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コトバあれこれ

子ども作文教室、子ども国語教育学会の関係者による
投稿記事ブログです。

 

 

 OpenAIが発表されて以来、最近生成AIに関する関連した話題が世の中でにわかに拡がっている。生成AIとは、深層学習や機械学習の手法を駆使して、人が作り出すようなテキスト、画像、音楽、ビデオなどのデジタルコンテンツを自動で生成する技術である。この技術では、大量のデータからパターンを学習し、それを基に新しいコンテンツを創出するのが特徴である。生成AIは、単に既存のデータをコピーするのではなく、大量のデータからパターンを学習し、データを基にして新しい創作物を生み出す。その生成AIの中で、動画生成AIはテキスト生成など他の生成AIと比べて遥かに高度な処理が求められ、最も実現難易度が高い分野の一つと言われている。今回、動画生成AIのソフトの中で、米ランウェイ社が開発したRunway Gen-2というものをテストしてみた。このソフトでは家庭用のPC上でテキストまたは静止画像を入力すると数秒程度の高品質な動画を生成することが可能で、カメラの動きや動きの強弱なども設定可能である。

 今回の作業では静止画像として女性の晴れ着姿、とフランスの聖地モンサンミッシェルの風景写真の2点の画像を用意し、実際にそれぞれの静止画から動画を作成してみた。

 

1)静止画1 女性晴れ着姿

 

 この静止画に画像生成AIを使って女性を逆時計回りに回転させた動画を作成したものが下記の動画である。この画面では驚くことに女性の回転に伴って静止画では表現されていなかった女性の右側面や後部が現れてきた。これは生成AIが創成した情報であるが、あたかも左側のカメラで撮影したものを合成したように見え、より女性の立体的な表現が出現した。

 

 (動画再生をするには画面の再生マークをクリックしてください)

 

2)静止画2 モンサンミッシェルの風景写真

 

 モンサンミッシェル1はこの静止画に画像生成AIを使って画面上の雲を移動させたものである。なぜなら、元になる静止画を撮影したときにモンサンミッシェルという聖地に天の力が雲になって迫ってくるというように感じたのでこの雲の動きを強く表現したいと思ったからである。   

結果として作成された動画は元の静止画に比べ、雲の動きがよりダイナミックな表現になったように思われる。特に雲の動きと共に雲の割れ目から差し込む太陽の日差しが川面に表現されているのでより動きを現実化する秀逸な表現となっている。

 

 (動画再生をするには画面の再生マークをクリックしてください)

 

3)静止画2 モンサンミッシェルの風景写真

 

 モンサンミッシェル2は前記静止画に画像生成AIを使って撮影のカメラ位置を上方に移動させたものである。元になる静止画では明らかにモンサンミッシェルは手前に流れる川からの水平線と地平線に浮かぶモンサンミッシェルのみを表している。しかしながら、この画像に対しより上方からの画像でモンサンミッシェル周辺の広さを表現したいと思ったで動画を作成した。結果として作成された動画は静止画では存在しなかったモンサンミッシェルの向こう側の風景が現れ、まるでドローンを飛ばして撮影したのかと思われる画像になっており、元の静止画に比べて周囲の広さも含めたよりダイナミックな表現が出来たのである。

 

(動画再生をするには画面の再生マークをクリックしてください)

 

 今回の実験の結果、表現の領域を広げる画像を簡単に作成出来る画像生成AIの凄さは驚きであった。AIに於ける日々の進化はすさまじいものであることは理解していたものの、実際に個人用のPCで上記のような結果を得ることが出来るとなるとは驚かざるを得ない。今回の実験は生成AI の中の画像生成AIの一部を経験したわけであるが、生成AIの技術はこれからもどんどん進化していくことが予想される。

 

<K.Takagi>