あとがき・その2(小説『ライズ・オクトーバー・ライズ』) | Kのガレージ

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“書く”ということを続けていたい。
生きたという“あかし”を残したい。

八ヶ月半かかった。

 

書き始めた当初は、そこまで長くなるとは思っていなかった。

 

想定外の長丁場だった。

 

もうやめようかな……。

 

途中でそう思い悩むこともあった。

 

あと何話か書けば最終話、そんな終盤を迎えたある日。

 

僕は手が完全に止まってしまった。

 

一文字も書けなくなってしまった。

 

何も思い浮かばない。

 

一時間。

 

二時間。

 

パソコンと睨めっこしたまま、時間だけが過ぎていく。

 

こんなことをしていて、何になるのか。

 

三時間。

 

四時間。

 

やっと字が進み始めて、書き終えたのは四時間半が経過したときだった。

 

僕は一体何をしているんだろう。

 

意味のないことに時間を費やしてしまった気がする。

 

好きでやっていることなのに、こんなのバカげてる。

 

そんな暗い気持ちで落ち込んでいても、日々の生活は続く。

 

もうこんな時間だ、買い物に行かなくちゃ。

 

急かされるように自転車に乗って、日用品の買い物に出かけた。

 

外はよく晴れていた。

 

風が心地よかった。

 

外の空気を吸って、気分も晴れてきた。

 

ああ、気持ちいいな——。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのとき、思った。

 

書くということをしていなかったら、この気分は味わえなかった。

 

こんな晴々とした気持ちにはなれなかった。

 

書かない自分よりも、書いている自分のほうが、ずっといい。

 

書けるって、尊いことだな。

 

書ける自分は、きっと尊い存在なんだ。

 

そう思えた。

 

書ける自分で、よかった。

 

書くのをやめなくて、よかった。

 

自分という存在で、よかった。

 

どんどん気分が良くなった。

 

自主軟禁状態から解放されたから、というのもあっただろうけれど。

 

だからきっと、これからも、僕は書くだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、しばらくお休みをします。

 

八ヶ月半、やり切ったけど、とても長かった。

 

書くことに時間を割き過ぎたというのも事実だ。

 

他にもやりたいことはある。

 

それらを犠牲にして書いていたという現実もある。

 

書くのはしばらく休んで、他のことをしよう。

 

また書きたくなったら、そのときに書こう。

 

きっと誰かが読んでくれる。

 

この長編小説がそうだったように。

 

たとえ一日一人でも、一週間に一人でも、

 

読んでもらえた、そのことがわかる瞬間は、何にも変えがたいほど嬉しい。

 

その一つ一つが励みになったからこそ、書き続けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ライズ・オクトーバー・ライズ』を読んでくれた、「いいね」をしてくれた、

 

全ての皆さんに心から感謝します。

 

本当にありがとうございます。とても励みになりました。

 

これからも、書くことを楽しみに、

 

どこかの誰かが読んでくれることを楽しみに、

 

またいつか小説を書こうと思います。

 

ありがとうございました。

 

 

 

K

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小説『ライズ・オクトーバー・ライズ』

あいつらと一緒なんて、死んだほうがマシだ——。

いじめから逃げるように、東京から地方の高校へ進学したタケル。

郷土芸能やダンスを通して出会った仲間たちとともに、

たくましく成長していく青春ストーリー。

郷土芸能、ダンス、どちらもクライマックスを迎える十月、

タケルたちの運命が大きく動き出す。

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(※物語は全てフィクションです。小説に登場する人物等は全て架空であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。)

 

 

 

 

 

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