なる人災だったのではないでしょうか。この計画停電の実施によって、学生・勤労者の足が奪われただけでなく、レストラン、製造業、金融サービス業などあらゆる分野で甚大なる影響(=被害)が発生し、廃業を決めた企業も数多く発生しております。
今回の大震災の復興・再建には、20兆円近くの資金が必要との試算がされているようですが、その財源をどうするかをなかなか決められない政府が居ます。最近になって、期間限定で消費税率を5%から8%に上げて復興財源に充てるとか、所得税・法人税の税率を上げて財源にすると言った記事を見るようになりましたが、そんな事をすると将来に禍根を残す事となり、本当の人災を招く事になると危惧しております。
今回の大震災によって必要とする復興(およびその財源)について、改めて考えてみたいと思います。
① 東北地方を中心とするインフラ(港湾、漁業組合、船など)と産業の復興
② 福島原発事故によって避難を余儀なくされている人などへの補償
③ 夏の冷房需要期に対応する為の節電(=計画停電の回避)
復興プランに関しては、専門家プロジェクトチームが色々と纏めてくれるものと信じておりますが、その復興に必要とする財源は期間限定で調達するべきものです。一方、気になっているのが、原発事故への補償問題です。もちろん、一義的には東京電力が補償すべきものですが、誰が考えても東京電力という一企業で補償できる金額ではありません。そうであるにも関わらず、現政府にて、その財源について具体的に検討が進められている様子が伺えません。
一般論で言えば、営利企業である東京電力の支払い能力の限界を超える補償が発生すれば、東京電力は倒産するしかありません。しかし、東京電力の営業がストップすると、関東地方に電気が供給されない事態が発生するという重大事実から考えれば、東京電力を倒産(=株主価値をゼロとし、銀行借入は債務免除)をさせても、東京電力が持つ、送電機能は存続させなければなりません。
つまり、復興財源と原発補償問題を切り離して考えるものではなく、同一起源による問題であることから、一緒になって対応を考えるべきものと思っております。
提言
復興財源には、電力会社に売上税を期間限定で導入する! (年間10兆円)
2011年3月期の業績予想(単位:億円)
会社名
売上高
営業利益
当期利益
東京電力
53,880
3,250
1,120
関西電力
27,580
2,800
1,250
中部電力
23,100
1,750
750
中国電力
10,850
410
△22
東北電力
17,150
1,150
375
九州電力
14,730
970
245
四国電力
5,890
550
225
北陸電力
4,880
540
210
北海道電力
5,660
430
100
沖縄電力
1,585
122
71
10社合計
165,305
11,972
4,324
<出典:東洋経済会社四季報:2011年2集>
電力売上税を導入する。(2011年3月期予想をベース 単位:億円)
会社名
売上高
売上税率
売上税額
東京電力
53,880
100%
53,880
関西電力
27,580
50%
13,790
中部電力
23,100
50%
11,550
中国電力
10,850
50%
5,425
東北電力
17,150
0%
0
九州電力
14,730
50%
7,365
四国電力
5,890
50%
2,945
北陸電力
4,880
50%
2,440
北海道電力
5,660
50%
2,830
沖縄電力
1,585
50%
793
10社合計
165,305
101,018
上表の通り、電力売上税として年間10兆円を徴収する事が可能となります。復興財源として20兆円、原発事故の補償費として10兆円が必要とするならば、3年間の期間限定導入で財源を確保する事が可能です。もちろん、電気料金が5割乃至2倍に値上げになると、企業だけでなく個人も節電に努める事から、全体として20%程度の節電が図れるかも知れません。その場合でも年間8兆円程度の売上税を確保できる事から、復興&補償財源の30兆円は4年間程度で賄う事が可能です。
売上税率は、東京電力に関しては100%、被災地である東北電力は0%とし、その他8電力会社は50%とします。この主旨は、東京電力管内で計画停電が発生すると、個人生活および日本経済に与えるダメージは電気料金値上げによってもたらされるダメージよりも遙かに大きい事から、東京電力管内に関しては電気料金を2倍にする事で個人にも節電へのインセンティブを積極的に高くすることで、絶対に計画停電の再発を防止させる目的を持っております。一方、東北電力管内に関しては、被災地が集中している地域でもあり、復興するのが精一杯の人々が多い地域である事から、電気料金の値上げは回避し1日でも早い復興を促す意図を持っています。その他8電力会社管内に関しては、消費税ではありませんが、日本国民が広く復興支援費を分担する意味合いを持たせております。
