ワットプー観光の翌日はパクセー近郊の滝を三つ巡る予定でした。
しかし、この日はあいにくの雨。前日の夜から雨が降っており、一夜明けてもまだ雨はやんでいませんでした。前日のワットプー観光の際のトゥクトゥクの運転手さんには、この日も既に朝7時出発ということでお願い済み。なかなか止まない雨を眺めながら、妻と「中止にして、雨でも観光できそうなところに行くしかないか・・・」と話していました。ただ、できれば中止にしたくはありませんでした。ここパクセーに来るチャンスはもうないかも知れません。そして、運転手さんの一日の仕事の予定を大きく狂わせてしまうのも、申し訳なく思ったのです。「雨よ、頼むから止んでくれ!」と願いました。その願いが届いたのか、7時ごろになって、雲の切れ間に少しだけ青空が覗き出しました。妻は運転手さんと、観光を中止にするかをチャットで相談していましたが、予定通りの観光を決断。運転手さんにもそれを伝えました。
外に出ると、雨は小康状態。「このまま降らないでくれ」と願いながらの出発です。走り出すと、小雨が降ったり止んだり。サイドカーは、晴れの日ならば気持ちが良いですが、雨の日は少し我慢が必要です。ただ私には、時折降る小雨よりも、冷たい風の方が辛く感じました。流石にそのままでは風邪をひきそうでしたので、走り出して15分くらいの町はずれの服屋さんで止めてもらい、間に合わせに厚手のネルシャツを購入。幸運にも、鞄の奥には昔買ったスポーツ用の薄手の首巻も入っていました。このネルシャツと首巻で何とか冷たい風をしのげそうです。この服屋さんに運転手さんも興味津々の様子。気になる服を見つけられたのでしょうか・・・
この日、向かった方角は、パクセーの町から東北東。山間の方に向かっていきます。なんでも町から1時間くらいのところにいくつかの滝があるとのことです。三つの滝を巡る行程を、900,000キープ(約41米ドル)でお願いしていました。小雨は途中まで降ったり止んだりといった感じでしたが、標高が高いところに来ると空気が変わったのか、小雨も降らなくなっていました。
途中、幾つかの学校を見かけましたが、カンボジアの一般的な学校と非常によく似ていました。寺院に隣接して建てられた学校が多いのも似ています。妻も「カンボジアとほとんど同じだ!」と嬉しそうに話していました。学校のつくりや、中から聞こえてくる子ども達の声もほとんど同じです。なお、子ども達の通学手段は主に徒歩のようです。カンボジアでは都会も地方もバイク通学の子どもが多いので、この点は少し異なると思いました。また女子のスカートの足元に白のラインが入っており、これがラオスの制服のようでした。カンボジアの女子のスカートは濃紺の一色ですので、ラオス独自の制服のようです。男子の制服はカンボジアとほとんど同じで白シャツに濃紺ズボンでした。また、ラオスの学校の入り口にはラオ語とフランス語で校名が書かれている事が多く、クメール語と英語で書かれている事が多いカンボジアの学校とは、この点も異なると思いました。
さて、私たちは一つ目の滝「Tad Fane Waterfall」に到着。入場料は30,000キープです。ここの滝はリゾート化されており、喫茶店やレストランがありました。さらには宿泊施設もあるようで、ここでのんびりと時間を過ごすこともできるようです。また、ロープに宙づりになって、谷を渡るようなアトラクションもありました。さて目当ての滝ですが、喫茶店やレストランがある場所から谷を隔てた向こう側に落差の大きな滝がありました。喫茶店の屋外席からは、ゆっくり座りながら滝を眺められるようになっており、妻とポップコーンを注文して座らせてもらう事にしました。ここは「映えスポット」になっているのか、多くの人達が滝を背に写真を撮っていました。リゾート側と滝との間に大きな谷があり、この日は天候が悪かったことも相まって、吹く風がとても強く、一気に体が冷えてしまいました。
遠目に見える落差が大きい滝
妻は納得のいく写真が取れたようなので、この滝の見学はここで終了。次へと向かいます。運転手さんに連絡すると、どこかでコーヒーを飲んでおられるようでした。「すぐに行くよ」という連絡の後、5分くらいで戻って来られました。
このTad Fane Waterfallを出てからは、一旦、パクセー側に少し走る事に。10分くらい走ったでしょうか。大きな道を外れて、村の中の道へと入っていきました。外で遊んでいた子どもたちが、私たちに笑顔で手を振ってくれています。素朴な雰囲気に癒されるひと時でした。運転手さんもここは初めての訪問のようで、道が分からなくなりかけていました。通りすがりの人に尋ねると、丁寧に教えてもらえたので、迷うことなく目的地に到着。2つ目の滝、「Champi Cave Waterfall」です。入場料は外国人30,000キープ。一つ目の滝と比較すると、ほとんどリゾート化されておらず、滝までの道もややワイルドでした。入口から滝までは、坂道を降りていく事になります。この日は小雨が降っていたこともあって、かなり滑りやすい状態でした。下まで降りると、小川があり、それにかかる小さな橋を渡ると、横幅の広い滝が見えました!
