Only you .

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( ねぇ、聞いて欲しい事があるの )


今年も冬がやってきた。辺りは一面冬景色、真っ白だ。

「…さむ、」

女は寒さなんて気にしない。少しくらいの寒さは耐えるのが常識でしょ?

私は何時も通り、スカートは膝上15…じゃなくて、12cm位に折って。

何故かって?流石に今日は寒いし、何より足が太くなるのは御免。それに…、えーっと彼氏?にも下げろって言われたし。


シンプルな暗めな赤い色、赤ワインの様な色のマフラーを首に巻いて私は外に居た。

ふわふわ、ゆらゆらと雪が降る。

私もあんな風にふわふわと、ゆらゆらと落ちて、ゆっくり消えてみたいわ、何て冗談だけどもね。

はぁ、と口元に手を添えながら息を吐くと、其れは真っ白な姿を見せた後空へと消えていく。

私はマフラーで口元を隠した。



家に居たくない。

中学生が何を言ってるんだ、と人は思うでしょうね。

ナンパ待ちとかじゃなくて、只家に居たくない。それに一応彼氏、といえる人間は…居る。

私の家族は元々御母さんと御父さん、そして私の3人家族。昔は皆で一緒に食卓を囲んで、御母さんとは洋服を買いに行って、御父さんにマッサージをしてあげて、皆で笑って。

恵まれた家ではなかったけど、私は幸せだった。幸せ、だったのに。

私の御父さん、だった人はとあるバーの女性と性関係にあった。浮気、と言うやつだろう。

私は気付かなかった、帰りの遅い日や帰れない日は仕事が忙しいのだろうとばかり思っていた。

気付いたのは御母さんで、御母さんは薄々勘付いていたらしい。

何故もっと早くに言わなかったのかは今になってやっと分かる、その時既にあの男との関係があったのだろう。

その後御母さんと御父さんは離婚、私の御母さんは再婚し私は御母さんに付いていく事になった。

御母さんの2つ上の男で、顔も職も悪くはない。でも、私は如何しても御父さん、とは呼べなかった。


あの男は御母さんと、何度薄汚い行為を続けてきたのだろう。

きっとあの人と御母さんも性関係からの始まりだろう。

私が中学に入って間もない頃、私が帰宅すると御母さん達の寝室のドアが半開きになっていた。

普段はきちんと閉まっているドア、私は閉めようとドアへ向った、けれど。

半開きのドアの向こうに見えたのは、裸体の御母さんに覆いかぶさり腰を振るあの男。

直ぐに立ち去りたくなった、でも足が動こうとしなくて。

私はそんな淫らな行為を見ていると、御母さんと目が合った。

別に恥らうわけでもなく怒るわけでもない、ただ見せ付けるかの様に御母さんは声を上げ続けた。

もうあの人は、只の女でしかなかった。


今日も帰った、が

玄関にはあの男の靴が有った。私は家に入る事なくドアを閉めた。

あの男は、あの男は…御母さんでは満足出来ないと、私の身体までも欲しがった。

"「忍ちゃん、この前見てたよね?」"

"「…、」"

"「御母さん、気持ち良さそうにしていただろう?だから僕が忍ちゃんにも教えてあげるよ」"

"「っ!こないで!」"

"「大丈夫、怖い事なんて何もないよ。ほら、こっちにきなさい」"


「…っッ!!!」

思い出すだけで吐き気がした。あの男は私を親としての目でなく女として見ている。

私は逃げた、何も考えずに只逃げた。家を飛び出して、行き場なんて考えていなかった。

私は小さな公園に居た、するとサッカーボールが此方へ飛んできて。

「…!」私はそのボールを飛んできた方へと優しく蹴り返す。

そこに居たのがあの、不動明王で、初めて出会った日だ。

"「へェ、御前女のくせになかなか良い蹴りだな。俺と来いよ。」"


私は真帝国学園に編入し、サッカー部に入部した。

ふど、…明王は私と所謂恋人、という関係になった(…恥ずかしいからあまり言いたくない)