電力料金に売上税を導入する場合、消費税率の変更に伴うような追加のシステム投資は殆ど必要とせずに即座に導入可能である事に加え、茨木県、千葉県等で被災者となった方々に対しては、被災者証明証を自治体が発行すれば、被災者証明証所持者への電力料金には売上税を適用しないなどの細かい対応も簡単にできます。また復興費への充当が終わったら、即座に元に戻すこともできるなど、臨機応変に対応可能な税源となり得ます。
■現在、政府などが示している復興財源案の評価
【A】 消費税による増税
消費税率を現行の5%から8%に変更する場合、全国の売場のレジ機を変更する事はもとより、企業会計においても消費税率の変更に伴い、会計ソフトの更新から始まり、多大なるシステム投資負担を強要する事となります。
また、年金問題を始めとして社会保障費の穴埋めとして消費税の増税を目論む政府関係者が見え隠れする事から、期間限定で復興財源とする前提での法案に対して、野党などから消費税の増税に反対する議員が多数出る事から、復興財源問題の解決がなかなか見られないという最悪の事態が予想されます。
復興とか、原発補償に関しては時間が経過するほど被害が拡大するのは明らかです。一日も早い取り組みが望まれるものであり、財源問題で何ヶ月も悠長に時間を掛けている場合ではありません。また、消費税が増税になった場合、景気に与える影響もマイナスでしかなく、いろんな意味で復興財源として消費税は適しているとは言えないのではないでしょうか。
【B】 所得税・法人税の増税
所得税、法人税率を高くするというのは、取り易い所から取ると言っただけで、国民負担という概念もなく、また、法人税の減税で景気浮揚と言っていた現政府の主張とも真っ向から対立する増税案です。もし、このような増税を実施すると、日本国内の企業は海外に出て行くだけであり、より雇用環境が悪化し、取り返しの着かない愚策となるのではないでしょうか。何故に、現政府の一員から所得税・法人税を増税させるという案が提出されるのが不思議でなりません。
【C】 化石燃料税の導入
某新聞社による提言として、化石燃料税を創設し、それを復興財源に充当するというのがありましたが、環境税、化石燃料税は、地球温暖化対策には必要不可欠なものではありますが、復興支援との相関性は見出し難くく、復興財源とは別物として考えるべきではないでしょうか。
そもそも化石燃料に代わるものとして、原子力発電を推進してきた政府です。この原子力発電の代わりに、風力、バイオマス、太陽光発電などを新たに推進する為の設備投資資金に流用するために化石燃料税を導入するというのであれば、復興支援とは全く関係のない話です。
■計画停電の回避
3月14日から東京電力管内で計画停電が実施されました。初日は、鉄道機能が麻痺し、交通信号機が無点灯となって交通事故が発生するなど、関東圏の住民にとっては社会生活を維持する事が不可能な状況に追い込まれたのは記憶に新しいと思います。しかし、このような生活面への影響だけでなく、産業経済活動に与えたショックは測りしれないものがありました。
卑近な例を出して説明すると、例えばクリーンルーム内で製造している半導体は、製造工程の途中で電力供給がストップすると全く使い物にならない不良品だらけとなります。自動車用半導体の世界シェア3割を占めるルネサス那珂工場は地震の被害で現在製造できなくなっていますが、この為にトヨタ自動車などが製造再開に大きな支障を来しているとの事です。もし、計画停電が常時発生すると、この状態が永遠に続くという事です。
或いは、消費者に馴染みの深い食パンで説明すると、例えば山崎パンの工場で計画停電が突然に実施されると、小麦粉をイースト菌で発酵させている最中に温度管理ができなくなり、結局、食パンとして食べられなくなります。消費者による買い溜めという要素もありましたが、食品売場の棚から食パンが消えたのは記憶に新しい事と思います。
製造業だけでなく、サービス業でも大変な影響が出ています。例えばレストランで考えてみて頂ければ理解し易いですが、夕方から夜の3時間に掛けて計画停電を実施されると、その日の営業は実質上ストップしたのと同じです。しかも仕入れた食材は傷むため廃棄処分にするだけなく、アルバイト従業員の手当ても支払わなければならず、収益面に与える悪影響は想像を絶するものがあります。これが原因で、廃業を決めたレストランも数多くあると聞いております。
最近は、エアコン需要が少なくなっている関係から、計画停電が実施される事無く過ごせていますが、4月28日午後6時における東京電力の電力供給能力は4000万kwであり、その時点の電力消費量は80%でした。これが35℃を超える夏シーズンでは、ピーク時6000万kw以上の供給能力が必要と目されております。しかし、休止中の火力発電所などをフル稼働させても5500万kwが限界との話です。
大口顧客に対する節電要請(25%→15%)とか、中小企業、個人消費者にも15%程度の節電を呼び掛けていますが、強制力を持たない節電要請だけで達成が可能なのでしょうか?
