・ 妄想の 先には ・・ ②

 

  窓際カウンター席には、近くの会社からと思える三名の女子社員様が、こちらの

 カフェにておしゃべりをしながら昼食を楽しんでおられる。

 

  中年の男性とスーツを着た女性は、、上司とその部下の関係を思わせる御二人。

 

  小声での話は なんとなく秘密めいた感じと採れるのは、美月の今の自分の気持ち

  を表すかのよう、そのように感じるのは思い過ぎ ・・なのだろうか。

 

  「野中さん 個室の方が空いてますから、あちらの方に移りましょうか」

 

  野中さんと お義姉様が並んで座り、由香はその二人の前に座る。

  それぞれの前に置かれたコーヒー。

 

 「・・いやー、あの御二人は以前からの知り合いで、それも奥様が近くで見て

  居ると知っていて その女性に卑猥なマッサージをしたんでしょ・・

 ” 俺には こんなに綺麗な女が居て、会うたびにこんなことをして楽しんでるんだ         よ” って」

 

  野中慎二の言葉は美月の想いをかき 乱し、テーブルに置かれたお義姉さまの拳が

 ギュと 固くなるのを見て、、さらに 言葉を続ける。

 

 「そのように触れ合うということは、セックスの前儀そのものでしょ。。

  女の アソコは  ” はやくっ”と ばかりに濡れそぼり、御主人は 直ぐにも繋がりを

 求めたかったハズ。 いや もう 今頃はどこかで、、しとどに濡れたアソコを確かめ

 た男は、イキリ立つ モノを・・・」

 

 「ちょっと 野中さん!、そんな根拠もないことを言ったら お姉様が・・」

 

「由香ちゃん、いいのよ。もしかすれば そのようなことも・・」

 

 彼は、卑猥な言葉を並べたて 美月の妄想を、、然も現実に不倫の行為をしている

 かのように・・

 

 「・ ・ ・ ・」

  だが美月は 彼の言葉を遮ることなく・・ 睨みムキーッ つけるような目つきで見つめ、

  そのようなことも・・もしかすれば 有りえること・・

 

 「 ところでオーナー。いや美月さん、最近 御主人との夫婦関係は どうなんで

  しょう。うまくいってます?・・平穏な生活と、ありきたりな夫婦の会話・・。

 そんな 水臭い夫婦じゃダメなんですよ。」

 

 「心の打ち解けた夫婦だったら・・身体が震える ほどのセックスを楽しみ、奥様が

  なんども 満足し、  ” もう 許してぇー”  と、懇願の のちに・・ ・ 

  ようやく 身体の 奥 深くに・・男のモノを感じるほどの行為じゃないと・・、

  してもらってます?そんなセックス」

 

「・・もう 結婚して何年です? 。奥様だって けっこうイイ女 。・・テレビの、

  あの キャスターにも 似ていて・・旦那さんもイケテル男前。俺だったら 毎晩

 でも、 挑むほどに愛してあげますよ」

 

  ・・えぇ~目 そんな眼で 私をっ!?・・。まさか 本気で そのようなこと・・

  

  ・・夫婦としてのそのようなこと。いつ シタのかさえ 思いだせない美月。

  

 「今頃は あの御二人、ラブホのふかふかのベットで・・この近くには、あまり 

 そのような 所は・・御主人は車でこちらに来られたのでしょうかね?・・

  愛欲に飢えている御二人だったら・・車 の中で だって・・」

 

 「もう 止めてあげてっ・イラッ お義姉さんが 可哀そうじゃないっ。」

 

  いたたまれなくなった由香は、泣き叫ぶように言い放つと、テーブルに有る美月

  の手に自らの手を重ね・・その拳を強く握り絞める。

 

   ” そんな ことって・ ・ ・ ア リ エ ナ イ  ハ ズ・ ・ ”

 

 「今、事を荒立てるのが嫌だったら証拠をつかむまで・・もう少しの間・・

  でも 美月さんの、ご自身の身体に溜まる”欲”は増すばかり、どう 処理します?」

 

   ニッ ウシシと口角をあげて 美月の方に眼をやるも ・・  美月は 深刻な 様相で、

    前に置かれたコーヒー コーヒーを見つめ、、そっと 手を伸ばす。

 

 「・・でも、話を表面化するとなれば、ハートブレイク 離婚の方向に行くことはまちがいない

    ですよね 。・・その覚悟、できてます?」

 

 「あれほど男性的で、営業マンとしても素敵なご主人ですから 奥様方には恋の矢モテル

  でしょうね・・田園調布のお綺麗な奥様にリビングに招かれ、、

   ” 商談 成立のお礼をしなくては・・” 時には、そのようなこともありますよね。

   ・・でも 離婚を避けるとするならば・・ 美月さんが最初に ご主人と出会った

   時のことをを思い 出すんですよ」