告白は向こうからで、なかなか心を開けない私に無理矢理入ろうとしたのは彼奴だけで。

キツい印象の反面、不器用ながら優しい彼に少なくとも善い印象を受けていた。

告白も嫌ではなかった、と言うか嬉しかったのでオーケーを出したのだ。

今は付き合って3ヶ月程、でも家族の事は今迄言った事はなかった。


心配をかけるわけにもいかない、何より事が事なので言い難いのもある。

まだ何かされたわけではないが、もしも…と考えると不安でしかたがなかった。

私は再び重い足を、ゆっくりと自宅へと運び始めた。


「…、」

自宅のドアを開けると、やはりあの男の靴があった。普段より早い帰宅時間に思わず溜め息が漏れる。

私はそっとドアを閉め、自室に駆け込んだ。

階段を上った音の所為であの男に気付かれた、下から呼ぶ声がする。

「忍ちゃーん?今帰ったのかい?帰ったならただいまくらい言って欲しいなあ」

「…っ、」

私は近づいてくる足跡に恐怖感を覚えた。呼ぶな呼ぶな呼ぶな、来るな来るな来るな…来ないで。

私は急いで部屋の鍵を閉める、外からは開けられないから侵入は防いだ。

「ー?忍ちゃん鍵を開けてよ、御父さん今日は早く仕事が片付いたんだよ。たまには2人で御話しよう」

「…っ、ッ」

私は怖くなって、携帯を開けた。

画面に映し出されるメール画面、そして『不動明王』の名前。

私は震える指で文字を打ち、送信ボタンを押す。『たすけて』

只々、耳を塞ぎ布団に潜るしか出来なかった。


…―あれから何分が経っただろう

きっとまだあの男はドアの向こうに居るのだろう、声が聞こえた。

未だに震えが止まらない、涙を必死に堪えるが、もしもを考えると我慢もきかなくなりそうだった。

…すると、ガツン、と何かが壁に当たる音が。直ぐに声が聞こえた。

「其処退けよ!!」

「な、何だい君は…!君こそ出て行きなさい」

「っせえよ、おい小鳥遊ィ!!!」


…明、王の声だ。明王が私を呼んでいる。

私は待っていた声を耳にすれば、勢い良くドアを開けた。

「あ、き」

「来い!」


家を飛び出して、走って走って、走って。

あの日と同じ、でも違う。

違うのは、私の手を握って前を走る君が居るからだろう。


「…っ、わり。大丈夫か」

「…ん、平気」

「「…」」

私達は雪が降る中公園の前に来ていて、其処には雪と私達だけだった。

安心した所為か、恐怖心からなのかは分からない。私は初めて恋人の前で泣いた。

明王は黙って抱き締めてくれていて、私はもう恥ずかしいだとか考えられなくて。

「あ、き」

「…-」

「え?」

私を抱き締めながら肩に顔を埋め、明王が小さく小さく、消えてしまいそうな声で呟いたのは。

『ごめん。』

確かにそう言った、普段堂々としている彼が凄く弱々しく見えて

「あ、明王は何も悪くないじゃない!謝る必要なんて、」

「今迄助けられなくて、守れなくて、悪かった。」

「な、に…言って」

明王が、震えている。触れている場所から伝わる感情、私はまた涙が溢れた。

「明王は、助けてくれた。もう、いいわ。」

「でも、御前ぜってェ怖かっただろ。今迄ずっと。」


ああ、何でコイツは気付くのだろう、周りの気付かない場所に限って。

「…忍」

「え?」

不意に名前を呼ばれれば、若干俯いていた顔がばっ、と上がってしまう。

―…気付けば君との距離、0cm。

「…ちょっと頑張ったからって、いい気になるんじゃないわよ餓鬼。」

「はいはい、顔赤いケド」

「う、うるさ…っ見ないで!」

「忍、」

「…、っ」


本当にズルい人ね、

『俺が一生守ってやる』





私は恥ずかしくて、恋人から逃げるように歩き出す

それを呆れた様子で追いかけてくる恋人

女はそんな、簡単な生き物じゃないの

そう簡単に、言ってなんてあげないわ



…でも、私もちゃんと想ってるから、

『…大好きよ』




( "ありがとう。" )



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