冬休みが終わる
そう思うと、自分の胸の中にある 何か が自分の胸の中を這い回るように傷つけていく。
こうなったら頭の回転を出来るだけ遅くするか、寝るかの二択でしか抑えられない。
どんどん気分が落ち込み、全ての事がおっくうになる。
やがて自分の悪い部分とか、自分の傷を抉るようになる。
長期休みの最終日はいつもこうだ。夏休みの最終日は一歩も家から出ず、飯も食えなかった。寝ようとしても、真昼間なので寝れない。
布団の中にうずくまり、日が過ぎるのを待つ。
思えば昔から嫉妬の塊だった。
母から聞いた話だが、子供の時、おもちゃがほしいとねだった事があったという。
なんで欲しいの?と聞いたら、○○君が持ってるから、と答えたらしい。
小学生の頃仲のよかった四人がいた。
一人は運動神経抜群で、クラスの人気者だった。しかも性格も良くイケメン。
一人は背が高くて、温厚で、独特の感性を持ってた。
一人はコミュニケーション能力があった。どこにいても馴染めてた。
一人は頭が良かった。内向的だったが、とても頭が切れていた。
俺には何もなかった。
俺には何かあるんだと、自分に言い聞かせ、ごまかしていた。
その頃から自分の胸に、 何か はあったんだと思う。
本当はうらやましかった。彼らみたいになりたかった。でも現実は違う。
中学に入って、一人の友達が出来た。
彼は、俺は学者になる。才能があるって、俺のことを褒めてくれた。
彼は芸術的なセンスもあった。運動神経も良かった。クラスでも友達はいた。自ら積極的に関わってもいないのにだ。
羨ましかった、嫉妬した。
この文章を書いてる時にも、どんどん 何か は自分の体をズキズキと蝕んでいく。
イライラしていく。彼らみたいな人間が、俺を見たらどんな気持ちになるんだろう。
恐らく、哀れむか、蔑むか、嘲笑うかだ。
褒められた事が無かった。
母親は口を開けば大声で怒鳴った。怒られなかった日なんて無い。叱られた記憶しかない。
いつからだろう、褒められる事を拒絶するようになったのは。
褒められても、本当は思ってないはずだと、信じられなくなっていった。嫌味にしか聞こえなかった。今でも、褒められてもどう反応していいか分からない
ウツぬけという本を読んだ。自分を受け入れる。褒めてやる事が肝心なんて言ってた。
試してみたりもした、何度も。だが結果はNOだ
生きているのが嫌になる。いっその事ダンプにでも轢かれてしまえばいいんだ。そんな思考が脳を埋め尽くす。
ふとスマホを見る。同級生達はカラオケにでも行ってるんだと。
あの娘は、俺が、くだらない物で 何か を騙し騙し癒している間
仲間と笑いあったり、楽しい時間を過ごして、イケメンと良い雰囲気になって、告るなり告られるなりして、セックスでもしてるんでしょうね。
人間、幸せって、今の自分に満足するって事だと思う。
だから、俺はたとえどれだけ金を持とうが、女にモテようが、永遠に幸せにはなれない。
思考が自分の息を殺していく。灰色の中、エネルギーが自分の脳で暴れまわり、傷つけている。吐き気がする。呼吸を止めたら、今度は彼らになれるのかな。
友達と錯覚していた彼らは、いつの間にか飛んでいった。彼らが飛び立った羽の風圧で飛ばされ、寝転ぶ。
地面には影しかない。最も自分が忌み嫌っている物が写っている。
地面の砂をどれだけ殴っても、砂が飛ぶだけだ。
寝転んで、目を瞑る瞬間だけ、忌み嫌っている影が消える。
やっと消えたのか、忌々しい影がいなくなってせいせいした。
そう思って目を開けても、影はまだいる。
影が消える時を願いながら、今日も目を瞑る。
愛を込めて