小川と小さな橋
滝壺付近が池になっており、池のほとりに立って滝を眺めていると、心が落ち着いてきました。観光客は、私たちが訪れたときにすれ違った欧米の人達3名のみ。彼らが去った後は、貸切状態です。周囲は森になっており、この日のどんよりとした天気が、より雰囲気を幻想的にしてくれました。運転手さんも初めての訪問だったため、滝まで一緒に来られ、壮大な光景に見入っておられました。妻も、滝を背景に写真をたくさん撮って大喜びでした。
ここでの見学を終え、3つ目の滝に移動です。また大通りに出て、1つ目の滝の方角へと向かいます。一つ目の滝を通り過ぎてすぐに、3つ目の滝「Tad Yeung Waterfall」に到着。ここでも入場料30,000キープがかかります。これに加えて駐車場代も発生します。(駐車場代は忘れてしまいました。すみません。)
この滝もやや観光地開発されている感じでしたが、一つ目の滝ほどではありませんでした。観光客の数は3つの滝の中で一番多かったと思います。欧米の人達よりも、カンボジアやタイから来たツアーの人達が多くいました。ここでも入場料支払い後に、谷へと降りていく事になります。石段が設けられていますが、かなり急でした。この日は小雨の影響で滑りやすく、私は手すりを掴みながら、慎重に歩を進めました。
滝が見えてきました。
この滝は、観光客の立つ場所から谷を少し隔てた向こう側にあり、落差が大きい滝でした。東屋があり、そこから谷を背景に写真を撮ることができます。その先も下に降りたり、別の通路を渡って、さらに別の東屋に移動したりもできます。様々な地点から写真が取れることもあってか、多くの観光客で賑わっていました。ここまでやや歩き疲れ、移動疲れを感じていた私たちは、はじめの東屋付近で写真をたくさん撮り、ここでの観光を終了としました。
落差もあり、かなり近くで見る事ができます。
入口付近に戻ると、運転手さんが待っていてくださりました。当初の計画通り、3つの滝を訪問して、私たちはパクセーへの帰路につきました。
私たちのトゥクトゥクは順調にパクセーへと向かいます。気温も少し高くなったでしょうか。お昼時になり、沿道には下校中の子ども達を見かけることも多くありました。町まであと15分、というあたりで突然運転手さんがトゥクトゥクを止めました。どうしたのでしょうか・・・運転手さんは、往路、私がネルシャツを購入したお店に入っていったのです。どうやらお気に入りの服を見つけていたようで、それを購入されていました。
そして、昼過ぎにパクセーに到着。運転手さんとはここでお別れです。真面目で親切な運転手さんでした。この日でお別れになるのは少し寂しい・・・・こうした素敵な出会いがあり、パクセーに来て本当に良かったと思いました。もし、またここを訪問する事があれば、この運転手さんにお願いしたいと思います。
昼食は、前日と同様に市場の食堂コーナーで。私は前日と同じ鶏肉ご飯、妻は肉炒めご飯を食べました。市場の食堂はやはりおいしいです。
その後は、妻は一旦部屋で休憩。わたしは趣味の筋トレをし、屋台で夕食を購入後にホテルに戻りました。
パクセー最後の夜です。せっかくだから、どこかに行こうと思い、ショッピングモール「Friendship Mall」に行くことにしました。歩ける距離ですが、配車アプリ「Xanh SM」もまだ使っていなかったので、ここで初めて使ってみることに。アプリに目的地を入力すると、5分くらいでタクシーが到着。Xanh SMときれいに塗装している車で、車内もとてもきれいでした。5分ほどでショッピングモールに到着。20,000キープ(約1米ドル)。このFriendship Mallは、私にとってはどこか懐かしい日本のショッピングセンターのように思えました。それほど大きい建物ではありませんが、映画館やチェーンの飲食店、雑貨屋さんなどがあります。また、個人の靴屋さんや服屋さん、フードコートもあり、子どもの頃に行った隣町のショッピングセンターとそっくりでした。時間は夜8時前で金曜の夜でしたが、あまりお客さんはおらず、店の人達の客引きもほとんどありませんでした。
個人経営っぽい服屋さんや鞄屋さん。そしてMINISO。
綺麗なジムもありました。お値段は高め。
ここではウインドーショッピングを楽しみ、宿までは歩いて帰りました。途中、妻が「ラオス国旗と写真を撮りたい」と言うので、記念写真を撮影。ラオス国旗は、多くのところで、旧ソビエト連邦のような旗(赤を背景に黄色の槌と鎌が描かれた旗)と一緒に掲げられていました。社会体制が似ているためか、どことなくベトナムっぽい一面があるような気もしました。話されている言語はラオ語でタイ語に似ています。一方で、人々の表情やコミュニケーションの取り方、町や市場や飲食店の雰囲気、家族でビールを飲みながら楽しそうに食事をされている光景、一般の学校の様子や寺院の様子などはカンボジアととても似ていました。このように、街と人々の雰囲気や文化の類似点、相違点を考えると、カンボジアやラオスを含めた東南アジア全体への興味がどんどん湧いてきます。また機会があれば、いろんな国、そしていろんな町を訪れ、そこでの雰囲気を感じてみたいと思います。
顔の左には、ラオス国旗とソビエトっぽい旗。わかりにくくてすみません。
翌日は、丸一日バスに揺られてカンボジアへと戻ります。観光はできませんが、車窓からのきれいな眺めが見たいので、晴れてほしいと願いつつ、眠りにつきました。
今回の記事はここまでとなります。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。