絶対に計画停電の再発をさせない為には、消費者が率先して節電を行いたくなるインセンティブ(=料金値上げ)を実施すべきと考えます。依田高典(京都大学教授)、田中誠(政策研究大学院大学准教授)のお二人が発表された論文「電力料金に関する行動分析」によれば、電力料金を50円/kwh(現行24円/kwh)に値上げした場合、東京電力管内の消費者で157万kwの消費抑制効果があるとの事です。これは10%程度の節電に相当すると思われますが、単純に値上げするだけで確実に節電は実施されるという事になります。
■電力料金値上げによる経済効果
【A】 電気料金が大幅に値上げされる事で節電に対するインセンティブが強く働く結果、夏シーズンにおいても計画停電を回避できる可能性が高くなります。前述した通り、計画停電実施による産業経済への悪影響を考えれば、回避できるだけでも確実にプラスに働きます。また、ここで徴収する売上税は、港湾工事、インフラ整備、住宅建設など幅広い分野に対して復興を目的として短期間に消費される事から経済効果は非常に大きく期待できます。
【B】 省エネ製品の普及に弾みがつき、結果として日本の省エネ技術発展に寄与する。
消費者の電力使用の内訳として、照明器具関連が3割を占めていると言われますが、白色電球・蛍光灯をLEDランプに置き換える需要が電力料金値上げによって確実に促進されます。また、太陽光パネルなども一戸建て住宅に住んでいる人は積極的に導入するようになります。このように省エネ製品が短期間に購入される環境ができると、省エネ技術は確実に進歩します。太陽光発電の技術は、従来のシリコン単結晶タイプから、最近では有機皮膜タイプまで様々な技術が開発されておりますが、より一層の技術開発が進む事で、変換効率アップ、廉価パネルの開発などに拍車をかける事が可能となります。そもそも、液晶技術から発展したソーラーパネル技術は日系企業が世界的に優位性を持っていた技術でしたが、日本政府の中途半端な補助制度が原因で普及が進まなかった間に、欧米諸国の補助制度を生かした海外企業に技術的に追いつかれた残念な現実があります。
今回の大震災の復興財源として電力売上税を導入すれば、改めて省エネ製品の普及が短期間に促進される環境を提供できることから、日系企業の省エネ技術を生かす市場を創設するだけでなく、将来的には地球規模の環境問題にも貢献できる新技術開発にもつながります。つまり、電力売上税の導入は、日本の技術立国の礎ともなり得る政策かと思っております。
【C】 一方、地球環境問題の観点から見れば、今年の夏シーズンに向けて電力供給能力を増加させる方法は、殆ど火力発電(=化石燃料の大量消費)によって賄われる予定です。これは、直接的に二酸化炭素問題を発生させるだけでなく、原油価格の値上げを促すこととなり、世界規模での景気にマイナス影響を与える事になります。極力、火力発電による電力供給能力増は避けるべきであり、その方法として節電(省エネ製品の導入)が足元では期待されるべき手段と考えます。