額安寺（かくあんじ）の創建年代は不詳であるが、聖徳太子が推古天皇二十九年（621年）に、学問修行の道場「熊凝精舎（くまごりしょうじゃ）」を建立し、推古天皇がこの精舎に寺号の額安寺を賜ったと伝えられる跡地に建立されたのが当寺院とされ、大安寺の前身であると言われている。

この地域は、初瀬川と佐保川の合流する古代水路による交通の要所で、奈良時代には、なにわの浦から大和川をさかのぼって当寺近くに外国使臣や文物が渡来し、仏教伝来の門戸にあたる壮大な寺院とされ、寺域は広大で、金堂・講堂・塔・廻廊などの七堂伽藍が建ち並んでいたようだ。

しかし、平安時代には、寺勢が衰えたが、鎌倉時代に高僧・興正菩薩や僧・忍性菩薩により再興されたが、兵火により焼失し、講堂（現・本堂）を残すのみとなった。

　　　宗　派　：　真言律宗

　　　御本尊　：　十一面観世音菩薩

　　　所在地　：　奈良県大和郡山市額田部寺町36

山門

本堂

慶長十一年（1606年）に再建されたもので、平成十七年（2005年）に全面解体修理が行われた。

庫裏

納骨堂

宝篋印塔

この宝篋印塔は、額安寺前の鏡池の池島に建っていた石塔。鎌倉時代に慈真和尚が母の供養のために作ったと伝えられ、文応元年（1260年）の銘があり、記銘の持つものとして日本で2番目に古いとされている。

境内

奈良 額安寺を参拝