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漫画家こうの史代さんの新刊、『日の鳥』。


雄鶏の「わたくし」が、とつぜんいなくなった「妻」を探して、
震災後の東日本各地を旅する……。


という形で展開される、
一コマづつのスケッチ集のような、不思議な作品です。

何かストーリーのある漫画、というわけではありません。
被災地の現状を訴える強いメッセージのこもった作品、というわけでもありません。

各地の被災状況に関する簡潔な説明・地図と、
被災地を中心とした東北各地の風景を描いたスケッチが何枚か続く、その繰り返しです。

こうのさん自身が語っていますが、
震災に関して細く長く続けられるものがやりたい、という思いで始まった漫画誌への連載。

メディアに取り上げられるような「わかりやすい」被災地の風景だけでなく、ごく普通の地味な風景も描かれています。
でもそういった場所にこそ、その地に生きる人々の思いや記憶が染みついているはず。

震災一年後から開始された連載は今も続いています。
この本は、その第102回までが収録されています。


私はこうの史代さんの漫画が好きで、
『夕凪の街 桜の国』『長い道』『ぼおるぺん古事記』などなど、どれも好きです。

好きな漫画家さんが東北に目を向け、
しかも継続してこの地を訪れ、作品として発表し続けてくれていることに、ただただ、嬉しい気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。


こうの史代 2014 『日の鳥』 日本文芸社
(週刊漫画ゴラクで連載中)