お盆前にお墓の掃除に行った。
その帰り道、ラーメン好きの主人に誘われラーメン店に入った。
どうやら人気店らしく、酷暑の真昼時でもお客さんがいっぱいで座れそうもなかったが
テーブルが一つ空いていたので、私達はそこに案内された。
目の前のテーブルには男子高校生と母親が座っていて、主人の背中越しに母親の顔が見えた。
落ち着いた感じの人だった。
ぽつり、ぽつりと息子さんと話をしながらラーメンを食べていた。
もちろん、会話は聞こえない。
食事を終え、その親子がテーブルから離れた。
次に、別の男子高校生と母親がそのテーブルについた。
また主人の背中越しに見えるのは、母親の顔。
優しそうな母親だった。
表情豊かで、時に驚いたり笑ったり
はじけるような笑顔で息子さんと話していた。
私は主人のほうに目を移し、声に出せない思いを心の中でつぶやいた。
『貴方の背中越しに、こんな親子たちの姿があってね。私は今、少しさみしいよ』
と。
あのときは、なんとも少しさみしい気持ちになった。
でも、今夜はこう思った。
あの親子たちには
私たちの分まで、幸せになって欲しいと思った。