みなさま、いつも応援いただき有難うございます。
新橋・烏丸神社の「癌封じ」の御守りを送っていただいたり、近くの人には差し入れしていただいたり有難うございました。
みなさまの応援の一つ一つが後押ししてくれ、力となって私をいい方向に導いてくれていることは確かだと思います。
現在の体調がいいのは、みなさまのおかげだと感じています。

度々メールにて励ましてくれた妹よ、有難うございました。
長文でやり取りすることはないけど、電話で話すこともないけれど、嬉しい励ましの声はしっかり受け取っていますよ。

6月1日、「くぼかわ病院」退院時に見送りに来て頂いた方々有難うございました。
お父ちゃん、お母ちゃん、和美おばちゃん、広ちゃん、大工の清二、有難うございました。

また、その時偶然にも病院に来てた、小中と同級生の朋子ちゃんのご両親並びに妹御の和枝ちゃんに会うことができたのは幸運でした。
「厚洋君かえ、まあ久しぶりじゃねえ」とおばちゃん。
「厚洋か、何十年も会うちょらんが調子はどうぜ?」とはおんちゃん。
「朋子の妹の和枝です」と和枝ちゃん。
会うことができて嬉しかったですよ。
有難うございました。

それと、私の拙いブログ記事を読んでくれている方が少なからずいることが分かって、その方々から声を掛けていただいたことはとても励みになりました。
有難うございました。

6月1日午前に「くぼかわ病院」から「アドレス・高知」に移動してきました。高知の西部から中央部への移動です。
四万十中央インターチェンジから高知インターチェンジまでの高速道路高知道70kmの旅。
山林面積8割を超える高知の高速道路は、景色を見るよりトンネルの照明を見ていた時間が多い。
山林、田園風景から海沿いに出て、また山のトンネルに戻っての小旅行でした。
高知インターから南に下って、トータル1時間で目的地に到着です。
「お帰りなさい」の声が心地良い。
「戻りました、戻ってきました」と笑顔で返します。

今度の部屋は、東向きで、窓から隣の栗畑の栗の木と空が見えます。
敷地境界フェンスを止まり木にしてスズメが遊びに来ます。
その光景を目にするだけでも心が落ち着きます。

また、建物の反対側、西側の通路沿いに「紫陽花」をずらりと植えていて外に出た折には目を楽しませてくれます。
先日には、紫陽花を愛でようとみんなで外に出ました。
六月、水無月には紫陽花がよく似合う。


やはり個室はいいものです。
入口のドアを閉めれば自分の空間だし、外の声はノイズと思えば気にもならない程のものです。
安眠を求めてここに戻ってきたのですが、その安眠を確保できている点がいい。
まあ自分の考え方が、他人は他人、自分は自分で他人のことは全く気にかからないせいもあるでしょうが。
夜22時頃にベッドに上がり、途中1時にパッド交換はありますが、6時には気持ちよく目覚めます。
スッキリした頭で朝を迎えることができるのは、とても幸せなことだなあと実感しています。
エアコンが完備されていて、自分で快適温度に調整できますから夜も快適で良く眠れます。

そのお陰もあって、体調は頗る良いですね。
あれほど食べられなかった食事、見るだけで吐き気を催していたのに、今は出される食事を美味しくいただいています。

週イチで移動販売「とくし丸」が来てくれるので、「にぎり寿司」や「焼き鳥」、「刺身」等を買うことができるので重宝しています。

口に食べ物を入れて、噛んで胃に送り込む、人間本来の働きが機能できていることに有り難みを感じて感謝しています。
点滴で栄養を補充したり、輸血で補ったりは最終的な手段であって、口から入れて噛みしめて味わうことがどれだけ幸せなことか、としみじみ感じているのです。


そんな環境と体調のもと、6月8日に消化器外科の外来で診察を受けました。
「弘瀬さん、顔色もいいですね」と先生。
CT画像を見ながら、変わらず上大静脈にがんが噛みついていますね、腫瘍マーカーの数値は若干上がっている、と言うのです。
「治療法を変えましょう。今まで飲み薬を飲んでもらってましたが、これを止めて、点滴だけにします。1週目、2週目と点滴をして、3週目は休みます。このサイクルを続けるようにします」

