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毎年たくさん読みたいと思いながら、未読の本ばかりが今年も積みあがりました。

それでも、2015年も魅力的な本にいくつも出会うことが出来ました。

そんな中から特に印象に残った本を5冊ご紹介。


※出版年が今年ではない本も含まれています。



◆小松貴『裏山の奇人 野にたゆたう博物学』(フィールドの生物学14)東海大学出版会

こんな生き物がいるとは知りませんでした。
アリの巣に寄生する昆虫を研究している方の、研究やそれにまつわる話をまとめた本です。そんな虫たちがいるのを初めて知りましたし、いろんな種類がいて、それぞれにとても工夫を凝らした生態をしているというのは驚きでした。

未知の世界というのは熱帯のジャングルや極地だけじゃなく、身近な野や山にも広がっていることを、とてもみずみずしい文章と美しい写真でつづられています。
今年読んだ中で一番面白かったです。

同時に、自分の同年代の自然科学系の若手研究者が、どのように研究に打ち込んでいるのかに触れることが出来て、良い刺激になりました。


◆熊谷公男 編『東北の古代史3 蝦夷と城柵の時代』吉川弘文館

ついに刊行された東北の古代史シリーズ。
考古学と文献史学による、現在の研究の到達点がまとめられています。

本文も大変勉強になるのですが、各章の間に設けられたコラムも面白いです。
巻末の参考文献も要チェックですね。何度も読んで勉強したいと思います。

同時に刊行した東北の中世史シリーズも濃い内容。
全巻そろえなければー!


◆岡本太郎『日本再発見 芸術風土記』角川ソフィア文庫

1958年に刊行された本の文庫化。
文庫解説で赤坂憲雄さんも書いていますが、私も大好きな宮本常一の「私の日本地図」に似た印象を最初に受けました。でも読んでいくと、岡本太郎の文章に圧倒されます。

うねり、燃え、爆発する。
目で追う文字の先の先、ずっと先を岡本太郎の情熱が走っているのが、読んでいると伝わってきます。

日本の芸術や社会に対する批判は、そのまま今の日本にも当てはまります。

多数収録されている著者撮影の写真も素晴らしいものばかり。


◆藤井一至『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』ヤマケイ新書

若手土壌学者による、とても魅力的な本です。

土の起源から、生き物の活動によって変質していく土、土とは切っても切り離せない農業やエネルギー問題まで幅広く語られています。

考古学を勉強していると、日本で骨などの有機物資料が残りにくいのは日本の土が酸性だから、なぜ酸性かというと日本の土の多くが火山灰由来だから、と先生や先輩に教わるものです。
でも、日本の土が酸性なのはそれだけが理由じゃないと知って目から鱗でした。

土を知ると、地球の見方も変わります。


◆日本史史料研究会 編『秀吉研究の最前線 ここまでわかった「天下人」の実像』洋泉社歴史新書

教科書であったり、なんとなくな一般的イメージを、私も秀吉に対して持っていました。
でも歴史研究の進展によって、いろんなことが分かってきているんですね。

16の各種テーマについて、第一線の研究者がコンパクトにまとめられていて分かりやすいです。

出自・刀狩り・朝鮮出兵・太閤検地などなど。
世の中の常識となっている事柄が、最新研究の成果により新しい姿を我々に見せてくれています。

姉妹編の『信長研究の最前線』も面白そうです。




来年も、面白い本に出合えますように。