・美月の嫉妬  ①         *全編 固有名詞は架空のものです。

 

   ジムの閉館は9時となっており、美月とトレーナーの野中慎二は館内を見て歩き、

 更衣室からシャワー室などを覗き見、確認の見回りを終えると・・

「お疲れさま。・・野中さんは明日も遅番でしたわね。よろしくお願いね」 

 

 小さな声で返事をし、軽く 頭を下げる野中慎二・・

「新しく入った小野田心音さん。明るい感じで永瀬さんともうまくやっているよう

 ですから、継続してお願いしていいんですよね」

 

 「ええ 。あの子の整った容姿と可愛い笑顔は男性客の気を惹くわ。今日は午後一に

   入っていただきましたけど・・本来は3時から7時でお願 いしますと言ってたか         ら・・」 

   「了解 しました。あぁ、美月さん 。・・なんでも、どんなことでもいいですから

   自分に相談なり、声をかけてくださいね。・・ちからになりますよ」

 

 「ありがとう。・・じゃ、あと お願いしますね」

   お帰りいただく会員様に眼を留め、5階に住む両親の部屋へと向かう美月。

 

 「お母さん、カフェの方は問題なかったわよね 。 お父さんは まだなの?」

 

「あら、今日は はやいのね。もうすぐ帰ると思うけれど・・あっ、冷蔵庫に煮物が

  入っているわよ、酒のおつまみか、、今夜のおかずにしてもいいと思ってね」

 

「ありがとう助かるわ。いただきます。・・じゃ、お休み。帰るわね 」

 

 ジムの有るマンションから 自宅へは車で15分ほどの距離。

 主人に買ってもらった 赤い外車に乗り込む美月。

  主人は帰宅しているのだろうか・・あのあと 二人はどこかへ消えてしまっていた。

 

  主人の仕事は外国車の営業職。日曜が休日となるのは月一ほどで・・ウイークデー

  が休日となることが多く・・なにを思ったのか、今日の休日にはジムの方に 顔を

  見せてくれていた。

 

 私と主人が出会ったのは、”お水の世界”・・もう その逢った時点で・・ 

 ” この男は女好き”で、好色であることを美月は感じ採っていた。

 

 奥の席へのご案内、挨拶を済ますや否や、背を向けたとたんにヒップを鷲掴みさ   れ、、容姿や程良い胸の大きさ・ヒップの形までも褒めちぎり、ほんのわずかな隙

 を みせれば胸へと伸びた手は、バストの豊かさを手の平で確かめ・・

 胸にお札を差し込むと ” 帰りは僕の車で送りますよ。”

  

  ・・そぅ・・そんな男を好きになってしまったのだ。

 

 それが きょう・・人様の眼が有るというのに・・眼にしたことは ほんの一部 ??     ・・でしょね。

 そのような出来事。確信をもてないままに思い起こせば、そのことがストレスとな   り、 身体にさえ悪影響を及ぼし 兼ねない、、”主人の女好き”。

 

  お水の世界では 軽口であしらい、時には溢れるほどの色気を振りまき、人間関係

  の 繋がりと融和を保ってきた美月。

 

 若さと共に合せもつ好奇心。忍び寄る指先を避けようともせず・・

 むしろ その手に ・ ・ ・” ここよっ” とばかりに 指先を導き・・いつの間にか 外車の   助手席の シートは倒され、レースの小さな下着などは”無い”も同然。

 

 悲鳴の叫びは、すぐさま分厚い唇に塞がれると、、瞬く間にショーツの脇から差し

 込んだ指先は、女の粘液を見つけ・・その指先は美月の敏感な秘所を甚振る・・。

 

 「・・ここは、”はやくっ” とばかりに悦んでいますよ」

 言い終わるや 否や、美月の一番大切な所に・・ヌルッ と 入りこむ感覚・・

 

  二度・三度の ヌルヌル感と 突き上げられるきもち良さが・・瞬く間に歓喜の声へ

   と 変わり・・

  ぁぁ~ イイッ、、  そっ・・ソコッ・・イ イッ

 

 今日の日ならば、 と 避妊具が付いていないのを承知で、奥深くまでも受け入れ・・

 震える腰を突き出すように 白濁液を 受け止めていた美月。    

 だが さいわいにも、 月のモノは順当に訪れ・・ 。

 

  お水の世界で 稼いでいることを思えば・・それは それで良かったのだが・・

 

   それを機会に、結婚を前提としての交際が始まるも、いつまでも続く付き合いと、

 会えば求められる身体。

   嫌気を感じた美月から・・切り出した 別れ・・。

 

  

  それでも・・久しくめぐり逢った萩尾の名と、女の身体は 男を欲していることを

  忘れてはいなかった27歳 。春の日の再開。

 

  見るからに、誰よりも大人の男と感じる上に、源氏名での指名をいただけば・・

 今、此の時を逃がせば・・と 、直ぐに結婚。

 

  

  結婚となれば 我が家は城であり、 人様の眼がナイとなれば・ ・ 朝に 夕に 所 構

  わず・・    男と女の むつみ事は 繰りかえされ・・

 それが、我が夫婦の日常であるにもかかわらず・・

 

  億分の一の ”子種” は  ”タマゴ を 見つけだすことさえ できず・・

 

 

 そのような時であっても、”気持ちと視線” をこの容姿に向けさせようと 決めたポリ

  シーも・・いつしか、、

 

 ” いつ、誰に見られても イイ女で居たい ”  と、、 しだいに変わってゆき、、

    週一のヘアーサロン。 おしゃれと下着は、見せるものと弁えていた。

 

  でも いくら主人の気を惹こうとしても、気心が離れてしまった 主人となれば、

  もう無理 。 と、 なることも覚悟はしていたのだが 。。

 

 今、、まだ 子供も居ないし、いっそ決断ができたのであれば、別れの気持ちを

  自らの言葉で 仄めかせてみても、、私は かまわない。 覚悟はできている。

 

  ・・やはり 離婚 。・・バツイチとなってしまうのか・・。

 

 

   重たさを感じる ドアを開け、、うす暗い明かり  と、思って踏み入れた 先には、

  いかにも明るいリビングの光・・

 

 「 た だ い ま ぁー ・・ 」

 

   「 もぉぅ、、美月。 待ちくたびれて しまったよ・・ 、 」

   

   祐一郎にとっては  休日の夕刻 。

   ひとりの時間をもてあまし・・リビングのテーブルに置かれたコップのビールを

   飲み干すと・・

   祐一郎は 美月の姿を・・食い入るように見つめた。