今年の1月中旬に抗がん剤治療を始め約半年が経ち、体も薬に慣れてきたところで(体力がガタッと落ちることがないため)次のステップに進んで、投与する抗がん剤を変更するのです。

【抗がん剤治療の変更】
今までジェムザール(一般名:ゲムシタビン)の点滴+飲み薬だったものを、ジェムザール+シスプラチン+イミフィンジと、3種類の薬剤の点滴に変更となります。
それに伴い投与時間は1時間だったものが6~7時間となります。(薬剤師の言です)
7時間て、会社での勤務時間と同じですからね、長いですよ。

薬剤を1種類から3種類に増やす。
その意義は、1種類ではやっつけきれない「アレ」を3種類でやっつけるのだ、ということと理解しています。

⚫ジェムザール(ゲムシタビン):「代謝拮抗薬」といい、がん細胞のDNA合成を阻止してがん細胞を死滅させ、抗腫瘍効果(がんの分裂や増殖を抑える)を発揮します。
⚫シスプラチン:がん細胞のDNAと結合して、がん細胞の分裂・増殖を抑え、死滅させて、抗腫瘍効果を発揮します。

この2つ(ジェムザールとシスプラチン)を併用した化学療法を「GC療法」といい、胆道がん(肝外胆管がん、胆のうがん)に対して、海外の診療ガイドラインで強く推奨されている治療法です。それをやってくれると言うのです。

⚫イミフィンジ:自身の免疫の働きを助けて免疫細胞ががん細胞と戦えるように作用する「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる薬です。イミフィンジは、がん細胞を直接攻撃するのではなく、本来の免疫機能が正常に働き、がん細胞を攻撃できるように作用するものです。

この3つの薬剤を併用することによって、より効率的かつ効果的にがん細胞を死滅させることができるというのです。

1週目:点滴
2週目:点滴
3週目:休み
このように3週、21日が1サイクルで、これを繰り返します。

投与する抗がん剤を変更するにあたり、それを受け入れる側の態勢も整備します。
今度は、私側の問題です。
要は、ピンポイントでがんを叩きたいのです。
そのために、失敗なく針を刺して、漏れることなく薬剤を注入していくことができるようにしたい。

私の場合は、10年前の髄膜炎治療からはじまり、脊髄炎治療、褥瘡手術、腎盂腎炎治療、膀胱炎治療等で採血しての血液検査、そこからの点滴治療と、何百回と血管に針を刺してきたのです。
そうすると、はじめは太かった血管も度重なる穿刺により段々と細くなって、今では採血ですらやりづらい血管になってしまっています。
1度でスムーズにできればラッキー、失敗は常のことで、その度痛い思いをするのです。
看護師の不安顔もできれば見たくない。

できればその肉体的苦痛と精神的不安を払拭できるものがあればいい。
そう思っていましたが、具体的に何があるのかの知識はありませんでした。
そこで勧められたのが、「CVリザーバー(CVポートともいう)」なのです。
これは、小手術で静脈内にカテーテル(細い管)を心臓上まで挿入し、リザーバー(ポートともいう)を皮下に埋設してカテーテルと繋ぐものです。

これから何度も採血してからの点滴治療があること、またその評価のために造影剤CT画像を撮るため造影剤を血管に注入すること、手術となったときには麻酔を注射し抗生剤を注入していくこと、また輸血もありえること等々を考慮して、現在の自分の血管状況との比較検討をした結果、どうもこれをやることのメリットは大だと判断しました。

翌週の6月15日に小手術をしてもらいました。
局所麻酔をして行うのですが、この局所麻酔を打つのが痛い。何カ所も打つので余計に痛い。
はじめは前腕の静脈から挿入しようと試みていましたが、余りに血管が細くて途中行き詰まってしまって、どうしても先に進まないようになって、押すと猛烈に痛いためにこのルートは中止。次には、上腕の静脈から挿入することにして実施。ここでも局所麻酔を打つ時にチクチク痛い。上腕内側なので思いのほか痛く感じます。
ここの血管は太く挿入はスムーズにいきました。
リザーバー埋設時には切開していることすら分からないほどの軽微さに感じるほどです。と言っても3センチは切っていますが。

