「君はとてもハンサムだね。
こんなところに来てるのが彼女にバレたら大変じゃない?」

そう言ってくれた60歳のおじさんは
とてもハンサムだった。
奥さんに先立たれて、遊び始めたらしい。

社交辞令、というのではなく
心底そう思ってくれているのがわかる言い方だった。

だけど・・・
俺はここの照明の魔法を知っていた。

暗く、紅い、
昔の女郎部屋のような(イメージだけど)照明の下、
20代だと思っていた人が
老人だったことがあった。

ラウンジの明るい照明の下で
今しがたの相手を見て
絶句することが多々ある。

明るいところで
このおじさんに自分の顔を見せるのが
ためらわれた。
がっかりさせたら申し訳ないし・・・

そして、このとても優しいおじさんの顔を見て
がっかりもしたくなかったし・・・

「こんばんわぁ」

入って来たのは18~20歳くらいの男の子だった。

ここの客の年齢層は30代以上がほとんどなので、
皆、歓迎ムードで注目した。

~ですぅ、って話し方はバカっぽいけど・・・
ま、若い子なんてこんなもんだろう。

「かわいいね~」
「ありがとうございますぅ。あきらって言います。
よろしくお願いしますぅ」
「あきらくん、年いくつ?」
「え~、もう30ですよ~」

・・・。

・・・。

「え?30なの?若くないじゃん」
「30になって、~ですぅ、って話すの?」
「バカなの?」

「ひど~ぃッ」

歓迎ムードは一転し、
あきらに対しての説教が始まった。

「若い頃、オヤジどもにチヤホヤされて、まだそのノリで生きてるんだろ?」
「もう30じゃそんなの通用しねえよ」
「かわいくたって、バカは相手にされないよ」
「若いからバカでも許されて来たんだよ」

チヤホヤされることを期待して来ていたであろうあきらは
泥酔し、誰にも口説かれることなく
タクシーで帰って行った。

何でも好きなもの、飲みなさい。

おなか空いてない?
好きなもの食べなさい。

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兄貴・・・

俺は兄貴のことがタイプだったんだよ・・・

ねぇ、意地悪しないで・・・

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バカ・・・

もう、全然俺の気持ちをわかってくれないんだから・・・

バカ・・・

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今日は帰らないよな?

帰らないって約束してくれるよな?

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ここには悪い人も来るんだ。

気をつけなきゃいけないよ。

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お酒は好きかい?

何でも好きなもの、飲みなさい・・・


・・・最初から繰り返し。
いつ会ってもその繰り返し(笑)

顔も覚えていないようだった。

還暦のアンコーさんは
スッキリとした顔のいい男だったが、
男っぽい風貌だけに、
乙女のように甘えてくる変貌が・・・

とても気持ち悪かった。

それと・・・

「兄貴」っていうけど・・・
俺のほうが二周り近く年下だよ(-"-;A