【CVリザーバー】
Central Venous(中心静脈)リザーバー:これは血管内に薬を長期間注入する場合、主に抗がん剤治療を行う化学療法に用いられる。抗がん剤を投与する機会が多く、薬剤投与の時間が長いこと及び静脈が細く点滴をすることが困難とされる場合に適している。

~面会についてお知らせ~
・面会は、1週間につき1組(2名)まで。
・面会時間は、30分。
・事前予約が必要。
・家族以外も面会可。
・面会室での飲食は不可。
・差し入れは可。ただし、生ものはNG(の方がいいでしょう。(弘瀬談))
制限付きではありますが、面会が可能となりました。
直接顔と顔を向かい合わせてこそ面会の価値があると私は考えていますし、それが本来の人としての付き合いではないでしょうか。
人の笑顔を見ると自分も笑顔になれる、それが人としての本来の姿だと思っています。
動画や漫画を見て、クックックと笑うのもいいのですが、やはり人と会って笑うのが一番いいと感じます。
少しでも面会時間が増えて、部屋にも入れるようになればいい。
生活空間を見てもらい、私の人となりを垣間見てもらいたいとも考えています。
今回は、その入口と位置づけています。


おわりに
私は、健常者、下半身不随の障害者、車椅子ユーザー、褥瘡もち、肝内胆管がん患者と様々な立場で経験を重ねてきました。
現在でも、下半身不随の車椅子ユーザーで褥瘡もちのがん患者に変わりありません。
医療センターでは、形成外科と消化器外科の2つに通っていますし、点滴は「がんサポートセンター」でやってもらってます。
そのことは、絶望的なことではなく悲観的なことでもなく、むしろ貴重な体験をさせてもらっているなあと考えているのです。

余命3ヶ月、ステージ4のがんを肝臓に抱えているということは、爆弾を抱えていると同じことで、いつ導火線に火が付いてもおかしくはない状況であると認識しています。
そうすると、今まで意識してこなかった「死」について考えざるを得ない。「生」についても同様です。
今は痛みもないし、黄疸も腹水もないから表面上健康そうに見えるけど、治っているわけではないし小さくなっているわけでもない。
確かにそこにいて、息を潜めているだけだと思っていた方がが的確だろうと思うのです。

手術でしか完治できないことは承知しています。
それも大手術になることも分かっています。
それでも、確実にそこまで辿り着きたい。
そうすれば、完治への道筋が見えるはずなのです。

一方で、爆弾が爆発したときのことも考えておかねばならない。
覚悟は、去年の12月1日に余命宣告を受けたその時からできているつもりだ。
俺の覚悟とは、心構えのことであり諦めを意味するものではない。
将来の「死」に対する心のあり方・持ち様を定めることと今を精一杯「生」きることに尽きる。
怖くはない。不安もない。
未知の世界へ旅立つのは不安感より期待感の方が大きい。
諦めの感じではない、投げやりな感じでもない、悲壮な感じは尚更ない。
それが、今の俺。

平々凡々、日々平穏に暮らしていく
無理せぬ程度に文章を書き、プチ贅沢な暮らしに幸せを感じながら生活する。
(買物は専らアマゾンを利用しており、その中で欲しい物を見つけ買っています)
「この珈琲、美味しいなあ」
「この抹茶、こうやればすごくうまい」
「羊羹は、虎屋にかぎるな」
「下着・肌着は、BVDだね」
「シャンプー、リンス、ボディーソープは、コラージュフルフルがサイコー」
「スモモはソルダム、ぶどうは長野パープルとシャインマスカット、りんごはフジ、みかんはデコポンが一番おいしい」
「Amazonプライムのドキュメンタル笑うなあ」
こんなところに小さな幸せを感じています。

また、キラキラとした笑いに包まれると幸せが舞い降りる、はず。
そう信じ願っています。

窓から見える栗の木に「イガグリ坊主」ができていました。
緑色した小さな「イガグリ坊主」ですが、日一日成長しています。

私も前を向いて成長していきます。
これが、私の頑張りです。


ここまで、稚拙で取り留めのない文章にお付き合いいただき有難うございました。

ほいたら、また。
ごきげんよう。
弘瀬厚洋